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最強オタク決定戦
最強オタク決定戦

出版業界を志望する学生は多いものの謎に包まれた出版就活。時事問題や作文、特殊な面接…。予習なしでは採用担当に振り回されること間違いなし。今回は講談社・集英社・小学館の3社を中心にどんな質問が頻出なのか、どんな回答のウケが良いのかを探ってみましょう。

選考フローと選考時期

3社の本選考フローで課される選考は以下の通り。

  • エントリーシート(ES)
  • 適性検査
  • 時事問題
  • 作文
  • 面接(複数回)

時事問題や作文といった選考は他の業界では殆ど見受けられませんし、ESの設問もひとひねりあるものばかりです。一方で他業界では頻出のグループディスカッション(GD)は行われず、OB訪問などの回数が直接選考結果に関係することも少ないようです。熱意はもちろんですが、創意工夫や文芸・カルチャーへの愛情を見定める選考が多いです。後ほど詳しく解説いたします。


そして出版企業の本選考は広報解禁を待たずして2月にスタートします。(年度によっては集英社が3月1日にスタート)
上述の大手三社は4月下旬、もしくは遅くとも5月には最終面接を済ませて内々定を学生に出しています。

エントリーシート頻出の質問

ただのオタクには興味ありません

エントリーシートでは志望動機や学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)といった定番の以外に独特な設問が課されていることが多いです。ただし、エントリーシートの項目を埋める際に「漫画が好き」「読書が好き」という無駄な文言で字数を埋めないようにしましょう。数千人の志望者全員が当たり前に漫画や小説、何かしらのオタクです。それを知的に、かつ印象的に伝えられる人材、そして企業の将来を担うような強くて賢い優秀なオタクを企業は求めていることを肝に銘じましょう。

好きな本とその理由(キャッチコピー)

3社すべてで出題されたのは好きな本とその理由。集英社では理由の代わりにキャッチコピーを考える課題が出題されたこともあります。推している作品について語る際、いわゆる「思い出補正」で好きな理由を上手に伝えられないケースが多々あります。上述のとおりただのオタクで終わらないように丁寧に記述しましょう。客観的に見たヒットの要因、そして受け取った主観、2つの繋がりを意識して書くことが必須でしょう。


この質問、これに関連した質問は面接で何度も質問されます。自分の考えをブラッシュアップするためにも時間をたっぷりかけましょう。

失敗経験や弱み

ESの段階で失敗経験まで質問するESはあまり多くありません。ですが、出版業界では編集者としてタフに活躍できる芯の太さを測るためにこの設問が頻出しているのではないでしょうか。長所の裏返しであったり、失敗経験から得た学びなどは必ず伝えましょう。
短所もしっかり答えよう!面接で短所を聞く意図と対処法

一発芸・カラオケの十八番(講談社)

講談社のESで必出なのがこの質問。企業体質が表れているとも取れますが、気さくで明るい人材かどうかを一発で見抜く設問でもあります。筆者はカラオケの十八番を書きましたが、一発ギャグを書いた就活生は果たして面接で披露したのでしょうか。講談社ではすべて個人面接ですので、自信のある猛者は渾身の芸でウケを狙ってもいいかもしれません。

作文

大手三社ではESを提出する段階、もしくは次項の時事問題など筆記試験と同じ段階のいずれか、もしくは2回作文(例年三社とも800字程度)が課されます。後者では企業に足を運んでの受検となるので、時間制限はありますし当然コピペ不可で手書きとなります。

パーソナルな短編小説を

作文のテーマの殆どは自身に関するエッセイと言い切ってよいでしょう。社会問題に対して意見を求められたり書評をしたりということはありません。2020年卒採用の講談社では「私の秘密」といったテーマだったと記憶しています。800字(原稿用紙2枚)という限られた字数で起承転結を明確にしながらユーモアを絡める課題に頭を抱えました。もちろん題名も必要ですので、パンチのある見出しで採用担当の目を引きたいものです。題名も含めて、予想されるテーマを自分で用意してスピーディーに書き切る練習をしてみましょう。
また、当然適性検査やESの内容と照らし合わせて以降のステップにも使われますので嘘や誇張表現はNG。

時事問題+漢字問題

カルチャーやニュース、漢字知識を満遍なく

筆記試験では、時事問題と漢字問題が出題されます。最新のトレンドをキャッチするのはもちろん、校閲で誤字を見逃さない漢字力も大事ということでしょう。


就活キーワード本でガッチリ対策してもいいですが、エンタメ系・政治系問わず「民放の朝ニュース(ZIP!・めざましテレビなど)で取り上げられる話題はだいたいキャッチしている程度の理解度があれば大丈夫だと感じました。「米津玄師」に関する話題から、「平成に起こった事件はどれか」といったクイズまで手広く出題されました。小学館ではエンタメ系の話題をテーマにした5・7・5の俳句(川柳)に穴埋めで回答するというユニークな形式で出題されましたが、聞かれている本質は変わらないはずです。

面接

ただのオタクで終わらない

面接にたどり着くだけでも一苦労ですが、面接が4回程度待ち構えています。ここでも、その出版社の1ファンではなくその企業を支える優秀な一社員としてのあなたが求められます。出版全体の傾向として1,2回目の面接ではフランクな雰囲気でついつい雑談っぽい話の流れになりがちですが、溢れる愛を抑えつつガクチカや志望動機は短時間で理路整然と伝えることは忘れないようにしましょう。一方で3,4次面接では好きな本・作家といったESと同様の内容でもその理由を一層深く突っ込まれたり、電子書籍の是非・やりたい企画といったビジネス色の強い質問が増えるようになります。


また面接の段階を問わず、「好きな広告は?」「無人島に何か1つ持っていくなら?」「好きな俳優は?」といった変化球も見られますが、対策が難しいところです。ユーモラスな回答であることも質問によっては必要ですが、その回答に理由がすぐ付いてくることが一番重要であり、自信を知的に見せるポイントです。

本選考がまもなくスタート!

謎多き出版業界の就活事情、少しでもその実情をお伝えできていれば幸いです。2月の本選考まで時間が限られていますが、今からできる最大の対策は「好きな理由を考える」ことではないでしょうか。面接官にカルチャーへの愛情を最大限に伝えられる賢いオタクになりましょう。