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日系・素材メーカーの就活事情
日系・素材メーカーの就活事情

旭化成・東レ・帝人…。名前は分かるけど事業は知らない代表の業界ともいえる「素材(繊維)メーカー」。実は文理問わず就活生から大人気で、定員の少なさも相まって難易度が高い業界になっています。今回は素材メーカーの特徴および代表企業である上記3社の就職事情をお伝えします。

素材メーカーの特徴

「素材メーカー」と聞いた時、皆さんはどのような印象を抱きますか?「メーカー」という名の通りモノづくりに携わることができ、製品を材料から支えています。
テイジンや旭化成、ほかにもAGC(旭硝子)やクラレなどの事業は知らないけど名前なら知っているという方が多いと思います。それは、私たちが幼いころから絶えずテレビでCMを幾度も目にしてきたからです。つまり素材メーカーは「長期にわたり安定して(消費者向け広告に注力できるほど)高い収益をあげる企業」であると言い換えることができます。
そんな素材メーカー業界の特徴を以下の通りです。

意外と「B to B」が多い

企業の名前は良く知っていても事業についてはあまり知られていない。その理由は、消費者に向けて商品を販売するB to C(Business to Consumer)ではなく、法人向けに商品を販売するB to B (Business to Business)が事業の主軸になっている企業が多いからです。
言い換えると、素材メーカーが開発する素材を用いる別の衣料・産業メーカー企業が初めて消費者の手に届く商品を開発しています。

ライバルは世界各国

繊維や石油製品、鉄鋼なども「素材」と言えますが、それらが活用される分野と各企業が携わる範囲が大きく異なります。そのため、事業が一括りで業界の特徴を列挙するのは難しいです。ただし、どの企業にも共通しているのは「グローバル志向」という点です。
他の業界と同じく国内市場は人口減少などの影響で縮小しつつありますが、世界全体では市場は拡大を続けています。しかし、中国やインドなど安価で繊維を大量生産できるアジア諸国が市場に台頭しつつあります。国内外のライバルたちといかに戦うかの岐路に立たされています。

素材メーカーの代表企業3社

今回ご紹介するのは、「旭化成」・「東レ」・「帝人」の3社です。いずれも素材系メーカーを志望する就活生からは根強い人気を誇ります。各社はどのように世界市場に挑んでいるのでしょうか。

旭化成(あさひかせい)

事業多角化で素材メーカーのトップに

総合化学メーカーである旭化成は、90年以上の歴史を持つ国内最大級の素材メーカーと言えます。長い経験で培ったケミカル・繊維事業のノウハウを活かし、「マテリアル(素材)」「住宅」「ヘルスケア」の3領域で事業展開しています。2018年度の売上高2兆1700億円のうちマテリアル領域が50%強を占めており、30%程度の住宅、20%程度のヘルスケアと続いています。
事業が幅広く多角化しているため、「いろんな事業に挑戦できそうだ」という就活の軸で選考に臨みたいという学生も多いかもしれません。しかし、これらの中でも「関わっていきたい事業はこれだ」というものを明確に一つ打ち立ててから選考を受けるほうが志望度の高さをアピールできるはずです。旭化成主催のイベントでは事業ごと、職種ごとに話を聞けるイベントがたくさん開催されます。興味がある分野を積極的に深掘りしていきましょう。
参考:旭化成株式会社 2019年3月期 本決算説明資料
https://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/ir/library/financial_briefing/pdf/1903_analyst.pdf

東レ(とうれ)

「国内最大の繊維メーカー」

一方で、東レは売上の4割ほどを繊維事業が占めている「一点特化」型で、旭化成や帝人の繊維事業の売上を大きく引き離しているため、日本一の繊維メーカーと言えるでしょう。身近な例では、ユニクロの「ヒートテック」に使われている繊維は東レが開発しました。
繊維事業に一点特化してはいますが、採用HPによると新規事業への参入に積極的な姿勢を取っており、既存の事業にとらわれずに新しいことにチャレンジしたいという意欲をアピールすることが選考の鍵になるはずです。特に、水処理(ろ過)など地球環境に関連する事業を大いに発展させることで世界市場での地位を確立したいという意志が感じられます。
参考:東レ株式会社 採用HP
https://www.toray.co.jp/saiyou/

帝人(ていじん)

国内初のレイヨンメーカーの現在は

「ダケジャナイ・テイジン」というCMでお馴染みの帝人。企業名に馴染みはあれど、企業の成り立ちは「国内初のレイヨンメーカー」だったことを知っている就活生は少ないのではないでしょうか。新しいことに挑戦し続ける企業方針は100年以上経った現在にも受け継がれています。
というのも、素材メーカーとしてスタートした帝人も同様にヘルスケア事業に参入しており、ついに2017年度に営業利益が逆転しました。(2017年度営業利益: マテリアル336億円、ヘルスケア359億円)また、意外にも電子コミック配信サービスの「めちゃコミック」を運営しているのも帝人であり、かつての主力事業に囚われず技術力を活用することで生き残り続ける戦略を見出しています。
とはいえ帝人は素材メーカー業界1位ではなく、旭化成などのライバル企業に売上高では見劣ってしまいます。ですから、選考では「なぜ帝人なのか」という点を同業他社との比較の上で質問されることが予想されます。それを語った上で、新しい環境へと飛び込んだ学生時代の経験を語れることが選考のポイントになります。
帝人株式会社 2018年度決算及び2019年度業績見通し説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3401/tdnet/1699021/00.pdf

アピールしたいポイント

どの企業に対しても共通して学生がアピールすべきポイントは、「モノづくりを下支えして社会貢献」や「新しいことに挑戦するマインド」ではないでしょうか。特に、文系学生だとどうしても素材に関する知識が欠けてしまいがちです。素材自体よりも、それぞれの企業がどのような商材に注力しているかを徹底的に調べ上げることが大切です。そうすることで企業理解が深まるとともに、新しい領域も積極的に学ぼうとする姿勢をアピールできるはずです。