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優秀なスキルを持つ「IT人材」「グローバル人材」の確保に向け、有名企業が続々と初任給の大幅アップに動いています。中には初年度から年収1000万を提示している企業も。志高い就活生や人一倍勉強に全力投球した就活生の新たな選択肢である「高度人材採用」についてご紹介します。

「高度人材採用」

新入社員の初任給を大幅に引き上げて優秀な学生を囲い込もうとする動きが進んでいます。具体的には、即戦力となりうる「IT人材」や、企業の海外進出をリードする「グローバル人材」の2種類の人材獲得に向けた採用が進んでいます。こうした即戦力の新卒人材を採用する採用形態に正式な名称はありませんが、今回の記事では「高度人材採用」と呼んでいます。

新卒内の初任給の差が広がる

新入社員の給与といえば、高卒・大卒・大学院卒などの学歴によって、もしくは一般職か総合職かの職種によって給与に差が生じることがほとんどでした。学生個人のスキルを正確に測る物差しが存在しないため、経歴や期待値で大まかに判断せざるを得なかったからだと言えます。ここで、学生の素質を丁寧に査定するために高い給与を提示してよりハイレベルな学生を集める新しい物差しを作る流れが出来てきました。

IT業界全体・各業界のリーディングカンパニーで顕著

高度人材採用の流れはIT業界全体、もしくは各業界を牽引している最大手の企業が積極的に取り組んでいます。
いずれの企業でも入社後は実力主義が顕著な傾向が既にあり、入社前・就職活動前の段階からスキルを磨いて実績を積むことができるかというフェーズに突入しています。
今回は大幅な初任給アップで注目を集めた「くらホールディングス(無添くら寿司)」、「ソニー」の採用をピックアップします。

【例1】無添 くら寿司

回転寿司チェーンの「無添 くら寿司」で知られるくらホールディングスは、2019年8月現在で既にアメリカ・台湾に各20店舗前後を運営しており、積極的な海外進出を牽引する幹部候補生の確保を目指す「エグゼクティブ新卒採用」をスタートしました。
外食産業の年収は上位学生に人気のあるコンサルティングや総合商社からは大きく見劣りすると言われている中で、将来的な世界展開を見越した人的資源への投資といえるでしょう。

採用条件と待遇

採用条件としては、26歳以下であること、ビジネスレベルの英語力があること(TOEIC800点以上)、簿記3級を取得していることが必須となる条件で、約230人採用する新卒人材とは別の特別枠として最大10人まで採用する予定です。
給与は年俸制で、初年度から1000万円を支払うという計画を打ち出しました。
同社の有価証券報告書によると従業員の平均年収450万円であり、幹部候補生の年収はそれを大きく上回っています。

【例2】ソニー

国内大手の電子機器メーカー・IT企業である「ソニー」も新入社員の初任給に差をつける採用形態をスタートさせています。AIやソフトウェアの知識に長けている人材はいわゆる「デジタル人材、AI人材」と呼ばれ、Googleなどに代表されるGAFAといった巨大IT企業やメガベンチャーなどの新鋭企業に人材が流出しやすいことが国内IT企業の課題です。

採用条件と待遇

ソニー内では9段階の等級で人事評価が下され、デジタル人材は新入社員の段階で4段階目の「主任クラス」の等級に抜擢されます。同社内ではこれまで、新入社員の入社1年目給与は横並びで「等級なし」でしたが、新入社員内で学歴以外の要因で給与の差が生まれるようになります。
等級なしの大学院卒新入社員は年収600万円前後ですが、デジタル人材は入社後最短3か月で、入社2年目相当の等級である約630万円、もしくはその上の等級で約730万円まで到達します。
同社の新入社員は約400人ですが、そのうち5%ほどの社員がデジタル人材としての採用に割り振られると見込まれています。

今後の就活市場で考えられること

優秀な学生に対する待遇改善の流れは今後の就活市場にどのような影響を与えるでしょうか。

初任給アップと初任給横並びの完全崩壊

IT業界にかからわず様々な業界でデジタル人材やグローバル人材は必要不可欠な人材になるため、今後も各社が初任給をアップする流れが加速するのではないかと考えられます。代表的な企業だと、ユニクロを経営するファーストリテイリングは2020年入社の新入社員の初任給を20%引き上げることを発表しています。
また、日本の雇用システムの年功序列は実力主義の雇用システムに変化し、初任給の横並びは少しずつ崩れていくのではないかと考えられます。ヤフーやNTTデータ、LINEなどでも新卒に限らず高度人材の待遇を改善する「プロフェッショナル登用」をする企業が増えています。

囲い込み&内定拘束が激化

全員に等しく好待遇を与えてしまうと、競い合って能力を高めるインセンティブに欠けてしまうため、今後も採用枠は小さいままではないかと考えられます。
少ない内定者に内定を辞退されないように、今まで以上に内定後の拘束や囲い込みが激化するのではないかと考えられます。具体的には、業務に関する事前セミナーや研修を定期的に開講する、長期インターンとして業務の補助に参加するなどで入社後のイメージを具体的に描いてもらい、就活終了後も内定者と企業が密に関わるプログラムがより強固に組まれるのではないでしょうか。

在学中からスキルを磨こう

自身のコミュニケーション力やサークル・部活の経験だけでは通用しない時代がもうすぐ到来するかもしれません。入社後にすぐ活躍できるスキルや語学力を磨いて就活に臨むことが大切ですし、内定承諾後も入社後の自分を思い描いて必要なスキルを蓄えましょう!