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就活には様々なアプローチの仕方がありますから、一概にどれが正解とはいえません。しかし就活をスムーズに進めていくためのテクニックはいくつか存在します。その中の一つに、あえて志望業界を絞って受ける企業を決める“業界縛り”があります。今回はそんな“業界縛り”をする上で注意してほしいこと、そしてあえて業界を絞らない“競争地位縛り”をご紹介します。

“業界縛り”に向いている人/注意すること

まず“業界縛り”で就活をするに適している方の特徴としては、「自動車が好き」や「飛行機に携わりたい」「商社マンに憧れがある」など具体的なビジョンが明確であることです。そのような方は“業界縛り”は有効な軸となるでしょう。半面、そのような方でも業界内での企業ごとの個性には注意を払わなければなりません。ひとくくりに「〇〇業界」といっても、企業ごとのカラーは多岐にわたります。
 
例えば同じ銀行でも、いわゆるメガバンクと呼ばれる大手銀行と地方で中小企業を相手にしている中小銀行では、同じ金融組織であるものの実際の仕事の仕方や企業としての考え方に大きく違いが生まれます。「〇〇業界だから~」といってひとくくりにしてしまうと、視野が狭まるうえ入社後にギャップが生じかねません。ゆえに “業界縛り”以外の軸でも企業を観察してみることが大切でしょう。

“競争地位縛り”で自分に合った企業を

“業界縛り”をすることで視野が狭まるのを防ぐためにも、あえて業界をしぼらない“競争地位縛り”をご紹介します。具体的には「とにかく業界No.1の企業しか受けない」「業界No.2の企業しか受けない」といった縛りです。業界内でのシェア率によって企業の戦略や文化はある程度決まっているため、“競争地位縛り”をすることでご自身の性格や目指す活躍像と重なる企業を見つけやすいという利点があります。簡単にその理由と具体的な例をご紹介します。

「競争地位」とは?

どのような業界においても、複数の企業が特定の業界内でのシェアを奪い合い、その獲得率によって「業界No.1」や「No.2」といった順位が決まっていきます。これらの各企業を「経営資源の量」と「経営資源の質」の軸で分類することを、マーケティング用語で「競争地位」と呼びます。「競争地位」において、企業はマーケット・リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4つに分けられます。

ホンダに見る「競争地位」の重要性

バイク業界においてのシェアNo.1企業はホンダ技研(以下ホンダ)です。バイク業界の中ではNo.2のヤマハ発動機(以下ヤマハ)の追随を許さないマーケット・リーダーとして不動の地位を築いている一方、自動車業界におけるホンダは圧倒的No.1のトヨタ自動車を追いかけるマーケット・チャレンジャーの立場です。同じホンダでもバイク事業部の戦略と自動車事業部の戦略はまったく異なってくるのです。
 
バイク業界でのホンダは、リーダーとして君臨し続けるために現在のマーケットの均衡を継続させることへ注力すればよく、一定の挑戦や改善をしつつもドラスティックな変化が起きないように豊富な経営資源を武器にマーケットをけん引する戦略を立てます。一方、自動車業界でのホンダはリーダー(トヨタ自動車)がやらないような、業界内での常識を覆すような商品を開発することで均衡を打ち破る戦略を立てるのです。
 
このように企業は競争地位によって考え方や戦い方が大きく異なる一方、業界内の競争地位に注目して企業を探すことで、ご自身の理想的な働き方とマッチさせやすくなります。「自分はマーケット・リーダーとして安定した戦い方(働き方)をしたい」と考えるなら業界No.1企業で、「常識を打ち破るような仕事をしたい」と考えるなら業界No.2で探せば特定の業界に縛られず広い視野で理想的な企業を見つけられるはずです。

また、ここでは詳しく触れませんでしたが、「個性を的な攻めた仕事をしたい」方はマーケット・ニッチャーと呼ばれるような企業を探せばいいでしょう。(マーケット・フォロワーは企業としてあまり良い状態とはいえないので割愛します)

広い視野を持って就活を

今回は“業界縛り”の注意点と“競争地位縛り”のご紹介をしましたが、みなさんにお伝えしたかったのは視野を狭めすぎないこと。業界だけで企業を探せばそれだけご自身の職業選択や個性の発揮の場が広がりません。今回はご紹介しませんでしたが、業界ごとの給料や、働く地域など他にも絞り込みの条件はたくさんあります。ぜひご自身にあった切り口で就活を進めてください。

YouTubeで動画も公開中

”業界縛り”の注意点やその他の企業の探し方について、元P&Gジャパン採用/研修統括マネージャーのレクミーおじさんが詳しく解説している動画はYouTubeでも視聴できます。記事には載せきれなかった貴重な話も聞けるので、ぜひレクミーチャンネルもチェックしてみてください。
【業界縛りはするな!】大多数の就活生が陥る、業界縛りの罠