就職活動をはじめると、ESが書けない、ESが通らないという壁にぶつかるという方多いのではないでしょうか?
選考を通過するESを書くためには
〇企業側の狙いを理解する
〇論理的に文章を書く
ことがポイントです!
この記事ではESの作成意図を理解したうえで、具体的な書き方のコツや考え方についてお伝えしていきます。
Summary
人事目線で考えるESの役割

就活においてESを書く際、作成している人事の目線を知ることが大切です。まずは人事がどのような意図でESを作成しているか見ていきましょう。
企業がESをとして判断したいことは大きく3つです。
①文章作成のルールを満たしているか
②その学生と会う価値があるか
③企業に来てもらいたい人材か
①文章作成のルールを満たしているか
文書作成は企業活動をする上で、必須のスキルだからです。メールや資料を作成するとき、分かりやすい説明をする必要があります。
エントリーシート選考では、そうした文書作成ができるかどうかを測っているのです。
エントリーシートでの誤字脱字が、選考において大きなハンデとなるのも、企業活動においてそのようなミスが致命的なものになるからです。
②その学生と会う価値があるか
企業は一緒に働きたい人物を探しています。自身の能力が伝わり、この学生と会ってみたいと企業が判断すればこちらの項目はクリアです。
では、企業にとって会いたい学生とはどんな人物なのでしょうか。
それは自社の求める能力を持っている可能性がある人物を指します。企業は採用活動を行う際に”求める人物像”を掲げるのが一般的です。これは学生や外部に伝わりやすいようにキャッチーで明瞭であることが多いのですが、人事は”求める人物像”を詳細に設定したものを持っています。この詳細版に合致している、つまり自社が求めている能力を持っていると判断されると内定が出るのです。
質問は求める人物像から逆算して設計されています。たとえば挑戦心のある学生が欲しい企業は、面接の場でも挑戦心があるかどうかをベースに会話したいと考えるはずです。そのために「人生で一番挑戦したことは何ですか?」「最も困難に立ち向かったことは何ですか?」といった挑戦に関して話しやすいお題を設定します。このような質問から学生の行動様式や特性を知り自社の求める人物像に合っているのか判断するのです。
③企業に来てもらいたい人材か
こちらは学生自身の能力というよりも企業と学生が将来的により良い関係性を築けるかどうかに主眼が置かれています。
こちらの判断材料として、企業と学生の関係値や将来を想像する質問がされることが多いです。
志望動機はもちろん、「どのような職種に興味がありますか?」「弊社の10年後の将来をどのように想像しますか?」などがその代表例と言えるでしょう。こうした質問は企業をどれだけ好いているかが勝負の分かれ目になります。自分の能力を伝えるだけでなく、企業と自分という目線も大切だと認識しておきましょう。
ESの具体的な対策方法
企業側の意図が理解できたのであれば、具体的な対策を行っていきましょう。

文章作成時の基本的なルール
【文法について】
基本的に「てにをは」、「接続詞」などの初歩的な間違いは避けるべきです。
しかし、締切り間近で大きな分量になるESの場合、見落とすこともあります。そのため、ダブルチェックを行えるよう、余裕をもった提出を心がけましょう。
そういった観点から、添削などをして見つけてもらうのも重要なことなのです。添削を行ってもらうことで、こうした見落としを防げるようになります。
【書き方について】
書き方について考えるべきポイントは二つあります。
まず、平易な言い回しを用いることで分かりやすい文にすることです。
このことは就活中かなり言われる言葉ではありますが、ここでも念押ししたいです。特に「学生時代頑張ったこと」に専門的な内容を書く場合、相手の立場に立って、自分が行ってきたことが分かるようにしましょう。
次に、会社で使うような文調を心がけ、ES全体をそれに統一することに気をつけましょう。
「である」調、「ですます」調のどちらでも通用します。ちなみに「である」調の方が文字数の節約にはなります。
【文量や構造について】
文量に関して、文字制限の9割以上を目安に書くのが無難と言えるでしょう。これは受験の時の国語の問題と同じです。
企業も、文字制限を基準として、書かれる分量を期待しているはずです。
また、文の構造としては、前提など込み入った確認が必要でない限り、結論ファーストが原則となります。
結論を最初に持っていき、根拠や具体例を続ける、というような構造を意識しましょう。
【誰にでもわかりやすい文章】
論理性がESを書く際に重要になる理由はただ一つ、誰にでも分かりやすい文章を書くために必要だからです。内容がいくら良くても、伝わらなければ意味がありません。
誰にでも分かりやすい文章であるためには以下の条件をクリアしていなくてはなりません。
・簡潔に要点を伝えられている
・前後の文章につながりがある
・結論(伝えたいこと)が明確である
物事の原因と結果をくまなく把握することが出来れば、必要不可欠な情報だけピックアップし、前後の文章に関連性を生み出すことができるようになります。その結果、誰にでも分かりやすい文章を書くことができるようになります。

論理的にエントリートを書くには
エントリーシートを使って、ロジックツリーを書く際に意識する点を説明していきます。
【原因と対策をセットで書く】
学生は自分を企業にアピールするために、自分がどういう行動をとったか、対策をとったかを中心に話してしまい、原因の説明がおろそかになりがちではないでしょうか。対策の話を聞いただけでは、企業側も本当にその対策が効果的なものだったのか判断できません。原因の話をしっかりしてこそ、自分の行動と対策が根拠あるものとなります。ロジックツリーの書き出しでは、原因と対策をセットに書くことをしっかり意識していきましょう。
【現状説明も忘れずに】
目標だけ話してしまい、そもそもどういう現状にあったのか説明できていないということになっていませんか。冷静に現状を認識し、目標設定することも社会人になると求められる技術です。現状説明ができていないと、どれだけ難しい現状から目標を達成したとしても、それを効果的に伝えることができていないことになってしまいます。
【ロジックツリーを活用する】
いきなり文書を書き始めるのではなく、図で分かりやすく整理する段階を踏むことで論理的に文章を書くことができるようになります。今回はよく使われるフレームワーク、「ロジックツリー」を紹介していきます。
ロジックツリーとは問題をツリー状に分解していく方法を指します。ツリー状に細かく分解することで、結果に対する原因を掘り下げたり、ある目的を実現させる手段をはっきりさせることができるようになるのです。
では、実際に例をあげて考えてみましょう。まず、1か月食事制限しても全く効果がでなかったとします。これに対して、即座に運動不足が原因と断定して、ジムに登録に行くと行動する人もいるかもしれません。ですが、ここで一度、ロジックツリーを使って考えられる原因を書き出してみましょう。

上の図は先ほどの問題に対して、考え出した原因をロジックツリーとして示したものです。運動不足のほかに食事の時間が遅い、仕事の付き合いで外食に行く機会が頻繁であるといったことも原因として書き出していきました。このようにロジックツリーを使うことで、原因を掘り下げることができ、因果関係をくまなく把握することができます。
【二つのロジックツリーを書く!】

アピールしたい体験談を論理的に伝えるために、「二つのロジックツリー」を書いていきましょう。
このロジックツリーは原因追及ツリーと問題解決ツリーが合体しているものになります。
まず、原因追及ツリーでは、目標と現状のギャップに対してどのような原因があったのか書き出していきます。そして、問題解決ツリーを使って、原因に対して、とった対策を書き出すようにします。
この二つのツリーを書くことで
①原因と対策をセットで伝えられる
②現状説明も忘れずに行えるようになります。
【ロジックツリー活用例】

二つのロジックツリーを実際に使っていきます。
吹奏楽部の部長として、演奏会を見に来る客数を例年の2.5倍にしたエピソードをロジックツリーにあてはめて書いていきました。
図にあてはめることで、客数が増えない原因として何を考えたのか、その対策としてそれぞれ何を行ったのかといった因果関係を把握することができるようになりました。文章化する上で、上記以外のエピソードは書く必要がないものだと言うことができます。
このようにロジックツリーを使うことで、必要不可欠なエピソードだけピックアップすることができ、簡潔に伝えることができるようになります。必要な情報だけ簡潔に伝えられるようになることで、エントリーシートだけでなく、面接にも強くなるので是非ご活用ください。
企業が知りたいのは”結果”ではなく”行動”
質問の意図を捉えきることができずにエントリーシートが通らない学生はとても多いです。
人事目線では、意図がわかっていないという理由で簡単に足切りできてしまうので注意しましょう。そうならないためには”結果”よりも”行動”を意識することが大切です。学生の特性を知りたい質問の場合、多くの学生は良い結果が出たものを書いてしまう傾向があります。人事が知りたいのは甲子園に出た”事実”でも、展覧会で受賞した”結果”でもありません。そこに至るまでにどのような行動をしたかです。
学生時代に力を入れたことなどは、結果から考え始めるのではなく、行動ありきで書くのが良いでしょう。挑戦したことを問われたのであれば、5,6年前の優れた”結果”よりも昨日や一昨日に挑戦した小さな”行動”の方が企業は学生の特性を理解しやすいのです。
企業へ想いを伝えるためには想いの出どころも合わせて伝える
志望理由には理念への共感や、企業へ対する想いのみが書かれがちです。企業からするとこれだけでは物足りません。
大切なのは企業へ対する想いが自分の人生や経験から生み出されたことの証明です。
たとえば文房具メーカーを例にしてみましょう。「御社の商品が使いやすくて愛用している」よりも「受験勉強をずっと支えてくれた」「文通で使用していた便箋が海外の友人と自分を繋いでくれた」などの方が企業への想いがより強く伝わるはずです。企業は自社のファンではなく、一緒に働きたい人物を探しているという視点を見落とさないようにしてください。
エントリーシートの書き方まとめ
エントリーシートで聞かれていることは紐解いていくとそこまで難しいものではありません。企業側も学生のことを知りたくて行っているので、その意図をきちんと捉えることができれば苦になることはないでしょう。エントリーシートに苦手意識がある学生も、今回の記事を参考にしてぜひ得意分野にしてください。
また、ロジックツリーを使うことで、自分の話を構造化して伝えることがより簡単にできるようになります。現状と目標、原因と対策をセットで書くことを意識することで自分がどのような考えをもって行動したのかを企業側に分かりやすく伝えることができます。ぜひ、ロジックツリーを事前に書くことで自分の論理性を企業側にアピールしていきましょう。