こんにちは!ミキワメ運営局の大野です。
新卒で日系大手グローバルメーカーへ入社し、グローバルマーケティング・プロダクトマネージャーを経験した僕が、製造業を徹底分析してみました。
Summary
はじめに:製造業の常識を覆す
就活真っ只中の皆さんは、様々な業界研究に励んでいることでしょう。その中で「製造業」という言葉を耳にしたとき、どんなイメージが浮かびますか?
「工場で黙々と製品を作る」
「技術職しかない」
「海外移転で衰退している」
もしかしたら、こんな印象を持っているかもしれません。
しかし、それらは全て大きな誤解です。現代の製造業は、皆さんの想像をはるかに超える、ダイナミックでエキサイティングな世界なのです。
この記事では、就活生の皆さんが「えっ、そうだったの!?」と驚くような、製造業の意外な実態と、そこに隠された大きなチャンスについてお伝えします。
従来の業界研究では決して触れられない、製造業の最新トレンドと、皆さんのキャリアにどう活かせるかを徹底解説します。
準備はいいですか? それでは、製造業の常識を覆す旅に出発しましょう!

製造業(メーカー)の基本情報:
知られざる実態と驚きの事実
2.1 定義と範囲:あなたの生活の90%以上が製造業と関わっている
「製造業って、工場で物を作る仕事でしょ?」
そう思っている方、大きな誤解です。製造業の範囲は、皆さんが想像している以上に広く、実は私たちの日常生活のほぼ全てに関わっているのです。
具体例を挙げてみましょう:
- ・朝起きてスマートフォンを手に取る → 電機メーカー
- ・朝食のパンを食べる → 食品メーカー
- ・歯を磨く → 日用品メーカー
- ・服を着る → アパレルメーカー
- ・車や電車で通勤・通学する → 自動車メーカー、鉄道車両メーカー
- ・オフィスや学校で使うパソコン → 電機メーカー
- ・昼食に飲むペットボトルの飲料 → 飲料メーカー
- ・夜、テレビを見る → 電機メーカー
いかがでしょうか? 一日の行動のほとんど全てが、何らかの形で製造業と関わっているのです。
実は、日本の製造業の市場規模は約350兆円。これは日本のGDPの約70%に相当します。
さらに驚くべきは、製造業は単に「モノを作る」だけではないということです。
例えば:
- ・Apple:ハードウェアだけでなく、App StoreやApple Musicなどのサービスも提供
- ・トヨタ自動車:自動車製造だけでなく、金融サービスや車載システムの開発も行う
- ・ソニー:エレクトロニクス製品だけでなく、映画製作や音楽配信サービスも展開
このように、現代の製造業は「モノづくり」と「コトづくり」を融合させ、私たちの生活全体をデザインしているのです。
就活生の皆さんにとって、これは何を意味するのでしょうか?
それは、製造業が想像以上に多様なキャリアパスを提供しているということです。
エンジニアやデザイナーはもちろん、マーケター、データサイエンティスト、UXデザイナー、さらには金融の専門家まで、様々な職種が製造業で活躍しています。

2.2 主要プレイヤー:知られざる実力と意外な事実
製造業と聞いて、どんな企業を思い浮かべますか?
トヨタ自動車、パナソニック、日立製作所…確かにこれらは日本を代表する製造業の巨人です。
しかし、その実態は皆さんの想像以上に多様で、驚くべき事実が隠されています。
ここでは、主要プレイヤーの意外な一面と、あまり知られていない「隠れた主役」をご紹介します。
【大手メーカーの意外な一面】
トヨタ自動車
- ・自動車製造だけじゃない:実は世界最大の織機メーカーでもあります。
- ・AI開発にも注力:自動運転技術の開発のため、シリコンバレーに研究所を設立。
ソニー
- ・エレクトロニクスよりゲームが主力:PlayStation事業の売上が、テレビなどのエレクトロニクス事業を上回っています。
- ・金融事業も大きな柱:生命保険や銀行事業の利益が全体の20%以上を占めています。
日立製作所
- ・エレベーターの世界シェアNo.1:意外にも、世界中のオフィスビルで日立のエレベーターが使われています。
- ・ITサービスが主力事業に:IoTやAIを活用したデジタルソリューションが売上の40%以上を占めます。
【知られざる「隠れた主役」】
キーエンス(センサー・測定機器メーカー)
- ・日本一の高給企業:新卒初任給は月額60万円以上。
- ・驚異の営業利益率50%超:世界でも類を見ない高収益企業。
ファナック(産業用ロボットメーカー)
- ・工場の自動化で世界をリード:世界中の工場で使われるロボットの多くがファナック製。
- ・人口2000人の村に本社:山梨県の小さな村から世界市場を席巻。
村田製作所(電子部品メーカー)
- ・スマホには必ず使われている:世界中のスマートフォンに、同社の部品が使われています。
- ・5G時代の主役:次世代通信規格「5G」に不可欠な部品で世界トップシェア。
テルモ(医療機器メーカー)
- ・注射器の世界シェアNo.1:医療現場で使われる注射器の多くがテルモ製。
- ・人工心肺装置でも世界トップ:心臓手術に不可欠な装置で高いシェアを誇ります。
これらの企業は、一般にはあまり知られていないかもしれません。
しかし、その技術力と市場シェアは世界トップクラス。さらに、高い利益率と安定した経営で知られ、実は人気就職先となっています。
就活生の皆さんへのアドバイス:
- ・有名企業だけでなく、「隠れた優良企業」にも目を向けてみましょう。
- ・各企業の主力事業が、意外なところにあるかもしれません。深掘り研究が重要です。
- ・製造業は「モノづくり」だけでなく、サービスやソフトウェアなど、多様な事業を展開しています。自分の興味・特技を活かせる場所を探してみましょう。

2.3 市場規模と成長率:意外な成長分野と新たなチャンス
製造業は「成熟産業」で成長の余地がない…そう思っていませんか?
実は、製造業には驚くべき成長分野が多数存在し、新たなビジネスチャンスが生まれ続けているのです。
ここでは、製造業の中で特に注目すべき成長分野と、そこに隠されたチャンスについてご紹介します。
【急成長する製造業の新分野】
産業用ロボット市場
- ・市場規模:2020年で約1.8兆円、2025年には3兆円超へ
- ・年間成長率:15%以上
- ・主要プレイヤー:ファナック、安川電機、ABB(スイス)、KUKA(ドイツ)
なぜ注目?
- ・人手不足解消のため、あらゆる産業で導入が進んでいます。
- ・AIとの融合で、より高度な作業が可能になっています。
- ・医療・介護分野など、新たな用途が次々と生まれています。
就活生のチャンス:
- ・ロボット工学だけでなく、AI、IoT、ユーザーインターフェース設計など、多様なスキルが求められています。
- ・導入コンサルティングや運用支援など、技術以外の職種も増えています。
3Dプリンター関連市場
- ・市場規模:2020年で約1兆円、2025年には3兆円規模へ
- ・年間成長率:25%以上
- ・主要プレイヤー:Stratasys(米)、3D Systems(米)、GE(米)、DMG森精機
なぜ注目?
- ・試作品製作から最終製品の生産まで、製造プロセスを革新しています。
- ・医療(人工骨、義肢)、航空宇宙(軽量部品)など、高付加価値分野で急速に普及しています。
- ・「地産地消」型のものづくりを可能にし、サプライチェーンの概念を変えつつあります。
就活生のチャンス:
- ・3D CADスキルが大きな武器になります。
- ・材料開発、プロセス最適化など、化学や物理の知識を活かせる場面も多いです。
- ・カスタマイズ製品の企画・デザインなど、クリエイティブな職種も増えています。
次世代自動車関連市場
- ・市場規模:電気自動車市場だけで2020年に約10兆円、2025年には30兆円超へ
- ・年間成長率:25%以上
- ・主要プレイヤー:テスラ(米)、BYD(中)、トヨタ自動車、日産自動車、VW(独)
なぜ注目?
- ・環境規制の強化で、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)への移行が加速しています。
- ・自動運転技術の発展により、クルマの概念が「移動手段」から「移動空間」へと変化しています。
- ・バッテリー技術の進化が、エネルギー産業全体に影響を与えています。
就活生のチャンス:
- ・電気・電子工学、ソフトウェア工学の知識が重要になっています。
- ・UX/UIデザイン、エンターテインメントシステムの開発など、異分野からの参入も増えています。
- ・サービス設計(カーシェアリング、ライドシェアなど)の専門家も求められています。
バイオ製造市場
- ・市場規模:2020年で約3兆円、2030年には10兆円規模へ
- ・年間成長率:15%以上
- ・主要プレイヤー:アミノ(日)、ジェネンコア(米)、BASF(独)、味の素
なぜ注目?
- ・微生物を使って化学製品を製造する技術が急速に発展しています。
- ・環境負荷が少なく、持続可能な製造方法として注目されています。
- ・医薬品から日用品まで、適用範囲が急速に広がっています。
就活生のチャンス:
- ・バイオテクノロジー、遺伝子工学の知識が武器になります。
- ・プロセス設計、品質管理など、化学工学の知識を活かせる場面も多いです。
- ・持続可能性に関する知識や関心が、大きなアドバンテージになります。

就活生への重要メッセージ
1.「製造業」という言葉にとらわれないでください。その中身は驚くほど多様で、皆さんの想像を超えるチャンスが眠っています。
2.技術の融合が進んでいます。例えば、機械工学と情報工学、バイオテクノロジーと化学工学など、異分野の知識を組み合わせる力が重要になっています。
3.「モノづくり」だけでなく、「コトづくり」の視点も重要です。製品を通じてどんな体験や価値を提供できるか、大局的に考える力が求められています。
4.持続可能性(サステナビリティ)は、全ての製造業に共通する重要テーマです。環境や社会への影響を考慮する視点を持つことが、大きな強みになります。
5.デジタル技術(AI、IoT、ビッグデータ解析など)は、全ての製造業で必須のスキルになりつつあります。基本的な理解を持っておくことをお勧めします。
製造業は、技術革新とグローバル競争の最前線です。
その中で、皆さん一人一人が新しい価値を生み出し、世界を変える可能性を秘めています。
従来の枠にとらわれず、大きな視点で自分の可能性を探ってみてください。
次回は製造業をフレームワークを使って分析していきますよ!!お楽しみに!!