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業界研究を進めていくと、会社の業績を比較したり、とりあえず見比べてみる必要が出てきます。しかし、総合商社に関しては、単純に比較しても何もわからないどころか、混乱が生じることが多いです。

総合商社の格付けのお話

大きな会社では格付けが行われているのはご存知でしょうか?その企業の信用力にランクがつけられています。わかりやすく言えば、その企業にお金を貸すとどれくらいきちんとかえってくるか、という信用度のランクです。業績の良し悪しも関係がありますが、「リスクの大きい事業」をどれくらい抱えているのかもランクには大きくかかわっています。ランク付けは第三者の目から多角的に行われており、企業としては銀行からのお金の借りやすさとも関係してくるので、非常に重要な指標です。
総合商社はこの格付けがそこまで高いわけではありません。これは悪いことではなく、他の会社と比較して相対的にハイリスクハイリターンということです。良い意味でも悪い意味でも安定していないのです。

では、この格付けを利用して分かることは何でしょう?

格付けでは大雑把に企業が抱えているリスクを客観的に知ることができます。様々な使い方がありますが、ひとつは格付けが変更したときに理由を考えるという活用法があります。格付けが変更したということは、企業がなんらかの変化をしていることを意味します。業績が良い状態が続いて、手元のキャッシュが増えれば企業の安定感は増します。逆に、大型の買収のあとに減損などが出て長期的にも信用性が落ちると企業は不安定になるでしょう。就活生としては、目下安定的には利益を出さない総合商社の業績だけに振り回されるのではなく、長期的に見た安定感から企業を比較することができる格付けを業界研究に利用することもためになると思います。

考え方の整理

格付けを紹介しましたが、人によっては逆に混乱をきたしているかもしれません。

この図は誰でも見たことがあると思いますが、企業の貸借対照表です。この右側に注目してください。これは、会社が自分たちの資産のためにどれくらいお金を借りているのかが書かれています。まず、負債は銀行などからしているものです。そして、資本は、株主の方から借りているものです。株主の方は株価や配当が気になります。自分たちがその会社にお金を貸しているので、きちんと業績をあげて、株価を上げてくれないと投資している意味がないんですね。一方で、銀行が気になるのは負債です。お金を貸しているので、返してもらわなければなりません。そこで、お金を貸すときに気になるのがきちんと返してくれるかどうか、ある程度前評判が必要というわけです。そこで使われるのが格付けです。もちろん格付けだけでは決めませんが、格付けも考慮に入れます。
このように、就活生の立場からすると、業績など普通の株主が気になるようなところに目が行きがちですが、格付けという観点から見るのも有用というわけです。