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一橋大生の就活体験記
一橋大生の就活体験記

業界研究は決まったやり方がないので、難しいと感じる就活生が多いです。この記事では、一人の就活生が実際にどのようなやり方で業界研究を進めたかを順序立てて説明していきます。参考になるステップを実践して、業界研究の進め方の要点をつかみましょう。

差が出る業界研究の方法

私の業界研究とは

業界研究は自己分析に次いで就活生がやっておいた方がよかったことの二番目としてあがっています。そのやり方を知りたい方も多く、王道のやり方もないのが難しいポイントです。
しかし、逆に言えば、ここで他の就活生と圧倒的な差をつけられます。マジメにコツコツ積み上げるタイプの私としては、ここで圧倒的に鍛え上げておきたいのです。幸い、業界研究を深めると逆質問の質もあがり、OB訪問でもより説得力のある意見を言うこともできます。
私が実践していた業界研究のステップをご紹介します。
また、実際に私が行っていた総合商社の業界研究について興味がある方は、別にまとめてあるのでぜひ読んでみてください。
私のマジメな部分が凝縮された業界研究ですので、読んで実践すれば総合商社についてはかなり深い業界研究ができるようになっています。


「総合商社最強の業界研究」

業界の歴史を知る(STEP1)

業界の歴史を知ることが重要です。「~~業界の歴史」と検索すれば、本も出ますし、ウェブサイトも出ます。論文も出ます。時間の許す限り読みましょう。ちなみに、丸暗記をする必要性はありません。今の会社がどうして今の形になっているのか人に説明できればそれで問題ないです。

何で儲けてるの?と聞く(STEP2)

次は、その業界が何で儲けているのか調べます。ここが難しいところです。
電鉄を例として考えてみましょう。電車を走らせて乗客からお金をいただいているという印象が強いですが、何で儲けているのでしょう?
「東急電鉄 セグメント別情報」
で検索すると、トップに財務情報が出てきます。
その中で「営業利益」を見てみましょう。営業利益は売上高から売上原価と販売費および一般管理費を引いたものです。営業利益は一般的に企業の儲ける力を調べるのに使われます。特殊な事例でなければ、営業利益をみればよいでしょう。
すると、交通の次にもうけているのが「不動産」です。ここで、「不動産」って何?となるわけです。みなさんならすぐわかると思いますが、駅周辺の街開発などで不動産の収益が出ているわけですよね。重要なのは、業界研究の際には、実際に数字とむすびつけて考えましょう。「あの会社って~と~で儲けてるよね~」というのと、「~と~が大体全体の収益の~%ずつ占めてる」と覚えているのでは業界研究に圧倒的な差が出ます。
最初は深く掘り下げる必要はないので、「~でどれくらい儲けてるの?」という質問に答えられるようにしましょう。
(参考:東急電鉄 セグメント別情報 財務情報
https://www.tokyu.co.jp/ir/finance/segment.html

他の会社とどう違うの?(STEP3)

業界研究では、そこにどういうプレイヤーがいるのか知る必要があります。それぞれに業界で戦えている理由があります。
市場の立ち位置には、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーなどの立ち位置があります。難しいことはここでは避けます。
というのもそれは本質ではないからです。「他とどう違って、どうして業界で戦えているのか」というのを「数字を交えて」説明できれば良いです。
簡単そうに思えますが、とても難しいことです。深めすぎると時間の無駄になるので、時間を決めて行いましょう。
私にはそんなのできない!という方もいらっしゃいます。誰も一人でやりなさい、とは言ってません。
投資銀行部門を目指している友人やビジネスに詳しい友人を誘って一緒にやってみましょう。

実際に業界の会社の目標を知る(STEP4)

会社の目標は「中期経営計画」という形で中長期的に掲げられています。
そのため、会社の方向性を認識しておくことは極めて重要です。転職が増えている時代に、最初から転職ありきで就職する人も多いです。
そのなかで、会社および業界が向かっている方向性を知ることは大変重要です。
具体的な作業としては、
①業界の複数の会社の中期経営計画を読んで、理解します。
②その知識と自分の考えで、業界が進んでいく方向を考えてみます。
③OB訪問や社員との座談会でその意見についてフィードバックをもらいます
④修正して自分の意見にします。
これで今の業界が進んでいる方向についての研究ができるかと思います。

事例を知る(STEP5)

業界研究というと数字や会計を駆使して分析する印象が強いですが、事例を知っているだけでも十分に意味があります。
その会社が手掛けている事業を積極的に調べましょう。私は総合商社の業界研究をしている最中に、ある会社の保有している全ての銅山を検索にかけてみたことがあります。
事例を調べることが面白いと思える会社であれば、入社してからもその会社のビジネスを面白いと感じるはずです。会社の具体的な事例を調べてみましょう。

現場に出向く・製品を比較する(STEP6)

事例を知ることに近いですが、実際に現場に出向くのもポイントです。不動産会社が気になっている人であれば、その会社の保有する不動産を見ると良いと思います。
そんなことを実践している就活生はあまりいません。「御社のことが好きで、持っている不動産の半分は自分の目で見てきました!」という就活生のアピールは強力です。
BtoBではなかなか難しいですが、実際に自分の目で確認することは非常に大切な事であり、立派な業界・企業研究です。製品がある会社であれば、業界の製品を比較してみましょう。
消費者の立場からではなく、生産者の立場に立ってモノを見てみると普段見えないものも見えてくると思います。

そこで働いている人を知る(STEP7)

会社はヒト・モノ・カネで構成されています。カネについてはビジネスモデルを知ればよいです。
モノについては、現場に行ったり、製品を見ることで研究できます。最後にやはり重要なのがヒトです。
そこで働いているヒトについて皆さんが主観的にどう感じたかを一定数まとめられると、それも立派な業界研究です。
一見、面接では聞かれなさそうですが、私は聞かれました。そして、おそらくみなさんも聞かれる可能性が十分にあります。
「うち以外にもA社やB社も受けてるみたいだけど、他とうちはどう違って、なんでうちなの?」
一見ビジネスモデルなどを聞かれているようにも聞こえますが、私はこういうときにビジネスについての他に、自分で感じた社員の印象を答えていました。
みなさんも、働いている社員にどのような人がいるのか自分の言葉でまとめましょう。立派な業界研究です。

今起きている社会と会社の関係を分析する(STEP8)

朝、新聞やニュースを確認して、特定のニュースが会社に与える影響を分析します。貿易摩擦や中東での戦争など、業界とどのような関係があるか分析しましょう。
ここで意見がはっきり言えるようになれば、もう業界研究のレベルはかなり上がっていると言えます。

人に教える(STEP9)

私も総合商社の業界研究記事も書かせていただいていますが、人に説明する、あるいは書くという作業が業界研究を完成に近づけます。
インプット重視で勉強することはときに自己満足になってしまいますが、業界研究を実践している理由は面接などでその知識を活用するためです。
そのため、そもそも自分の言葉で説明できないと意味がありません。身近な人に説明してみましょう。教えるという作業が業界研究のレベルを高めます。

業界研究の終わりはないと悟る(STEP10)

気づいた方もいるかもしれませんが、業界のことを知るステップのStep8,Step9,Step10はかなりレベルが高いです。
特にStep10はその業界の知識をアップデートし続けることに等しいです。
終わりはないと悟り、情報の更新をしたり、他の業界との関係を探りましょう。また、専門知識が必要だと感じたら自分で少しずつ深めていきましょう。

まとめ

Step1 業界の歴史を知る
Step2 何で儲けてるの?と聞く
Step3 他とどう違うの?
Step4 実際に業界の会社群の目標を知る
Step5 事例を知る
Step6 現場に出向く・製品を比較する
Step7 そこで働いている人を知る
Step8 今起きている社会と会社の関係を分析する
Step9 人に教える
Step10 業界研究の終わりはないと悟る


就活中に身に着けた知識や鍛えた思考力は就活後も使える汎用的な知識でした。優秀な皆さんであれば他にも独自のステップを考案できるはずです。
日々コツコツマジメに準備していきましょう。