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就職活動で見落としがちなポイント
就職活動で見落としがちなポイント

さまざまな企業研究を行ってきた就活生でも見落としがちな大切な要素があります。本気で企業研究したい方向けに今回は企業研究5つの観点をご紹介します。

企業研究の意外と大切なポイント

1つの案件はどれくらいの期間で完了するか

近年の就職活動では、将来的な転職を視野に入れながら企業を選ぶ就活生も増えてきています。市場価値を下げないよう成長機会を求めることは大変合理的ですし、「安定」のカタチが時代に合わせて変化したように感じます。
しかし、努力できる環境や実績を作れる環境でなければ市場価値を高めることはできません。そこで参考になるのが、「1つのプロジェクトがどの程度の時間感覚で進んでいくか」ということです。重厚長大な産業などでは1つのプロジェクトを完遂するのに5年以上の期間を要することもあり、多様な経験を積めるかは不透明な場合があります。入社後どのようなキャリアを経験していくのか、徹底的に具体化していきましょう。

主な転職先はどこか。またその時の評価ポイント

転職が当たりまえの時代と言われますが、会社によってどのような転職先になるかは変わってきます。コンサルティングファームやメガバンク出身者は20代半ば、もしくは後半でソフトスキルを評価され入社するケースが多い印象です。ソフトスキルとはコミュニケーション能力やリーダーシップなどさまざまな場面で発揮できるスキルのことで、ビジネスマンとしての基礎能力といっていいでしょう。コンサルタントやバンカーなどはこの能力が身に付いているため、比較的幅広い業界への転職が考えられます。
では大手自動車部品メーカーの社員の転職先はどの業界になってくるでしょうか。部品メーカー社員のアドバンテージとして想定されるのは、海外営業経験やSCM(サプライチェーンマネジメント)のノウハウ、もしくは自動車業界一般のネットワークです。これらは先ほどのソフトスキルに対して、専門的な色を帯びたハードスキルと言えるかもしれません。何が身につくか、身についたものを評価してくれる転職先はどのような業界・企業かを検討しておくと、より明瞭なビジョンが描けるのではないでしょうか。

新卒を重視するか、中途でも活躍できるか

日本企業は伝統的に新卒一括採用を重視してきました。新卒から入社してきた社員を一から鍛え上げ、やがては会社を担う人材へと育成するモデルは財閥系企業をはじめ、今でも伝統的に採用されています。転職を念頭に考える就活生の中には、「将来の選択肢を広げるために」外資系企業やコンサルティングファームを新卒の入社先として選ぶ方も多いのではないでしょうか。
たしかにこれらの企業は若手から責任を伴う大きな役割を経験できる可能性は高いです。一方で、「将来の選択肢を広げられるか」というポイントには注意が必要です。前述の通り、新卒を大切にする会社は日本の大企業に未だ多く存在します。具体的には、中途入社を活発に行っていなかったり、幹部級社員は新卒で固めるという形で新卒を優先する組織です。
外資系企業やコンサルティングファームが大量の中途社員を抱え、活躍の場を提供している一方で、日本企業には「新卒が圧倒的に有利な企業が存在する」ということをしっかりと認識しておいてください。後から気づいて手遅れになっては大変です。

年収ではなく、可処分所得に注目する

募集要項や口コミサイトで踊る給与の数字は気になりますよね。誰しもお給料はたくさんもらいたいものです。高給で知られる総合商社、金融機関、投資銀行、コンサルティングファームは就活生に高い人気を誇っています。
こうした収入を考える際に押さえておきたいのは、「可処分所得」を見るということです。可処分所得とは平たく言えば「実際に手元に残る金額」を指します。
可処分所得に注目する理由は2つあります。
第一に、日本企業では「福利厚生」という形で可処分所得が引き上げられるからです。代表的なものとして家賃補助があります。家賃補助を毎月10万円もらえれば、可処分所得は一年で120万円上昇します。その分、交通費や諸手当を用意していない企業もあるので注意してください。
筆者が見た事例として、額面上は500万円以上をオファーしている一方で、住宅補助はもちろん、通勤の交通費も社員持ちのケースがありました。
2つ目の理由は逆に会社が原因で可処分所得が引き下げられることもあるということです。例えば飲み会やゴルフといった接待を考えてみましょう。
2か月に1回6万円の接待ゴルフをすると→6万円×6回=36万円
隔週で開催される会費1万円の飲み会に参加すると→毎月2万円×12回=24万円
単純計算で年間60万円の可処分所得を失う計算になります。

社内における学歴と出世の関係

昔に比べると、学歴のハードルは下がったと聞きます。上位大学ではないけど、第一希望群の内定をもらえた!という就活生の方も多いのではないでしょうか。
しかし、未だに説明会・ESなど選考段階における学歴重視の慣行は残っています。限られた人事社員が膨大な数の学生を選考するにはやむを得ないという事情も背景にあります。
筆者がより深刻にとらえているのは選考での学歴重視ではなく、社内競争、出世における学歴主義です。「そのポストは東大卒がやることになっている」こうした文化が残っていると、思わぬキャリアの障害になりかねません。OB訪問や口コミサイトを活用して、会社の学歴に対するスタンスを把握しておきましょう。

企業研究に終わりはない

平成の30年間、新卒入社社員の離職率は30%付近を推移し続けました。インターンシップや口コミサイトが浸透してもこの水準である事実が、いかに企業と学生のマッチングが困難であるかを物語っています。それでも自己分析と企業研究を徹底すれば、真にフィットした企業を選べると筆者は信じています。今回ご紹介した観点も活用しながら、さまざまな角度からのマッチングを心掛けてみてはいかがでしょうか。