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就活の面接やエントリーシートでは、挫折経験に関する質問が非常によくなされます。ガクチカや自己PRを聞かれるのは理解できるけれど、なぜ自分をアピールする場で、いわゆる「失敗」である挫折経験を話さなければならないのか疑問に思う方もいると思います。この記事では、挫折経験を聞く意図とアピール方法、筆者が実際に就活で話していた挫折経験の例を紹介していきます。

就活で聞かれる挫折経験の意図

企業側が就活生に挫折の経験を聞くのには明確な意図があるのです。そして、それは就活生にとって大きなアピールポイントとなり得ます。

高い目標を達成するために必死に努力した経験があるかどうか

挫折とは、ある何かに熱中して頑張っていたものの途中で大きな失敗をすることです。つまり、挫折経験がある人は、大きな失敗と言えるほどの高い目標を設定し、必死に努力した経験があるということになります。企業は社会の変化とともに成長し続ける必要があるからこそ、高い目標を設定し努力できる人材を求めています。

挫折への向き合い方と克服方法

挫折経験についての質問は、ただ失敗した経験だけを聞くわけではありません。その挫折をどのように捉え、どのように乗り越えていったか、そこから何を学んだかについて企業側は強い興味を持っています。
学生を終えて社会人になると、失敗や困難な状況に立たされる数が増えるとともに、一つ一つの失敗の重さが大きくなっていきます。そして、その失敗・困難をその都度乗り越えていく力、その失敗から何かを学ぶ力も求められます。企業は、就活生が社会人として失敗と向き合っていけるか判断するためにも、就活生の人生における挫折経験に関する質問をするのです。

失敗したときの打たれ強さ・ストレス耐性

前述したように、社会人になると失敗の数も重さも学生時代の比ではありません。失敗や困難にぶつかる度に挫折してしまっていては、莫大な量の仕事をこなしていくことはできません。また、気分を病んでしまい、ストレスから会社を辞められてしまっては、採用コストをかけた会社にとって大きな損失になります。
企業側は挫折経験を聞き、その就活生に打たれ強さやストレス耐性がある人材かどうか、困難や失敗から逃げない人材かどうか判断するのです。

挫折経験を効果的に伝える方法

エントリーシートでも面接でも、挫折経験を聞かれたときに効果的に伝える方法は基本的に同じです。以下の三つの順番で伝えることがポイントです。
①挫折の内容・経緯
②挫折との向き合い方
③挫折経験から学んだこと

挫折の内容・経緯

まずは自分の挫折経験の概要を伝えましょう。その際、経緯を話したり、数字を示したりすると、より効果的に伝えられます。特に、アルバイトやスポーツの経験などを話す場合は具体的に話さなければ、相手は挫折の内容をイメージできません。うまく伝わらなかった場合、「大した挫折ではない」「どこが挫折なのか」と思われてしまう可能性があります。
ただ、詳しく話しすぎたり余計な情報まで話したりしてしまうと、自分でも気づかなかったような短所・弱みを相手に感じさせてしまう場合もあります。挫折経験を聞かれているとは言え、エントリーシートや面接はアピールの場です。不要な情報まで話し、相手にマイナスイメージを与えないよう注意する必要はあります。一見矛盾するようですが、「端的かつ具体的に」がポイントです。

挫折との向き合い方

挫折経験の内容を伝えた後には、その挫折にどのように向き合い、どのように乗り越えたか、つまり思考プロセス・行動プロセスを伝えましょう。具体的には、原因分析の方法や実際にとった解決策・乗り越えた方法です。それにより、入社後に失敗した時に、どのような対応をするか企業側はイメージすることができます。

挫折経験から学んだこと

挫折経験は自らの人生において非常に大きな財産になり得るものです。しかし、挫折や失敗から学ばなければ、ただの失敗話になってしまいます。挫折の内容や、挫折との向き合い方を伝えた後は挫折経験から学んだことを伝えましょう。
先ほど述べたように、社会人になると困難なことも多く、大きな失敗も時にはあるでしょう。しかし、失敗をしたときにその失敗を次に繋げることができるかできないかで、その人の成長の仕方も雲泥の差が出てきます。次に繋げられる人材は、同じようなミスをしないと考えられます。
加えて、自分の挫折経験から学んだことを活かした挫折後の経験まで言及できると、思考だけでなく行動にまで落とし込める人材だと判断され、より説得力が増します。

筆者の挫折経験例

筆者の挫折経験の例を紹介します。以下の例では、エントリーシートの指定文字数によっては削らなければならない部分もあるでしょう。さらに、面接で深掘りをしてもらうためにあえて具体的に書きすぎていない部分もあります。

プロサッカー選手を目指していたが・・・・・・

挫折経験は、Jリーグのユースチームに昇格できなかったことだ。
小学生の頃からプロサッカー選手を目指していた私は毎日のように練習に励み、中学時代から倍率50倍とも言われている地元のJリーグの下部組織(ジュニアユース)に入団した。しかし、1つの学年で10人ほどしか入ることができない高校生年代(ユース)には昇格できなかった。プロサッカー選手になるための一番の近道は、Jリーグの下部組織への入団であり、その道が閉ざされてしまったのだ。将来の夢をサッカー選手として生きてきた私にとって非常に大きな挫折であった。
自分と向き合ったり、親やチームメイト、コーチから話を聞いたりして、ユースに昇格できなかった原因を探った。結果として、Jリーグの下部組織に入団し慢心していた部分が、普段のサッカーへの向き合い方やプレーへの必死さに表れていたことがユースへの昇格を遠ざけたと分析した。しかし、ユース昇格の道は閉ざされており、他の道を探らざるを得なかった。ここで新たに「フットサル」という新たなスポーツとの出会いがあった。自分がプロサッカー選手を目指すに至った理由と重なる部分が大きいと判断し、フットサルでプロを目指すことを決めてFリーグの下部組織(ユース)に入団した。そこでは、挫折経験を活かした結果、高校2年生にしてトップチームへの練習参加を果たすことができた。
自分の置かれた環境に満足することは、現状維持どころか破滅に向かうだけだと身をもって実感した私はその経験以降、現状に満足することを戒め、常に上を目指して生きてきた。それが、フットサルでプロに近づいたり、自宅浪人で第一志望校に合格したり、大学時代にフットサルで全国大会優勝をしたりできた要因であると胸を張って断言できる。

この例ではどの点が評価されるか

挫折の概要を一言で伝える第一段落、挫折の具体的内容である第二段落、挫折への向き合い方を伝える第三段落、挫折経験から学んだことを伝える第四段落で構成されています。
挫折の内容に関しては、経緯を書いたり数字を用いたりすることによって、よりイメージしやすいものになっています。特に、当時の夢が閉ざされたという内容を書くことで、大きな挫折であったことがより伝わるものになっています。
挫折との向き合い方の部分では、原因をヒアリングなどによって分析したこと、結果を受け入れ新たな道(解決策)を探ったこと、新たな道で挫折の経験を生かしたことが書かれています。
挫折経験から学んだことを伝える部分では、その学びを一般化してその後のさまざまな経験に活かしたことが説得力をもって伝えられています。
そして、この挫折経験全体から、
・高い目標を達成するために努力した経験があること
・挫折への向き合い方(原因を分析し、乗り越えることができること)
・打たれ強さとストレス耐性があること
という、先ほど示した、企業側が挫折経験から知りたい内容を網羅していることが分かります。

就活で聞かれる挫折経験のまとめ

挫折経験を聞く意図は、ただ単にその人の失敗談を聞きたいということではありません。その人が入社後に活躍できる人材かどうか見極めるためにも、非常に効果的な質問であり、就活生にとって大きなアピールポイントとなり得るものなのです。しかし、効果的に伝えなければ意味がありません。記事の中で紹介した筆者の例はあくまでも一例に過ぎませんが、ポイントを押さえて伝えることができているはずです。自分自身をより魅力的に思ってもらえるよう、今一度挫折経験を考えてみましょう。