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企業の平均年収
企業の平均年収

就活中、受ける企業でとりあえず確認してみる平均年収。思っていたより低かったり高かったりすることがありますが、その企業に入社すれば必ず同じ年収になるとは限りません。それでもある程度の目安になるのではと思いますが、公開されている数字自体が全くと言っていいほどあてにならないことがあります。この平均年収の意味をぜひ知っておきましょう。

実際は平均年収より高いかもしれないケース

メーカーは実際の年収より低く表示されることがある

世界を代表するような日本の大企業なのに、インターネットに書かれている平均年収はそれほど高くないことがあります。これは特にメーカーで見られる特徴です。大企業だと思っていたけど、平均年収が低いから志望しないというのは非常にもったいないです。
このメーカーで平均年収が本来より低く表示される理由を2つご紹介します。

理由その1【総合職以外のスタッフの給与も含んでいる】

メーカーでは総合職や一般職のほかに、工場勤務者も社員としています。当然それぞれ給与形態や額も異なりますが、もし生産拠点を世界中に置いていれば工場勤務者の人数が相対的に増え、結果として全体の平均年収が下がります。
つまり、メーカーの平均年収は複数の職種をまとめて計算していることがあるため、自分がその企業で実際に勤務する場合の年収を正確に示していると断言できないのです。メーカー以外でも、店舗で働くパート社員が多い小売業など、総合職以外の従業員が多い企業、業界でもこれは当てはまります。

理由その2【株主・顧客対策】

上記のように自社の平均年収を低く公表することは、就活生を含む世間一般から良い印象は得られないように感じます。しかしこれは株主などステークホルダーに向けた対策とされています。
もし社員の平均年収が高ければ、株主から利益をもっと還元できると思われてしまいます。株主の要望通りに還元すると社員の年収が下がることにつながるため、総合職以外の従業員を含んだ平均年収を公表して、あえて低く見せていると言われています。

実際は平均年収より低いかもしれないケース

ホールディングス企業

金融や物流、食品など業界を問わずホールディングス企業は存在します。インターネットの年収ランキングでも、○○ホールディングスと名の付く企業を頻繁に見かけますよね。これは持株会社とも呼ばれ、他の会社の株式を多く保有することで事業の管理や統率を行うことを目的としてます。ホールディングス企業の中には、純粋に傘下企業の管理だけを目的として、自身では事業活動を行わないこともあります。
その場合、ほとんどの社員は事業活動を行う関連会社で働くため、年収もホールディングスとして公表されている額よりも低くなる可能性があります。実際、ホールディングス会社で働く社員は役員以上が一般的で、社員数も少なければ数十人と非常に限られています。

年収を知りたいときはここにも注目

福利厚生の充実性

平均年収には、家賃補助や家族手当などの基準外賃金が含まれていないことがあります。つまり福利厚生がどれくらい充実しているかによって、年収にも影響を及ぼす可能性があります。例えば年収800万で家賃補助がないAさんと、750万で月5万の家賃補助がでるBさんがそれぞれ月8万のアパートに住む場合、年収から12カ月分の家賃を引くと、
Aさんは800万から704万
Bさんは750万から714万
とBさんの方が10万円分多く残ります。このように年収以外の福利厚生などに注目すると、手元に残る金額はかなり変わってきます。

どの時点での平均年収か

平均年収を確認する場合、どれくらいの給与なのかが一番気になりますが、それがどの時点での年収なのか知ることも非常に大切です。30代で平均年収1000万と、50代で平均年収1000万ではその意味が大きく異なります。
さらに、平均年収が高いことで知られている企業であっても、一定の役職に就くまでそれほど年収が高くない場合もありえます。何歳時点での平均年収なのか、給与形態はどうなっているのか確認しておくことも必要です。

役員の年収は含まれているか

企業によって、公表している平均年収が従業員に限られ、役員は除外されていることがあります。役員年収が含まれていなければ、もちろん平均年収は下がります。しかし役員報酬の場合、それが年1億円以上であれば開示義務があるため、有価証券報告書で確認することができます。

平均勤続年数

社員全体の平均年収は、その企業の平均勤続年数に影響されます。もし平均勤続年数が同業他社に比べ低ければ離職率が高いか、新入社員や中途社員を多く採用していることになります。
しかし、この2つの要因は必ずしもセットになっているわけではありません。離職率は低いけれど、事業が急成長しているために採用人数を増やした結果、全体の勤続年数が低くなる可能性もあります。その場合、どうしても全体の平均年収も低くなってしまうため、その企業に長く勤めてもあまり給料が貰えないという誤解を生むことがあります。

より正確な年収は有価証券報告書で確認

インターネットで直接「○○会社 平均年収」と検索しても、本当に信頼できる数字なのかわかりません。より正確な平均年収を知りたいのであれば、有価証券報告書が頼りになります。上場企業に限られますが、企業が正式に発表している文書かつ最新のデータを見ることができます。ただし有価証券報告書でも総合職だけの平均年収を発表しているとは限りません。ですが平均年収として、いつの時点で誰を対象にしているのかまで確認することができます。

平均年収を正しく理解する

就活では自分の本当にやりたいことを目指すのが一番大切ですが、やはり年収について知っておきたいのも事実です。しかし、その年収を理解するからにはそれが自分の目指している職種を含んでいるのか、いつの時点なのかといったようなバックグラウンドの情報も理解しておきましょう。