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投資家目線で女性活躍を評価する
投資家目線で女性活躍を評価する

近年は女性の活躍を促進する目的で様々な企業に対する認定が行われています。有名なものとして「くるみんマーク」や「えるぼし」などが挙げられますが、この記事では株銘柄として選定される「なでしこ銘柄」を紹介します。それぞれの違いや企業の取り組みを知って企業選びの基準として活用してみてください。

なでしこ銘柄とは

「なでしこ銘柄」とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定し、発表している株式銘柄のことを指します。厚生労働省が認定している【えるぼし】や【くるみんマーク】などと同じく、女性活躍推進や国内の生産性向上を目標とする活動の一環として企業に対して認定を行っています。しかしそれぞれ異なる選定基準に基づいて認定が行われているため、認定基準について正しく認識・理解する必要があります。
なでしこ銘柄はそもそも投資家に対してお墨付きの企業銘柄を紹介して投資を促進する目的で選定されています。特にESGや健康経営、ダイバーシティ経営などの経営形態や組織の特色、CSRをより重視している投資家も増えてきたため、女性の活躍推進による企業価値向上を重視する投資家をメインターゲットとしています。
しかし、投資家だけでなく就活生や企業を知りたいと思う人であれば誰でも参考にできる銘柄表記ですので、ぜひ企業ごとに確認してみましょう。

なでしこ銘柄 選定基準

具体的な選定基準としては、各業種ごとでの判断で、東証一部、二部、マザーズ、JASDAQに上場している企業という範囲の中で行われます。特徴的な点としては全27業種から各業種で1~2枠のみの選定、一定水準以上であれば枠数を超えての選定も可能である、という業種内での相対評価を中心としています。
女性活躍推進に関する全社的な取り組みや各社における女性活躍に関する課題と解決策の公開や、厚生労働省「女性の活躍推進データベース」への「女性管理職者比率」の開示を条件としているようです。
そのうえで女性活躍度調査によるスコアリング結果とROEによる加点で毎年度選定が行われるようです。ちなみにROEとは自己資本利益率のことを指し簡潔には自己資本でどれだけ効率的に利益を創出することができるかを表しています。また、一般的に10%程度であると非常に効率的な利益創出が行うことのできる優良企業として認識されます。
(参照:経済産業省Webサイトより
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/nadeshiko.html)

えるぼし・くるみんマークとの違い

えるぼしやくるみんマークも女性の活躍や育児に関する内容での評価として理解されています。しかし先述した通り、投資家を中心にターゲティングした内容なので、福利厚生の面よりも、高い生産性を創出しながら健康経営が見込めるか、株価向上が見込めるかなどの視点が強い印象です。さらに、企業における最高責任者の認識や取り組みも女性活躍調査に含まれるそうで、具体的な内容で経済的により高い水準で評価、スクリーニングされています。
加えて、業種ごとで枠が決められていることからくるみんマークやえるぼしでの認定が少し難しい建設業界においても「なでしこ銘柄」として選定されている企業があります。志望する業界内での評価を確認する指標として参考にするのも良いでしょう。

準なでしこ・なでしこチャレンジ企業 の登場

2012年から選定の始まった「なでしこ銘柄」ですが近年はより企業における女性活躍に関する情報開示が発達したことなどから、2018年より選定から漏れた場合にも一定水準を満たした企業に対しては業種枠数に関係なく「準なでしこ」という評価をし、女性活躍度調査に回答した企業に対しては「なでしこチャレンジ企業」として紹介されるようです。

なでしこ銘柄選定企業

2018年には43企業が選定されました。その中から選定数の最も多い業種の水産・農林業・食料品部門からキリンホールディングス、卸売業から双日、陸運業、倉庫・運輸関連業から東急電鉄を紹介します。

キリンホールディングス株式会社

キリンビールやキリンビバレージなどをグループ会社にもち、キリン一番搾りや午後の紅茶などの酒類・清涼飲料水などを提供しているメーカーのキリンホールディングス株式会社では、「食から医にわたる領域で価値を想像し、世界のCSV先進企業になる」ことを目標としています。
2017年、2018年と2年連続で「なでしこ銘柄」として選定されました。キリンホールディングスにおける特徴的な取り組みとしては、「なりキリンママ・パパ」と称した育児両立未経験者を対象に育児両立時に想定される労働時間制約を体験させるプログラムです。限られた時間の中で効率的にアウトプットする大切さや育児両立者の立場や状況を理解することが体験的に可能になり、実験を積み重ねた結果として生産性向上に役立てられたことが評価されました。
(参照:キリンホールディングス株式会社 ニュースリリースhttps://www.kirinholdings.co.jp/news/2019/0322_01.html

双日株式会社

7大商社の一角として知られる総合商社の双日は、2004年にニチメンと日商岩井株式会社の合併により発足した最も新しい総合商社で、航空産業に強みを持っています。ダイバーシティ経営を重視した取り組みに力を入れています。
そんな双日では、2018年から2年連続で「なでしこ銘柄」に選定されています。特に特徴的な点としては2016年から2018年までに女性総合職採用比率は22%から37%まで伸ばし、男女に関わらず育児休暇の取得やフレックスタイム制が浸透している点です。さらに男性の育児休暇推進を目的とした企業を宣言する「イクボス宣言」を商社として初めて行い、男女に関わらない育児の促進とそれによる女性活躍の底上げを目指し評価されました。
(参照:双日株式会社 ニュースリリース https://www.sojitz.com/jp/news/docs/190325.pdf)

東京急行電鉄株式会社

東急東横線や田園都市線を運行する企業としての印象が強い東急は不動産事業や生活事業、ホテル事業など幅広い事業を展開する企業です。話題になった渋谷スクランブルスクエアの開発なども行い、注目度、人気共に高い企業として知られています。
そんな東急ではなんと「なでしこ銘柄」の選定が始まった2012年から全ての年度で認定されています。これは全上場企業の中で唯一であるとして注目を集めました。毎年度選定を受ける東急では、女性の活躍を推進する組織的な改善を重点的に行っています。「制度・風土・マインド」の3つの視点からトップダウン、ボトムアップの両側から取り組み、ワークショップなどが盛んに行われます。女性のキャリアに関するロールモデルも構築し、2018年には女性総合職採用比率が50%に達しました。ダイバーシティの促進とネットワークの拡充を並行して行い、男性の育児休暇取得も50%を越えるなどの発展を遂げています。
(参照:東京急行電鉄株式会社ニュースリリースhttps://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20190322-3.pdf)

【なでしこ銘柄】も参考に企業選びをしよう

いかがでしたか。くるみんマークやえるぼし同様、女性の活躍状況を評価基準とする一方で、その評価には女性のみならず全ての従業員、ダイバーシティの促進などが関連して重要な評価基準となっています。女性が企業選びの参考とすることはもちろん、ダイバーシティに溢れた企業への興味が強い就活生にとっても大変参考になりますのでぜひ、チェックしてみてください。