総合商社の単純な業績比較は誰でもできますが、そこから何が分かるかという意味では、あまり生産的ではないかもしれません。たとえて言うならば、体重がバラバラな状態でボクシングを行うようなものです。階級をそろえてあげるというのが、一つのポイントです。
Summary
もし、同じ大きさだったらどうなのだろう?
企業の業績は売上高や、売上総利益、営業利益そして当期純利益などで比較する方法がありますが、総合商社の比較を行う際には、連結の当期純利益で比較するのが良いと思います。詳しい理由は割愛させていただきます。
しかし、その際に、ひとつ「仮定」をするのがワンランク上の業績比較をするポイントです。例えば、企業はそれぞれ持っている資産の大きさに差があります。勘定科目でいうところの「総資産」の大きさが違います。なので、総資産の大きさをそろえてあげれば、「もし五大商社が同じ総資産の量だったとしたら」という比較ができます。では、その比較をやってみましょう。
当期純利益を総資産で割ったものと、当期純利益を従業員数で割ったものをリストにしました。これでまた深い情報が得られると思います。持っている資産のわりに高いパフォーマンスをあげているのは伊藤忠商事です。4.62%ということで、他よりも大分高いパフォーマンスを上げています。また、この際もう一つ気にするべきは、細かい比較は行わないということ。三菱商事と三井物産の0.21%の違いを議論することは難しそうです。
次に、従業員一人当たりの利益を見てみると、三井物産と、三菱商事が比較的高いです。ここからわかるのは、三井物産や三菱商事は設備にお金をかけて収益を出している一方で、伊藤忠商事は人を大量投入することで、設備で収益を出している分を上回るパフォーマンスを上げているということではないでしょうか。もちろん、これはあくまでこの二つの指標を通してわかったワンランク上の業界分析です。みなさんが他の方法で多角的に見ればもっと深くより精緻な分析にたどり着けるでしょう。ぜひ、みなさん独自の方法で会社の業績を見てください。そこで建てた仮説を総合商社の社員にぶつけてみて、確認してみましょう。