内定からの会社選び
内定からの会社選び

複数内定おめでとうございます。売り手市場とはいえ、倍率はやはり高いもの。大手企業であれば依然としてゴリゴリの買い手市場であることは周知の事実です。そんな中で獲得した内定なのに、入社できるのは1社しかありません。内定辞退で悩んでいるあなたに4カ月間悩みぬいて後悔ゼロの内定承諾をした筆者の体験談と内定先の選び方についてお話しします。

本題に入る前に伝えたいこと

私なりの会社選びをお話しする前に、これだけは押さえておいてほしいという内容をお話しします。

「就活はマッチング」という言葉の意味

このフレーズは就活生であればよく耳にすると思いますが、どうしても再度確認しておきたいことです。採用されるまでは採用する企業優位ですが、内定後は本格的にマッチングになります。
筆者は「就活はマッチングである」というフレーズの意味は2つあると考えています。
第一に、「双方向」の選び合いだということです。これはすでに述べました。もう1つ重要なのは、「一般論で良い悪いではなく、その個人にとって良い会社なのか」ということです。”match”を辞書で引くと、「お似合いである」という意味が出てきます。例文には、ネクタイとスーツがマッチしている、と出てきました。お似合いかどうかなのです。あなた個人と会社がお似合いかどうかはそう容易に判断できることではありません。ましてや「A社よりB社の方が勝ち組!」という価値判断はショートカットよりロングの方がかわいい!という議論と同レベルです。そのことを最初に押さえておきましょう。

「建前に慣れてから本音を考える」という難しい初体験に臨む

就職活動では「就活の軸」や「弊社のビジョン・価値観」などが語られ、実際の選考でもそういった側面から話し合いが進んでいきます。しかし社会通念上、どうしても建前ベースの話になっていることは学生側はもちろん、企業側も理解しています。内定後はこうした「きれいな」議論から一挙に本音ベースの検討へ移っていきます。その際、これまで経験してきた建前の議論に囚われ過ぎないよう気をつけて下さい。就活生の中には「建前の志望動機を言い続けていたら本当の気がしてきた」と自己暗示にかかっている人も少なくありません。学生が初めて社会の門を叩き、建前と本音という二重構造の洗礼を受けた結果、このような事態に陥ることはやむを得ないことだと思います。
Leverages株式会社の調査では2018年度新卒の約6割が「入社を後悔している」という結果が出ました。内定という形で建前のマッチングが成立しても、入社後に後悔してしまう人が過半数を占めるという残酷な現実があります。ここからの本音ベースのマッチングが正念場であることをご理解頂けたらと思います。

多くの情報は「みんなのため」に書いてある

現在入社先に悩んだらいろんなメディアなどを使って情報を収集すると思います。そのたびに「こうすべき」「決め方はこれがオススメ」など出てくると思いますが、これは「不特定多数の人」に向けて書かれたものです。情報の発信元はあなたの悩みや置かれた状況を一切知りません。相談相手の知人も、あなたが実際にどのような価値観を持っていて、何が好きで、嫌いなのかはほとんど知らないかもしれません。しばしば「自分自身に答えがある」と言われるのは、そのためです。マッチングを実現するための材料の核心はあなたの中にしかありません。

私なりの会社の決め方

筆者は第一志望群の企業から複数内定をもらい、数カ月間悩み続けました。現在は一切の後悔なく入社先の決断を終えています。ここからは、悩み続ける中で重要な示唆を得られた考え方を共有します。転勤や年収などの条件面など他の情報源で語られているものは極力除外しております。

新卒と中途の扱い方

転職が当たり前の時代になりましたが、そのトレンドの浸透具合は企業によって異なります。新卒の生え抜き社員が中心に活躍している会社もあれば、中途社員の受け入れから支援まで活躍する土壌が整いきっている会社もあります。就活生は人生一度の新卒カードを行使する特権を持ちますから、新卒社員の方を重視する会社に入るのも合理的と言えるのではないでしょうか。

自分のイメージ・印象は何を根拠にしているか

穏やか、元気、堅実、挑戦的など会社に対してなんとなく持っているイメージがあると思います。そこまで具体的でなくても、ポジティブ、ネガティブだけでも結構です。
筆者はこうした印象が一体何によって形づくられたのかを考えました。会社説明会、面接官の人柄、インターンシップの環境、大学の友人の反応、親の反応などです。そしてその中でどこの情報源が信用しうるのか、判断材料として適切かを再検討しました。その結果、「行きたい」と感じていた企業の良い印象は「他人(親・友人)の反応」を情報源にしていたことがわかりました。実際の社員の方と会った印象は他社の方が良かったのですが、その記憶よりも会社名を言ったときの親の嬉しそうな反応が頭に焼きついていたのです。人によって大切にする軸はさまざまですが、私は他人の反応よりも自分の心の反応を大切にしたいタイプです。そのため、この情報源に関する気づきは筆者の方針を変えるきっかけになりました。

自分のような人間が評価される環境か

努力して評価されることは大切です。しかし、ありのままの自分が評価されるのはもっと素晴らしいことです。人には向き不向きがあるといいますが、仕事にも同様のことが言えます。「その会社でうけるタイプの人」であるかどうかは検討する必要があるように思います。たまに「外資系にしか受からない人」がいますが、それは端的に言って「我が強すぎる」と考えられます。そんな人が無理して日系企業で社交性を磨こうとするより、外資系でのびのびと成果を上げていく方が良いように思えます。成長志向が強いことは重要ですが、自分に適性があること、向いていることを選ぶこともまた重要です。

情報の海に逃げない

判断に困ると、とにかく藁にすがるように情報を収集することもあると思います。自分の心よりネットに書いてある文字の方が鮮明ですから、自然なことです。しかし把握しにくいからこそ、労力をかけて引き出してみて下さい。入社3数年で辞めていく人々も企業情報は調べているはずです。それでも3年以内に3割が離職する状況は昔から変わっていません。それはひとえに、自分に向き合うことの難しさが原因ではないでしょうか。