ページ上部バナー
尊敬する人はいますか?
尊敬する人はいますか?

就活の面接で「あなたが尊敬する方は誰ですか?」と聞かれることはしばしばあります。出題の意図を十分に理解しておかないと、的外れな回答をしてしまう恐れも。筆者も対策無しでこの質問をされた際は戸惑ってしまいました。質問の意図をしっかり抑えて、効果的に自分らしさを面接官に伝えましょう。

「尊敬」≠「好き」

必ずしも「好きな人」が「尊敬する人」であるとは限りません。その人のルックスやスキルなどの外的な魅力ではなく、人間性において感じる内面的なものに魅力を感じる人が「尊敬する人」であるはずです。このことに留意して、尊敬する人を思い浮かべてみましょう。

尊敬する人を聞く理由

企業がこの質問をする理由から考えると、自然と尊敬する人が思いつくかもしれません。

価値観を見るため

学生が「どんな人を尊敬するのか」を知るということは、学生が「どんな人間性に魅力を感じるか」という価値観を見ていると言えます。その価値観から、「どんな人間に将来なりたいのか」、もしくは「どんな性格や行いを重んじてこれまで歩んできたか」といった本人の性格が浮かび上がります。そこから、就活生の性格と企業の社風や経営理念とのマッチング度を測っています。

説明の論理力を試すため

尊敬する人を聞く際には、「その人がどんな人なのか、自分がどういった理由で尊敬しているか、その人を見て自分はどう考えたか」という点まで論理的に、簡潔に伝えなくてはいけません。特に著名ではない身近な人物を挙げる場合は、自分との関係から尊敬しているポイントを見つけるに至るまでを順を追って説明できないといけません。
さらに、それまでに回答してきた内容との相違がないか、自己分析が十分になされているかも試されています。自分の強みを伸ばした先にある人か、それとも自分の弱みを補っている人なのかを自分の中で理解しておきましょう。

尊敬する人の例

「尊敬する人」として考えられる代表的な例として3つご紹介します。皆さんが思い浮かべた人物はいずれかに該当しているのではないでしょうか。

両親・親族

皆さんが尊敬できる人の中で最も身近な存在は両親や親族のはずです。自分が困っているときに手を差し伸べてくれたのはきっと両親で、そのエピソードも相当事細かに語れるはずです。視野の広さや洞察力、優しさなど、尊敬できるポイントはたくさんあると思います。しかし、ただの感謝の心を伝える文章になってはいけません。深く知っているあまりに客観性に欠けたエピソードにならないように細心の注意が必要です。

先輩や先生、同級生などの身近な人

先輩や先生などにお世話になり、尊敬できるポイントを見出した方もいるはずです。こちらは、自身がほかで語ったエピソードに結びついている方が好ましいです。
たとえば、学生時代に頑張った経験でサークル活動について話す際、そこでの苦労を手助けしてくれた、もしくは苦楽を共にした経験を論理だてて話すことであなたの経験や人間性がより具体的に伝わります。

歴史上の人物や経営者など

偉人や経営者などを挙げるケースでは、その人の偉業や功績を説明して自身が社会人として達成したいキャリアビジョンに重ね合わせ、その人の内面に感じる魅力を説明しましょう。
ただし、自身のキャリアビジョンや考え方と大きく乖離した人物を挙げてしまうと、自己分析力が欠けていると取られかねません。
筆者はこの質問に対して、働き方改革に早期から尽力した味の素株式会社の社長である西井孝明氏を挙げたことがあります。ただし、同業他社は禁物ですし、受検している企業の経営者を答えるのもかなりの理解度が問われるのでお勧めできません。

ふさわしくない例

一方で、尊敬する人の回答としてふさわしくない例としては以下の3つが考えられます。

尊敬する理由が稚拙

突然「尊敬する人」を聞かれ、つい安直な人物を挙げて稚拙な理由を並べてしまうと、ここまで面接でアピールしてきたあなたの論理力が台無しになってしまいます。
例えば、野球が上手いからイチロー選手、世界的に成功を収めたからスティーブ・ジョブズ氏という説明は、その人の成果、外面的な要素しか見れていない幼稚な説明になってしまいます。もしもそうした人物を挙げるなら、その人が成功した要因や内面的な性格、努力をした過程などにフォーカスを当てることが必要です。

知名度が低すぎる人物

自身と日常生活での接点がなく、かつ世間での知名度が低い人物を挙げると説明に苦心するかもしれません。どうしてその人を尊敬しているのかを一から丁寧に話すことになりますし、年齢が離れた面接官にも納得してもらうことを考えるとあまりお勧めできません。
その説明が不自然だと、「尊敬する人を聞かれた時専用の人」を事前に考えてきたと受け取られかねません。その人を知るに至る経緯から順を追って説明できるようにしましょう。

尊敬する人物がいない

ここまで読まれた皆さんならお分かりだと思いますが、尊敬する人物がいないと答えてはいけません。他の質問にも同じことが言えますが、面接官の質問の裏にはすべて意図があります。どうしてこのような質問をしてきたかという理由をもう一度読み直して、自分なりの回答を用意してみましょう。

最後は「これからの自分」で締めくくろう

最後に、その尊敬する人物の姿を見て自分がどのように考えたかを答えましょう。
その人は自分に無い魅力を持っているから将来的にその人のようになりたい。自分と考え方が似ているから尊敬している。感じ方は人それぞれですが、そんなビジョンを持つあなたが企業にどのように貢献することができるのかという「これからのあなた」の魅力を企業に伝えて締めくくりましょう。