国内には数えきれないほどの企業があり、就活は売り手市場であるといわれていますが、実際の就活生が志望する企業には偏りがあります。中でも誰もが知っている超有名大手老舗企業の倍率は大学受験倍率をはるかに超えるほどです。この記事では、そんな大人気企業への内定に不可欠な企業研究のポイントを紹介します。
Summary
超有名大手老舗企業とは
就活生に大人気の大手企業と言えば、五大商社や食品メーカー、自動車会社などが挙げられます。例えば、住友商事や味の素、ホンダなどの企業です。これらの企業が就活生に人気なのは消費者の生活に触れやすく有名なだけでなく、企業としての活躍が魅力的であるからでしょう。また特徴として創業50~100年以上の企業の人気はとても高いようです。
ハイレベルな老舗大手へ内定する企業研究
上記のような倍率の高い人気企業の選考ではハイレベルな競争が繰り広げられます。そのため、内定には最大限の魅力発揮と企業に対する理解が必須です。今回は対策の1つである企業研究のポイントを紹介します。
スローガン
企業研究の基本は、スローガンや経営理念・ポリシーのチェックです。企業の説明会でも必ずはじめに紹介されるでしょう。スローガンや経営理念から企業の風土を伺い知ることも可能ですし、包括的な企業の説明に値するため、そのスローガンへの共感を志望動機として活用するケースも少なくないようです。確かに、スローガンには企業の価値観が表れやすいため活用しやすいのも事実ですが、活用方法には十分な注意が必要です。
企業のスローガンを調べた際にそのスローガンの成り立ちや詳細と事業内容について参照し、行動指針を丁寧に読み解きいたうえで今後の事業活動と照らし合わせてみることが重要です。加えて、読み解いた事柄から具体的に社員や入社した場合の自分の行動意思について仮説を立てましょう。仮説をOB訪問や面談・面接の際に社員の方との会話を通して検証することその企業に自分のどの魅力を伝えればよいかが分かり、最大限アピールする選考に繋げることができます。
沿革
続いて、人気の大手老舗企業はベンチャーとは異なり深い歴史を背景に現在も活躍しています。実は、経営学者らの説によれば企業が創業してから20年以上存続する確率が0.3%と言われていることもあり、老舗企業は創業者の意志を受け継ぎ活躍し続けてきたことを強みとしています。そのため、志望するのであればぜひその企業の沿革をチェックしておきましょう。
創業者がその企業を立ち上げたきっかけから事業の変遷を辿ることで色々な価値観が見えてきます。創業のきっかけの多くは利益の創出だけでなく、社会問題への理解や問題意識、社会貢献であることからもその観点で時代と共に変化する社会への対応がどのようなものであったかを知り、教養のある会話が面接や面談でも出来るようになります。さらに、その企業の行動について自分がどこでリンクしてその歴史をつなげるかを意識してみると企業理解に深みが出るかもしれません。
老舗大手企業のスローガン実例
上記のように創業者の理念が語り継がれ、風土や価値観からスローガンが作られている企業を老舗大手企業から3社紹介します。
「Enriching lives and the world」-住友商事
住友商事は1919年創業の大阪北港株式会社をルーツとして様々な事業を変革し、現在の総合商社として活躍している企業ですが、その間に何度もスローガンを変えています。その点が他企業とも異なり、特徴的ではありますが約400年前の住友家の「文殊院旨意書」にある「誠実・確実」「1人1人が人として日々磨かれること」を基礎とした価値観は変わらず大切にされてきたことで今まで息づいてきているとしています。その点から伺えるように堅実・誠実で穏やかな社風が商社の中でも特徴的で、求める人材としても誠実さに重きを置いているようです。
このようなことから、正確さや物事の正しさを冷静にみることができる点をアピールしたり、人との信頼関係によって成し遂げられた経験についてアピールすると良いかもしれません。
(参照:https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/about/policy/principles)
「愛は食卓にある」ーkewpie株式会社
マヨネーズでおなじみのキユーピーは、1919年創業で2019年に創業100周年を迎える老舗の大手企業ということができます。キユーピーは社訓「道義を重んずること 創意工夫に努めること 親を大切にすること」としており、この社訓に基づいて社会貢献や正しいことを推し進める事の出来る人材を求めているようです。社是には「楽業偕悦」を掲げ、社員へのバックアップ制度や研修、プロセスを重視した評価制度などが充実しています。
このようなことから強い意志を持って行動できた経験や、部活やボランティア活動などを通した社会貢献に対する具体的な意志をもって行動できた経験、バランスの取れた協調性とリーダシップなどをアピールするとよいかもしれません。
(参照:https://www.kewpie.com/company/philosophy/)
「The Power of Dream」ーホンダ技研
国内生産1位のホンダ技研は1948年に本田宗一郎と藤沢武夫によって創業され、彼らの信念がホンダフィロソフィーとして受け継がれています。「人間尊重」「3つの喜び」を軸に輸送機の製造を通して人々を支えていく行動指針を持っています。人間尊重にある、【平等】の価値観から、ダイバーシティの推進も行っています。
スローガンにもある通り、夢に向かって前向きに人間らしく挑戦・行動していく風土があり、そうした人材が求められていることも記載されています。「売る喜び」という信念にある通り、自社の商品に対して情熱を注ぎ、人々にその素晴らしさを与えられるような、行動力や影響力を発揮した経験などをアピールすると良いかもしれません。
(参照:https://www.honda-recruit.jp/about/philosophy.php)
老舗大手を狙うなら理念への共感+αで!

人気が高くエントリーシートなどで裁かれることも多い老舗大手企業の企業研究では基本となるスローガンや沿革の調査から想像を膨らませ風土や価値観を理解すると同時に自分ならどう行動するか、具体的に仮説を立ててアピールすることが非常に重要です。ハイレベルな競争が予想されるので十分な情報収集と教養を身につけておきましょう。
事実、筆者は創業100年以上の老舗企業に内定を頂きましたが、面接の内容には歴史上の社会的創業背景が根付いた問題意識が問われたり、スローガンや社是がESの必須キーワードとして選考評価対象になっていたという噂もありました。この機会にぜひ志望企業の沿革やスローガンを改めて考察してみてください。