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自己分析をして、夏インターンに参加。面接にも慣れてきて満を辞して本選考!のはずが、志望理由を考える中で苛まれる疑問があります。「その志望動機ってこの会社じゃなきゃできないこと?」。この質問は採用面接の場でもよく聞かれ、インターン選考との違いに戸惑う学生も多いです。面接の場で焦らないためにも、自分の納得のいく「御社」の探し方を筆者の経験をなぞりながら考えていきたいと思います。

「気になる業界」から志望業界へ

修士1年の秋、5社の夏インターンを経験した筆者はふと考えました。ガクチカの深掘りを通じた自己分析は済み、他の学生に比べたくさんのインターンを経験したことでGDやグループワークにおける自分の立ち回り方も客観視することができました。満を持して志望業界・企業選びのはずが、「インターンという経験のためだけでなくファーストキャリアとして考えた時に、志望企業に対してここじゃなきゃいけないという強いこだわりが持てない」「そもそも志望業界もどんどん広がっていってしまって収拾がつかない」といった違和感を感じました。「気になる」を「志望」まで形にするために筆者が行ったプロセスは以下の三つでした。

「気になっている業界」がなぜ気になっているのかを言語化する

当時の筆者がぼんやり気になっていた業界はコンサル、ディベロッパー、IT、金融リサーチ職、国際公務員でした。一見全く異なるように見える業界ですが、なぜ気になっているのか。それらの共通点を探すことから始めました。結果わかったことの一つ目として、筆者は仕事を通じて今の世の中の時流をつかめるようになりたいと思っていることがあります。特にとあるテクノロジーなど、特定の分野の最先端に触れていたい、というよりは、一個人の生活に関わるレベルでの変化を、世の中全体を見渡すなかでつかんでいたいという気持ちが強いことがわかりました。二つ目はビジネスという性質上生まれている壁を打破し、社会課題の解決と利益の維持の二つが両立できる状態を目指したいと感じていることが分かりました。あくまで持続可能性を維持するためのビジネスの視点を忘れずに、企業として社会課題の解決に取り組んでいく、またはその土壌づくりに関わりたいと感じていることがはっきりしてきました。

健全なビジネスモデルを持つ業界を探す

筆者にとって重要なことは、ビジネスとして成り立ちながらも社会課題にアプローチし、業界が抱える課題にメスを入れるような仕事ができることでした。そこで、ビジネスモデル、という視点で各業界・職種を見てみることにしました。例えばITの中でも業務効率化システムを作る業界は、既存の中小企業の抱える人材不足をシステムによる効率化により解消することができます。メーカーの中でも生産から流通までを負っているビジネスモデルの会社は、流通や物流を自社で管理することにより、需給予測を精緻化させて在庫ロスをなくす可能性を秘めているという点で魅力的でした。
このような視点で業界を捉えた際に、業界でビジネスモデルはひとくくりにできず、企業の社風やリソースや立ち位置の違いによって、力を入れている分野が異なるのだという視点が得られました。例えば同じ不動産業界でも、持つ資産の違いなどから、熱量を入れて取り組んでいる分野(新規開拓なのか、既存の土地の運用なのか等)が各社で異なります。このような見方は志望業界から志望企業探しへと移る際にも役立ちました。

ガクチカにおける自分の役回りを抽象化し、志望業界のビジネスモデルと照らし合わせる

「自分が学生生活において達成したことは何ですか」というのは「ガクチカ」とも呼ばれる面接の頻出テーマですが、この考察は志望業界探しにも活かすことができます。例えば関わりたいテーマが「スマートシティの実現」だったとして、どのようなアプローチでそのテーマに関わることができるかは業界によって異なってきます。車メーカーならば自動運転技術の開発そのものや、技術を活かせる街づくりの提案をすることができます。ディベロッパーならば、理想的な都市構造の達成のために土地の収用を行い、完成後の運用プロセスまで関わることができるでしょう。行政の立場ならば、多くの行政計画の一つとして、市民の声と企業の声の調整を営利活動から離れた立場で行うことができますし、場合によっては国有財産を大規模開発のために活用することもできるでしょう。コンサルは利害関係の整理を行政に比べて短期間で現場に近い立場で行うことができます。このように業界によってアプローチする課題が同じであっても、関わり方が異なってきます。ガクチカにおける自分の役回りと業界の役回りを照らし合わせた時に、重なる関わり方をする業界を選べば自ずと業界は絞られ、また何となく選んでいた業界に志望理由とも言える子がわりが生まれてきました。調整役か自分でアイデアを出す役か、深く長く関わるか浅く広く関わるかなど、簡単な軸でいいので業界を分析してみると良いでしょう。

志望業界探しから志望企業探しへ

志望業界が定まってきたところで、いよいよ志望企業探しです。この作業無くしては面接官と自分自身双方にとって納得のいく志望理由に行き着くことはできません。筆者は物事を客観的に見過ぎるあまりに、一つのものに自分の意見を持つことが苦手でした。そんな筆者がここに入って活躍したい!と思える企業に出会い、想いを強くするために意識した点は以下の三つです。

その企業のリソースを最大限活用して自分が達成できることを具体化してみる

資金、大規模なインフラ、優秀な営業力や技術力、社会的信用、アクションの身軽さ、他企業とのコネクション、企業体力・・・企業によって持つリソースは様々です。それらのリソースを使い倒し、企業にとっても自分にとっても理想的な目標を達成する可能性があってこそ、自分という人間がその企業に入社する意義があるというものです。そのために志望業界の企業のもつリソースや中期方針を整理してみましょう。この点を考え抜くことは、「何で他でなくうちなの?」に自信をもって答えるために必要不可欠です。学生という立場で考えられることなどたかがしれている、と弱気になる必要はありません。必要なのは面接官を唸らせる事業ビジョンではなく、「御社」の現状理解と、自身と企業の目的や風土の一致であるからです。

自分のガクチカを各社の社風と照らし合わせる

ガクチカにおける自分の役回りを顧みることで、志望業界を探した、という思考プロセスは既に述べた通りですが、この考え方は志望業界が定まってきたタイミングでこそもう一度鑑みるべきです。一日8時間を費やす労働という行為における居心地の良さは重要であり、単に労働環境といった環境面だけでなく、労働の質も日々の満足度を大きく左右します。自分にとって心地よい役回りができる企業を見定めるために、各企業の掲げる社風を判断していきましょう。例えば「若手から裁量が大きい」と一口に言っても企業によって裁量の質が異なります。単純に決定権のある役職につける年齢が若いことが一番イメージしやすい裁量の大きさです。一方で取引コストを一単位あたり5円引き下げることで結果として会社の利益を100億増加させることも裁量の大きさの一つとも言えます。また、新規事業の立ち上げに何千万という額の予算をつけて任されることも裁量の大きさの一つでしょう。この様に各社が掲げる「若手から裁量が大きい」というフレーズの真意は異なっています。それらを見定め、自分にとって一番居心地のいい裁量の大きさは何なのかを自身の経験と照らし合わせて考えてみることをおすすめします。

業界という垣根を外して考える

ここまで志望企業探しを行ってきたところで、人生初めての経験である労働という行為において、自分にとって見定めるべきポイントは何なのかがはっきりしてきたと思います。そこでもう一度、それらの条件を満たす企業を業界という垣根を外して考えてみましょう。筆者の場合の重視するポイントは以下の通りでした。「仕事を通じて社会課題が解決できる」「新しいことを取り入れることに躊躇いがない」「利益追求にならない、または利益の追求が社会課題の解決と一致している」「失敗しても次の挑戦、という転換ができる」「社員の知的好奇心が旺盛で合理主義でありながら暖かい」これらの抽象化された条件が整理された結果、筆者は当初考えていなかった決済システムという興味深いビジネスモデルや国家公務員という選択肢を検討することになります。

面接の成功は自分の志望理由への自信から

表情一つとっても面接内容の印象は大きく変わってきます。発言に説得力を持たせるために必要なことは、自分自身腑に落ちる志望理由を持つことです。自分一人を納得させられない浅い志望理由では、面接官を納得させることなどできません。何事にも懐疑的な筆者が、就活の際に用いた上記の方法を用いて志望企業を探すことで、納得のいく志望理由の整理と企業選びに役立ててください。