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SIer業界
SIer業界

「SIer」業界はインフラやシステムをITの力で構築し、社会を裏側から支えている業界です。文系学生にはあまり馴染みのない業界ですが、ITに携わりたい就活生にはオススメの業界です。今回は業界の特徴や代表的な企業、選考のアドバイスを業界内定者の筆者が解説します。

SIerとは

SIerとは、システム・インテグレーター(System Integrator)の略称で、エスアイヤーと読みます。上述の通り、文系学生には馴染みが薄い業界ですが、SIer企業が採用する新卒学生の3~4割程度は文系出身の学生です。この章では、業務内容や、SIer企業で働くメリットについてご紹介します。

SIerの業務内容

システム・インテグレーションとは、新しいインフラやITのシステムを構築するにあたり、相手となる企業のニーズを分析し、課題を解決できるようなシステムを企画・開発し、その後の運用・サポートまでの一連の業務を指し、請け負う企業がSIerと呼ばれています。
消費者ではなく企業を相手に取引を行っているためB to Bの企業と言えます。
IT業界は、SIer業界とWeb業界に大きく二分され、後者のWeb業界では自社で開発したシステムを消費者に利用してもらうことで収益を上げているのでB to Cの企業と言えます。Web業界はTwitterやFacebook、メルカリなど学生にも知名度が高い企業が多いです。
選考に臨む際には、この2つの業界の違いを明確に理解しておく必要があります。

SIerとSEの違いは?

同様に、就活生が混同してしまう単語として、SE(システム・エンジニア)が挙げられます。
端的に違いを説明すると、「SIer」は業界全体や法人の区分を指す単語で、「SE」は職種や個人を指しています。SIer企業の中に、SEとして働く人材もいるというイメージが正しいです。
SIer企業によって社内での職種の区分は様々ですが、プログラミングやテスト、運用を専門に扱うSEのほかに、相手の法人と実際にコンタクトを取る営業やコンサルタント、企画と細分化されている場合もあります。

大きな企業とビジネスできる

SIerの特徴は、大きな企業と直接やりとりをしてビジネスを一から組み立てて大きいプロジェクトに関与することができる点です。その相手はハードウェアメーカー業界や商社の大企業、官公庁などのケースが多いです。
ハードウェアメーカー企業から独立して設立されたSIer企業を「メーカー系」、商社や金融のシステム部門が独立して法人化したSIer企業を「ユーザー系」と呼びます。これらに分類される企業だと親会社となる企業からのシステム開発案件を受注することも多く、外部からの案件と親会社からの案件の割合は企業によって様々ですので、企業研究をされる際はその割合なども重視しましょう。

都内勤務か海外勤務が多い

官公庁や大企業、もしくは親企業の案件を担当するにあたり、都内での勤務が多くなるのもSIer企業の特徴と言えるでしょう。実際に顧客と頻繁にコンタクトを取り、その企業の課題をヒアリングしてシステムの開発を提案するので、すぐに足を運びやすい都内での勤務が必然的に多くなります。
さらに、海外進出を図る大企業のサポートや、もしくはアジアをはじめとする新興国の政府をシステム面からの援助という形で海外にも活躍の場を広げています。そのため、今後は国外でも活躍できる人材がより求められるはずですので、グローバル志向の学生にはお勧めです。

文系でも活躍できるか

SIer企業が採用する新卒学生の3~4割程度は文系出身とお伝えしましたが、理系学生に比べて遅れを取るのではないかと不安に感じる学生も多いのではないでしょうか。

一から研修がある

SIer企業は、文系学生を積極的に採用しており、知識や経験でのフォローアップも積極的に行っている企業が多いです。入社後は文理問わず全員横並びで研修を受け、プログラミングなどの基礎的知識を身につけます。その後はOJT(現場研修)などを通じて配属があります。
実際に、文系出身の上位学生でもシステムエンジニアとしてバリバリに活躍している社会人も多いので心配不要です。

企画やセールスとして活躍する

上位学生が多く志望するような大手SIer企業だと、企画やセールス、コンサルタントなどの職種としてシステム開発における上流工程の最前線で企業とコンタクトを取る機会も増えてきます。
ジョブローテーションの中で、文系出身でSEのプロフェッショナルとしてのキャリアを歩む社会人もいますが、SEの知識を身につけつつも、最終的には企画やセールスとして活躍するキャリアを歩む社会人も多いです。企業の話を聞き、自身がどのようなキャリアを歩みたいかを考えておくことが選考においても重要です。

代表的な企業

NTTデータ

NTTデータは、日本電信電話株式会社(NTT)のデータ通信本部から独立し、国内外で活躍する企業です。近年では医療機関や金融機関、海外政府の公共分野のシステム開発などを担っており、元国営企業らしいチームワークや協調性を重視している企業です。

野村総合研究所(NRI)

現在の野村総合研究所は、(旧)野村総合研究所と野村コンピュータシステムの合併により発足した企業で、業界内でも群を抜いた営業利益率をコンスタントに維持しています。こうした目標を常に達成し続けるために、チームの中でも個人の役割をしっかりと果たし、野心的なチャレンジ精神を持つ学生を好む企業です。

日本IBM

日本IBMは世界でも有数のIT企業で、他の外資系IT企業に比べて日本での売り上げシェアが高い企業です。ハードウェア事業からサービスやコンサルタント事業に進出しており、他の外資系IT企業に比べて顧客の課題解決を重視しています。そのため、お客様に対する「誠意」という言葉を重視して選考を行っています。

選考対策

馴染みが無い分、企業理解を入念に行う

学生にとって馴染みのある企業は数少ないため、入念に企業研究を行い、それぞれが担当している事業領域や得意としている分野と自分の適性との相性を見極めることが大切です。ITスキルを有している文系学生はほとんどいないので、「自分の持っているITスキルをどの分野で活かしたい」かを語るより、「自分のポテンシャルが企業の理念にマッチしているのでこのように貢献したい」と語るようにしましょう。

インターンシップに積極的に参加する

そうした業界理解を進めるためにはインターンシップに実際に足を運び、社員から直接話を聞いたり、業務体験をしたりすることでより具体的なイメージを深めることができます。
また、インターンシップに参加した意欲的な学生を早期に採用しようとする企業が多いのもIT業界全体の特徴です。興味がある企業には積極的にインターンシップに参加し、知識を吸収するとともに自分の熱意を人事にアピールしましょう。

選考でよく質問される事項

「どうしてIT業界・SIer業界なのか」そしてその中でも「どうして弊社じゃないといけないのか」という質問が頻出です。また、企業に入社した後にどのように活躍できるかを測るために「学生時代に力を入れたこと」や「課題解決したエピソード」を重視した質問もよく見られます。
IT分野だとひねった質問や独特な質問が多そうというイメージを持つ就活生も多いかとは思いますが、他の業界に比べてイメージを持ちづらい分、どれだけ企業への熱意があるかを測りやすい志望動機と、学生のポテンシャルを知るために学生時代の話を深掘りするケースがほとんどです。

様々な企業を比較して回ると業界理解が深まる

SIer業界で内定を勝ち取るには、志望動機をより具体的で自分らしいものにする必要があります。そのためには、様々な企業の説明会に参加して自分で比較検討することが大切です。今回紹介した企業は氷山の一角ですので、自分自身でインターンシップや企業説明会に足を運んで知識を身につけましょう!