ページ上部バナー

総合商社の業界研究が進んでくると、さまざまな事例に触れる機会がでてきます。OB訪問で社員に会っていく中で、思ってもみなかった場所に「え、そんなものを届けてるの?」なんて話を聞くこともザラです。良い意味で、なんでもやっています。ここで、現代の企業経営に社会的な意義が求められていることを背景に考えると、さらに業界研究が深まります。一昔前は、「企業は利益をあげるため」という見方が強かったのですが、現代ではESGやSDGsなどのキーワードが飛び交い、社会的な意義が大きい事業を行うことが求められています。結果、よくある事業だけでなく、社会的にも意義のあるユニークな事業も出てきます。

三井物産の事例の話

みなさんは三井物産というとどんなイメージでしょう?

人の三井と言われ、人に熱い印象を受けますね。組織の三菱と比較されることが多いですね。他にも、二泊三日の合宿採用など、採用の側面でもユニークな方法を導入しているのも就活生としてご存知の方も多いのではないでしょうか。

三井物産の岐阜の女子刑務所の事例をみなさんはご存知ですか?

読者の方々はあまり縁のない話題だと思うので、背景を含めてご説明します。
まず、刑務所とはどのような場所でしょう?一つは簡単にあがってくると思いますが、罪をおかした人が反省し罪を償うための場所でしょう。その時点の状態では一般社会にいると他の人に多大な迷惑をかけるので、隔離しておくという意味もあります。しかし,
刑務所はもう一つ大きな役割を背負っています。それは、きちんと収監者に社会に復帰してもらえるようにサポートするという役割です。出所後、きちんと職について、社会に参加し、再度罪を犯すことのないようにサポートするのも重要なのです。しかし、受刑者の再犯率というのは決して低いとは言えません。社会に出ても特別なスキルもないため、職にもつけないということが多いのです。詳しい再犯率が気になった人は調べてみてください。
こうした背景の中、社会復帰を促すための事業を考えたのが三井物産です。もし、事例に関してご存じない方は、ここで考えてみてください。

再犯率が高い受刑者に対して、再犯率を下げるための事業を行うとしたらどのような事業でしょう?

三井物産が考え出したのが、女子刑務所でのネイリスト養成事業です。つまり、受刑者の方々に刑を受けている間にネイリストとしてのスキルを身につけてもらおうというものです。大変ユニークですよね。一般的には刑務所でネイリストを目指すのは難しいです。シンナーやニッパー(爪切りで使用する刃物)を使用しなければならないからです。おそらく、何回も折衝を重ね、刑務所でスキルを学ぶことで再犯率が下がるという事例を吟味し、実現したのだと考えられます。社会的な意義が大きいというのもこの事業の特徴的なところです。
いかがでしょうか?三井物産のこの事例は総合商社の何でも屋の側面と、ユニークさ、そして社会的意義の高さが表れている例です。就活生としては、ぜひ知っておきたい事例です。
業界研究を通して、もしユニークな事例に出会ったら、「総合商社はなんでもやっているから」という一言で片づけるのではなく、「なんで商社がやっているのか」という視点で見るとさらに深まるのではないでしょうか。