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新卒で特別な大学や専攻を出ていなくてもパイロットとして活躍することのできる自社養成パイロット。理系文系問わず誰にでも幅広く門戸が開かれており、まったくの素人を一流のパイロットに育成したうえで活躍の場を設けています。今回はJALの現役副操縦士の髙田様をお招きし、JALが大切にしている品質、そしてプロのパイロットとしてJALで活躍するためのフィロソフィー(哲学)とはなにか教えていただきました。

飛行機の操縦だけが仕事じゃない

パイロットと聞いて具体的になにをするのか?と問われれば、「それは飛行機を操縦するんだろう」と多くの人は想像するでしょう。しかしそれは、実際にパイロットに任されている仕事のほんの20~30%に過ぎないといいます。乗客から見えるのは操縦席に座っている姿だけですが、その力の大部分はフライトに関わっているチーム全体のマネジメントに費やされています。航空会社はフライトが商品ですから、その安全性やクオリティを維持・向上させることに心血を注いでいるのです。

選ばれるJALであるためにこだわる品質とは

航空需要の高まりとともにLCC(格安航空会社)が普及するなど、競争が激しくなっている昨今、「お客様に選ばれるJAL」であるためにパイロットたちは高品質を目指しています。操縦の腕だけでない、“チームJAL”としてのこだわりとはどのようなものか、髙田さんが実際に操縦したフライトでの出来事を教えていただきました。

思わぬアクシデント、そのとき品質は

その日のフライトは羽田空港~福岡空港。両空港とも街とのアクセスがいいことから、ビジネス便として需要の高い航路だったものの、時は新型コロナウイルス蔓延の最中。GO to キャンペーンの施行によって予想されていた乗客数に反してほぼ満席となったイレギュラーなフライトでした。
 
東京~福岡間は競合として新幹線もあり、1分1秒を大切にしたい“JALだから飛行機に乗る”というお客様の期待に応えなくてはなりません。そのためにパイロットは操縦席に座るまでにパイロット同士、客室乗務員、整備員など各セクションとすり合わせを重ね、最高のサービスを提供するためチームとして目標をかかげてコミュニケーションをとっています。
 
しかしこの日のフライトでは急に乗客が増えてしまったために搭乗案内で遅延が生じていまい、定刻より5分遅れての離陸となってしまいました。チームとして掲げている最高のサービスを達成できない危機でしたが、髙田さんはお客様に選ばれた価値やJALとしての付加価値を提供したいという一心で、あきらめずに打開策を探したといいます。

チームで成し遂げる達成感と充実感

髙田さんの操縦するボーイング767は福岡空港を目指し羽田空港を離陸しました。西へ向かう航路では偏西風の影響で向かい風を受けて飛ばなくてはなりません。上空を航行する飛行機の数によっては渋滞状態になることもあり、限られたコースしか飛行することを許されませんが、幸いにもこの日は比較的空いていたため風の弱い高度を選択することができました。また、遅れを取り戻すべく福岡空港までの最短経路を取れるよう管制官とコミュニケーションを取りつつショートカットの許可を得たうえで、空港へのアプローチでも規定とは異なった最短ルートでの着陸をリクエストしたそうです。
 
結果、福岡空港にはなんと定刻10分前の到着に成功しました。5分遅れの離陸でしたから、実に15分の短縮です。もちろん早くつけばいいというものではありませんから、15分巻きというのは安心安全の品質を充分に満たしたうえでより良いサービスを提供しようとチームで動き続けた結果でしかありません。実際、「定刻より早くついてやろう」という気持ちは一切なかったそうです。ただ、良いサービスを提供したいという気持ちから生まれた結果に、髙田さんは思わず隣に座る機長と熱い握手を交わしたといいます。

JALのフィロソフィーと求める人物像

JALの掲げるフィロソフィー(哲学)の一つに、「最高のバトンタッチ」というものがあります。パイロットは、川上から川下へJALスタッフの様々な人たちがつないできたバトンを最後に受け取るアンカーであり、その責務はここまでバトンをつないできた“仲間の想いを裏切らないこと”。また、JALが経験した経営破綻という十字架を真摯に背負い、“お客様の期待を裏切らない”こと。そしてパイロットを目指して努力や苦労を乗り越え、輝いていた“かつての自分を裏切らない”こと。この3つの“裏切らない”を大切にしていきたいと思い、髙田さんは仕事に取り組んでいるといいます。
 
自社養成パイロットは他社の大手航空会社でも応募していますが、JALを目指しているのであれば、JALの(経営)理念にどこまで共感し納得しているかが大切だそうです。心からこの組織で頑張りたいと思えるかは、志望動機として強いでしょう。また、まったくの素人を一からプロフェッショナルに育成する自社養成パイロットでは、ズバリ「素直」と「やり抜く力」を持ち合わせる人が向いているといいます。人からの指導を素直に受け入れ、自分の足りていないところを見つめなおして向上心を持っていることは重要な要素だそうです。高みを目指してチームで仕事を成し遂げていく人材が求められているといえるでしょう。

YouTubeで動画も公開中

JALでの働きがいや求めている人物像などについて、JAL現役パイロットの髙田さんと対談している動画はYouTubeでも視聴できます。記事には載せきれなかった貴重な話も聞けるので、ぜひレクミーチャンネルもチェックしてみてください。
JAL様生ご登壇!レクミーおじさん×現役パイロットも!?登壇