デー子(でーこ)とは、SIer最大手企業「NTTデータの子会社」を意味する就活用語です。メー子・ユー子なんて言葉もあり、IT企業やシステムエンジニアを志望する学生でも知らない単語かもしれませんが併願先として受検する方は多くいます。しかし、志望理由の書き分けが難しいと感じることも多々あるはずです。SIer併願受験のテクニックを、実際に受検した筆者が感じたことを交えてお伝えします。
Summary
デー子の実態
膨大な子会社の数
NTTデータのグループ会社である「デー子」ですが、なんと国内だけで67社※もある大家族です。
(※ 参考:NTTデータ グループ会社一覧、2017年4月1日現在)
「NTTデータSMS」、「NTTデータCCS」に「NTTデータシステム技術」…。余りにも多い子会社と余りにも似通った社名に混乱必至。しっかりと調べないと事業内容も分からず志望動機の書き分けが難しいと感じる就活生も多いはずです。
SEの中では好待遇
電電公社から生まれた企業の子会社ということで、ある程度の給与・福利厚生は期待できます。そして、学歴や経歴に関してもさまざまで、多種多様な大学の採用実績がある上に文系でコーディングをしたことがないという学生でもやる気次第で内定をいただくことができます。
就活難易度
学歴によるフィルターも他企業に比べれば少なく、さまざまな大学の、さまざまな能力の就活生が受検することも考慮すれば就活難易度自体は(一部を除き)さほど高くないと言えるでしょう。ただし十分な対策を練っていればの話ですので、後述の併願テクニックを参考に受検戦略を立てましょう。
子会社ならではの悩みも
もちろん、データの子会社特有の悩みもあります。例えば、どこまで言ってもデータの子会社という劣等感を感じてしまう人もいるかもしれませんし、実際にデータよりは平均年収が少ないのも事実ですし知名度も高くありません。
知名度のみに縛られた「大手病」の就活が正攻法とは言えませんが、いままでの経験からしてネームバリューによる劣等感を感じてしまいがちだという方は、そもそもグループ会社への入社を考え直す必要があるかもしれません。「独立系」と呼ばれる親会社を持たないSIer企業も一定数存在するので、自身の好みに合わせて併願すると良いでしょう。(例:大塚商会、TISなど)
ユー子・メー子とは?
親会社の有無に関連して、ユー子・メー子という単語も知っておくと役に立つかもしれません。
ユー子
ユー子(ゆーこ)は「ユーザー系子会社」の略称で、ある企業のシステム部署が分社化したSIer企業のことを指します。例えばみずほ銀行の子会社である「みずほ情報総研」、日本製鉄(旧:新日鉄住金)の子会社である「日鉄ソリューションズ」などがこれに相当します。
メー子
メー子(めーこ)は「メーカー系子会社」の略称で、IT機器メーカーの子会社であるSIer企業のことを指します。例えば「日立システムズ」や「NEC通信システムズ」がこれに当たり、親会社である日立やNECが開発したハードに対応するソフトウェアを開発することがメイン業務になります。
SIer(SE)志望の併願テクニック
筆者がIT企業を受検していた際の体験も含めてデー子受検時のテクニックをご紹介します。
メイン業務を探る
デー子を企業研究する際、混同しやすい社名に反して業務内容は分かりやすく、事業提携先(親会社、パートナー)を見れば明らかになります。大まかに分類すると、「NTTデータ経営研究所」のようなシンクタンク系のデー子から、積水化学工業が主な事業提携先である「NTTデータセキスイシステムズ」のようにパートナーが明確なデー子、NTTデータの地方分社、保守運用に携わるデー子などに分けることができます。
つまり、デー子はユー子でもありメー子でもあると言えます。志望動機を考えるにあたっては、システムに携わる中でメーカーや金融、保守運用など、どの分野に尽力したいかで志望企業を絞ると良いでしょう。
選考がスピーディ
デー子に限らずSIer企業は本選考がスタートする時期がとても早く、2月ごろから包み隠さず本選考を実施し、3月前に内々定を出す企業もあります。12月、1月のうちから企業説明会を行っているというケースもありますのでSIerを志望する就活生は前もってマイページを登録しておくべきでしょう。
内定キープに寛容=滑り止めにできる
選考時期が早いこともあってか、内定を所持したまま就活を続けることに寛容な企業が多いと筆者は選考を通じて感じました。IT企業全般を広く見ている就活生はもちろん、面接慣れしておきたい他業界志望の就活生も受検しておきたい企業群です。
第一志望と伝えづらい
どんな企業に対してでも「第一志望です!」と言い切るようにしていた筆者ですが、デー子に対しては「第一志望です。」と伝えづらい雰囲気がありました。というのも、実際に第一志望では無かったことに加え、採用担当側にも「◯◯大学の学生だし、おそらく第一志望ではないのだろう」と思われているように感じ取ったからです。
デー子の人事の方々はある程度の学生が内定辞退をすることを悟ったような雰囲気があり、内定キープに寛容な風潮もそこから来ていると感じます。ですから、志望度を問われた際に筆者は「第一志望ではありますが、●月という早い段階で就活を終えると後悔しそうなので、納得がいくまで就活を続けたいです」と内定前から事前に人事に伝えていました。それでも選考は通過しますし、素直な思いを伝えて大丈夫だと思われます。
早めの内定ゲットを狙おう
業界や志望度に関わらず、内定を早めに獲得することは「自分が今行っている努力が間違っていない」という証明になりますし、自己肯定にも繋がります。2~4月の間に説明会やセミナーにしか参加せず、5~6月の就活本番期に本選考での戦い方が分からず祈られ続きになってしまう事態だけは避けたいものです。実戦の場で面接やグループディスカッションのスキルを磨いておきましょう。