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平均年収
平均年収

筆者は就活をしているとき、インターネットで平均年収をチェックして、高年収が期待できる企業ばかり受けていました。同じように、就職活動の軸が「平均年収」になっている方は多いのではないでしょうか。しかし、就活を終えて色々な社会人の方に話を伺ううちに、それが間違いだったことに気づきました。この記事では年収に隠された「ワナ」に迫っていきます。

平均年収で企業を選ぶのは危険!

就活をしているとついついチェックしてしまうのが平均年収。説明会で就活生に人気がある企業はおしなべて高年収の企業が多く、企業選びの軸として「平均年収」が大きな要因の一つとしてある現状が見受けられます。しかし、平均年収だけで受ける企業を判断することはあまりおすすめしません。それには、いくつかの理由があります。一つずつ見ていきましょう。

「平均」という言葉自体が信用できない

平均年収と言っても、その言葉の裏にはさまざまなカラクリがあります。実は、企業によって平均年収の算出方法は異なっています。

現業職・一般職を混同して計算している

メーカーなどの業界は、金融・商社などの高年収の業界に比べて見劣りするように見えます。しかし、実際のところは工場で働いている多数の現業職の年収と、本社で働く総合職の年収をまとめて計算しています。現業職の年収は比較的低いため、結果として平均年収は低く算出されるのです。筆者はメーカーに内定を頂きましたが、社員の方に年収を伺ったところ、30代前半で900万近く貰っているとのことでした。そのことからも、計算方法に疑問の余地があることは否めません。
ちなみに、ホールディングス制を取っている会社は、持ち株会社であるホールディングスに在籍している少数の社員の平均年収を公表するので、平均年収が高くなる傾向にあります。

年齢構成も大きく影響する

平均年収を計算するときに、社内の平均年齢もきちんと考慮しておく必要があります。基本的には、日本の企業の賃金体系は年功序列制の場合が多いです。これは、年齢を経るにつれて結婚や育児、マイホームなどで生活コストがかさむため、それをカバーできるように給料を多く払う必要があるからです。そのため、ミドル世代が多い企業は、それだけ平均年収も高くなります。「若手のうちは全然給料が貰えないことに気付けなかった!」という事態にならないように、平均年収は中央値で見るようにしましょう。

仮に給料が高くても、支出がそれだけ多くなる

給料が高いことと、手元にお金が沢山残るかどうかはまた別です。高年収だと、それだけ支出が多くなり、結果として自由に使えるお金は変わらない、ということも十分にあり得ます。

ストレスによる出費

高年収の業界は、それほど大きなストレスが発生しやすい傾向にあります。逆に言うと、精神的に大きな負荷がかかるからこそ、それを発散できるだけの給料を払わないと人員が定着しない、ということです。そのため、年収が高くなったとしても、それ以上に遊興費等の出費が大きくなれば手元にはあまりお金が残りません。むしろ、低年収ではあるもののストレスが少ない会社に入ったほうが、金銭面に余裕が生まれる可能性があります。

累進課税制度の影響も

所得税の累進課税制度も支出が多くなる要因の1つです。累進課税制度とは、簡単に言えば年収が高くなるほど税率が上がっていく制度です。差を見てみると、日本人の平均年収である330万円超~695万円以下のゾーンでは所得税率が20%であるのに対し、900万円超~1800万円以下のゾーンでは税率が33%に上ります。厳密には控除額の関係で極端な差が生まれないようにはなっていますが、それでも無視できない要素です。

企業選びの際は何を重視すべき?

平均年収で企業を選ぶことはおすすめしません。では、企業選びの軸は何を中心にするべきなのでしょうか?

社員の雰囲気

まず最も大きな要素は、企業で働く社員の雰囲気です。サラリーマンのストレスの要因のほとんどは、人間関係によるものです。そのため、どんなに仕事が好きだったとしても、人間関係が最悪ならば仕事は続けられません。逆に、仕事が多少きつくても、人間関係が良好なら、楽しく業務に取り組むことができるでしょう。説明会やインターン、OB訪問などを通じて、社員の雰囲気と自分の性格が合いそうかどうか、本選考を受ける前に考えておくことをおすすめします。

業務内容

社員の雰囲気の次に大切な要素が、業務内容です。これは単純に企業の商品やサービスが好きかどうかという話ではなく、その企業の理念に共感し、具体的な業務に興味を持てるかどうかということです。業務内容が自分の適性にあったものならば、それだけスキルアップが早まり、昇進がスムーズになります。企業研究をきちんとしておかないと、企業のリアルな業務内容は中々見えてこないので、このあたりに関してはきちんと質問を重ねて理解に努めましょう。

年収に左右されない企業選びを

平均年収だけを見て企業を選んでも、入社後のギャップに悩まされる可能性が高いです。自己分析・企業研究を徹底し、本当の意味で自分に合った企業選びをしましょう。