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半導体製造装置業界
半導体製造装置業界

半導体は私たちの生活に不可欠な存在です。普段直接目にすることはありませんが、家電やスマートフォン、自動車などに含まれる重要な電子部品の1つです。現在はIoTが加速しており、まさに半導体業界にとって大チャンスと言える状態が続いています。しかし今回は半導体そのものではなく、それを作るための半導体製造装置と関連企業についてご紹介します。

半導体製造装置を知る

高度な技術を支える存在

半導体は、大きく分けて設計→テスト→製造という工程で作られますが、これは10ナノメートルという非常に小さな世界で行われます。さらに最先端の技術が求められるだけでなく、製造過程では100種類以上の装置が必要となります。この複雑な工程をすべて自社だけでまかなおうとするとコストが非常にかかってしまうため、半導体メーカーは製造装置を他社に発注しているのです。

半導体業界が成長するほど製造装置も活性化する

日常生活に欠かせない半導体は、今後さらに世界中で求められるようになるといわれています。半導体は同じ製品を長期間製造するということはなく、短いスパンで技術革新が起こるため、新たな半導体にあわせた製造装置が必要になります。つまり半導体の需要が大きくなるほど、製造装置の需要も大きくなっていきます。

世界トップレベルの日本企業が多い

90年代までは半導体業界と製造装置のシェアはどちらも日本企業が独占状態でした。しかし半導体事業は次第に外資系企業にシェアを奪われてしまい、現在ではインテルやサムスン電子が業界全体のシェアを占めています。一方、製造装置事業は現在も十分に世界と戦っていると言えます。これはナノレベルでの製造という高い技術力が求められることが参入障壁となって、日系企業が技術を蓄積し続けられたことが原因です。半導体製造装置業界は高い成長を誇り、同業の日系企業も大きく発展するといわれています。

海外売上高比率が高い

前述のように現在の半導体業界は、サムスン電子とインテルの2強という状態が続いています。それ以外もほとんどが海外の企業であるため、半導体製造装置は必然的に海外顧客が多くなります。業界内には海外売上比率が9割近くに上る企業も存在するため、英語を使うことや海外と関わりながら働くことに興味がある学生に人気がある業界です。

文系学生は半導体に関してどこまで理解しておくべきか

他のメーカーに比べ専門性が高い業界であるため、文系でも面接で半導体に関する質問がされることがあるのかという疑問にお答えします。

知識そのものはあまり質問されない

企業側は学生に対して、特に文系の方には半導体についての知識をそれほど求めていません。多くの企業で内定後に勉強してもらえれば良いと考えています。そのため文系の学生はある程度のビジネスモデルと職種理解が頭に入っていれば、あとは自己PRや志望動機を考えておきましょう。

説明会や採用ページで軽く勉強しておく必要はある

知識が無くても大丈夫といっても、半導体が何なのか分からないまま選考を受けるのは少し心もとないので、企業が就活生向けに公開している情報を確認しておきましょう。半導体と半導体製造装置の役割や工程は非常に複雑なので、企業側も簡単に理解できるように説明会やインターネットで説明をしています。

IoTについて質問がされる可能性がある

半導体の知識を直接問われることはありませんが、身の回りの電子機器や将来のIT社会について聞かれる場合があります。筆者の場合、最近感動した電子機器について問われたことがありました。このような質問が来ても答えられるように、普段から半導体だけでなくITに関するニュースに目を通しておくのがおすすめです。

半導体製造装置業界の代表的企業

業界内でシェアの高い5つの企業をご紹介します。

東京エレクトロン

通称「TEL」と呼ばれる東京エレクトロンは、国内シェアで第1位、世界全体でも毎年5位以内にランクインしている大企業です。半導体製造装置の研究、販売以外にもフラットパネルディスプレイ製造装置に力を入れています。海外売上比率も約90%と非常に高いことも特徴です。ちなみに東京エレクトロンはTBSの出資によって創業したという経緯があります。

アドバンテスト

この企業は半導体製造装置の中でも、社名の通り半導体試験装置に特化しています。高度な計測技術を利用して、さまざまな新規事業にも取り組んでいます。こちらも海外売上比率が約90%と高いですが、それ以外にも平均有給取得数の高さや残業時間の低さも特徴です。

ディスコ

この企業の一番の特徴は事業よりも企業文化と言えるかもしれません。「Will」という独自の社内通貨を使って報酬の高い仕事を社員自ら選んだり、会議室の使用料をWillで払うなど他の企業では見られない独自性があります。事業内容に関しても、半導体製造における精密加工機械の分野で世界No.1という実績があります。

日立ハイテクノロジーズ

日立ハイテクノロジーズは日立製作所から電子部品や半導体事業の一部が独立した、日立グループの1つです。半導体製造装置ではプロセス製造装置と評価装置の技術が強みであり、一連の工程に対して幅広く関わっています。半導体製造装置の事業以外では、医療分析装置の開発や商社としての役割も果たしています。

スクリーンホールディングス

スクリーンホールディングスは半導体の製造装置以外にも、ディスプレイや産業用印刷機の製造装置の開発・販売をおこなっています。各事業で世界トップシェアの製品を複数有しており、それぞれの技術を組み合わせて車載や電池、医療系事業にも進出しています。

日本の半導体製造装置業界はニッチだけど大企業が多い

半導体製造装置業界はあまり目立たない業界ですが、グローバルで活躍する日本の大企業が数多く存在します。自分が業界に対して興味があるのかを知るためには、その業界のことを理解しなければなりません。早めの段階でさまざまな業界をチェックしておきましょう。