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初任給のカラクリを徹底解剖
初任給のカラクリを徹底解剖

皆さんは初任給という言葉を耳にしたことがあると思います。企業を選ぶ際に気にする人も多いのではないでしょうか。しかし、企業が公開している初任給には実はさまざまなカラクリがあり、それを知らないと「こんなはずじゃなかった」となるかもしれません。この記事では、初任給が何を指すかということから、初任給を見る際の注意点、初任給が高い企業の特徴まで詳しく解説し、初任給のカラクリを徹底解剖していきます。

初任給とは何か

就職して最初に受け取る給与

初任給とは、学生が企業に勤めてから初めて受け取る給与のことです。初任給を楽しみにしている人も多くいるのではないでしょうか。
ちなみに、厚生労働省が発表した、2018年の平均初任給は過去最高を更新しました。大学院修士課程修了は23万8,700円、大卒は20万6,700円です。

初任給=基本給+諸手当

初任給を含む給与は、基本給と諸手当で分けることができます。
「基本給」とは、職種や年齢、勤続年数、学歴(大卒、大学院修了など)のようなさまざまな要素を考慮して決定される、賃金の基本的な部分です。この基本給の額には、諸手当は含まれません。また、基本給の額によって、賞与(ボーナス)の額が決まります(基本給◯か月分など)。
「諸手当」とは、残業代や家賃補助、家族手当など各種手当のことです。
皆さんに払われる初任給は、この基本給と諸手当を足した額ということになります。

初任給≠手取り額

初任給と手取り額、つまり実際にもらえる額は異なります。手取り額は、会社から支給される「額面」の給与から、税金や保険料が控除された額になります。つまり、「手取り額=額面給与-税金や保険料」ということです。ちなみに、社会人1年目の人は、「所得税」はかかるものの「住民税」はかかりません。
記載通りの初任給すべて受け取ることができるとというわけではないので注意が必要です。

初任給を見る際の注意点

初任給に着目する就活生は多いとは思いますが、その際に注意しなければならないことがあります。

記載されている金額は、基本給の額なのか諸手当を含んだ額なのか

企業は採用情報の中に、初任給を記載していることがほとんどです。しかし、その初任給の記載の仕方には特に決まりはありません。したがって、就活生は初任給を見る際、その額が何を指しているのか注意して見ることが重要です。
具体的には、基本給の額なのか、基本給に諸手当を含んだ額なのかです。一見額が安く見えてもそれが基本給の額だったり、逆に額が高く見えても諸手当が含まれていたりといった可能性があるのです。特に、初任給を高く見せようとするために、諸手当を含んだ額を記載するという手法がしばしばとられるため、注意が必要です。

みなし残業代に注意

会社によって、「みなし残業制」をとっている可能性があります。みなし残業制とは、あらかじめ決められた時間、残業したこととみなして、残業代を支払う仕組みです。
記載されている初任給額の欄に、「みなし残業代を含む」と書かれている可能性があります。記載された額に諸手当を含んでいなかったとしても、みなし残業代を含ませることで高く見せようとしていることがある点にも注意しておきましょう。

昇給率・昇給額はどのくらいか

初任給はあくまでも、入社後最初の給与に過ぎません。どの企業も、年数や実績を重ねるごとに昇給していきます(中には減給していく企業も)。将来的にどのくらい昇給していくのかという部分に着目したほうが、実際に貰うことができる額を把握することができます。
例えば、A社は、初任給に関しては20万円というごく普通な額であったとしても、昇給率が高いため、入社5年で40万円に昇給するとします。逆に、昇給率が低いB社は、初任給は30万円と高額であったとしても、同じ5年という年数を重ねてもまだ30万円であったとするとどうでしょうか。今後もA社は同じように昇給していくことを考えると、A社とB社どちらが高い給与をもらえるかどうかは一目瞭然です。

初任給が高い企業の特徴

初任給を高く設定している企業には一定の特徴が見られます。もちろん、ここに書かれた特徴に当てはまらない、初任給の高い企業もあります。

ベンチャー企業

一つに、少数精鋭の、特に優秀な人材を欲するようなベンチャー企業が挙げられます。人材が大企業に流れないよう、初任給を高く設定することによって、優秀な人材の確保に努めているのです。
ただ、ベンチャー企業は年俸制を取っている企業も多いです。給与制は月ごとに額が決められるのに対して、年俸制は1年間に支給される額があらかじめ決められているという特徴があります。「年俸額÷12」の額が月ごとに支払われるという仕組みです。ベンチャー企業のように、年俸制を取っている企業は初任給額だけでなく、年俸額を記載していることもあるので注意して見てみましょう。

名前があまり知られていない企業

世にあまり名前が知られていない企業は、何かしらの方策によって就活生を目を引く必要があります。その一つが、初任給を高くするという手法です。初任給の高さに惹かれて受験するという人は一定数います。そのような人を取り込むことを目的に、初任給を高く設定するという企業は少なくないのです。

社員を使い捨てるブラック企業

「初任給の高さで人を集め、労働力を搾取しまくり、体調を崩すなどしたら解雇して、また人を集める」という最悪な循環で社員を使い捨てるブラック企業が存在します。前述したような初任給の高さに惹かれる学生を採用し、労働力を確保することが目的です。離職率などの指標を参考にし、ブラック企業であるかどうか見極める必要があります。

初任給のカラクリを理解することは重要

初任給にはさまざまなカラクリがあります。高く見せようとするために、諸手当を含んだ額やみなし残業代を含めた額を記載していることも、大企業であれど決して珍しくはありません。また、初任給を高く設定する企業には一定の特徴があります。特に、社員を使い捨てるブラック企業には注意したいところです。記載されている初任給に安易に飛び込まず、初任給に諸手当が含まれていないか、どのような意図で初任給を高く設定しているのか確認するようにしましょう。