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日銀を徹底分析!
日銀を徹底分析!

日本唯一の中央銀行である日本銀行。業務の公共性・特殊性の高さから、特に難関大生からの人気を集めています。しかし、採用者数が30~40人程度と少ないため、就職難易度は最難関で企業分析、選考情報がネット上にないことも多く、情報収集に苦労することも。
今回はそんな就活生のために、日本銀行の業務内容と官庁・政府系金融機関との違いを解説していきます!日本銀行の内定を獲得する鍵は志望動機にあります。この記事を読んで、採用担当者も唸らせる志望動機を考えていきましょう。

日本銀行の業務

日銀は唯一の中央銀行であるため、他の金融機関では行えない特殊な業務を担っています。その業務内容をしっかり理解していないと、行員との面談で太刀打ちができなくなってしまうので、日本銀行が行っている業務をまんべんなく理解していきましょう!

2つの目的

日本銀行は「物価の安定」と「金融システムの安定」を目的としています。
「物価の安定」は経済発展につながるため重視されています。物価が大きく変動することなく安定していることで、個人や企業は一定の価値基準を持って経済活動を行うことができるようになるからです。
「金融システムの安定」と言われると漠然としていて分かりにくいですが、要するにお金の受払いや貸し借りを行う仕組みが正常に機能させることで、国民や企業などが安心して利用できる状態を維持することを指します。
日銀はこの2つの目的をもって、活動していることをまず押さえましょう。この2つの目的のために、日銀は他の金融機関では行えない業務を担うことが法律で許されています。

金融政策の企画・実行

「物価の安定」は日銀の目的の1つですが、それを実現させるために日銀は金融政策の企画・実行を行っています。
代表的なのが「公開市場操作(オペレーション)」です。日本銀行がメガバンクや地方銀行を相手に国債や手形を売買することで、金融市場に資金を供給・吸収します。
例えば、景気が悪化した際には金融機関から国債や手形を買い取ります。そうすると、市場の通貨量が増加するので、金融機関はより企業や個人への融資を行おうと金利を引き下げるようになります。金利が下がったことで、企業の設備投資や個人の住宅購入などが刺激され、景気・物価が向上するようになるという構図です。
このように、景気によって変動する物価を安定させるために、日銀は金融政策を企画実行しています。最近では、このオペレーションだけでなく、マイナス金利政策やイールドカーブコントロールという手法がとられています。解説しようとすると長くなるので、今回は省きましたが、分かりやすく解説しているウェブサイトを紹介するので、関心ある方は確認してみて下さい↓。
【ざっくり解説】日銀政策あの手この手
前編: https://blog.moneykit.net/2018/11/sonybank1116.html

後編: https://blog.moneykit.net/2018/12/sonybank1213.html

金融機関への考査・モニタリング

日銀の目的が「金融システムの安定」であると解説しましたが、その達成手段として信用秩序維持政策(プルーデンス政策)が取られています。具体的には金融機関へ考査・モニタリングをすることで、金融機関の経営状態を把握し、必要に応じその改善を促したり、万一金融システムの安定が損なわれそうになれば、「最後の貸し手」として資金供給を行うことをしています。
世界恐慌やリーマンショックなどを見ればわかるように、1つ金融機関が破綻するだけでも、他の金融機関や金融市場に大きな影響を与え、金融システム全体が機能麻痺につながる危険があります。それを回避するために、金融機関の経営状況を常に監視し、改善を要請したり、最悪の場合は資金供給も行うのです。

発券業務

日銀は、日本で唯一の発券銀行として、銀行券の安定供給の確保、銀行券(紙幣)の信認の維持に努めています。
流れとしては、
①日銀は現金流通や金融経済情勢の分析などに基づき銀行券の需要を予測、新たに製造が必要な銀行券の枚数を決定
②日銀の発注を受けて国立印刷局が銀行券を製造した後、日銀は製造費用を支払って銀行券を引き取る
③各地の需要見通しを踏まえて、日銀の各支店に送る
④金融機関が日銀の本支店に保有している当座預金を引き出し、銀行券を受け取ることによって、世の中に送り出されていく
⑤商品やサービスの購入などに利用された銀行券は預金などの形で金融機関に戻り、日銀の本支店に最終的に還る
という形になっています。銀行券の量が多すぎれば、物価が下がりますし、少なすぎると物価は上がってしまいます。日銀が必要な量を適切に把握、発券・管理することで物価を安定させることに貢献しています。

国際金融

金融経済のグローバル化や情報技術の進歩を背景に、海外の金融経済の動きは日本経済に瞬時に大きな影響を及ぼすようになりました。「国際金融システムの安定=日本経済の発展」という状況です。
そのため、日銀は国際金融システムの安定に向けて、世界経済や国際金融市場の動向を日頃からモニタリングし、分析を行っています。G20、G7、EMEAPなどの国際会議の際には、こうした分析結果も活用して、各国の政府や中央銀行と意見交換を行い、国際金融経済情勢に関する的確な状況把握と情報発信に努めているのです。このほかにも、アジア通貨危機や世界金融危機などの教訓を踏まえて、アジア各国の中央銀行と協力して、アジア債券市場の育成に向けた債券投資ファンドを設立するなどしています。

志望動機を考える

日本銀行の業務内容を確認した後は志望動機を考えていきましょう

官庁・政府系金融機関との差別化をしっかりと

日銀は「金融システムの安定」と「物価の安定」という2つの目的をもって業務を遂行しているがうえに、民間の金融機関ではできない「発券業務」、「金融政策の立案実行」などを担っていることを解説してきました。そのため、民間金融機関との志望動機の差別化は容易にできます。しかし、問題は公益性が高く、民間金融では担えない業務を担当している財務省・金融庁、政府系金融機関(特に日本政策投資銀行)との違いを把握できるかにあります。
事実、財務省・金融庁・日本政策投資銀行(以下DBJ)の志望者は日銀を併願先にすることが多いため、日銀の採用担当者はなぜ官庁や政府系金融機関ではなく、日銀でないとダメな理由を聞きたがります。志望動機の差別化を徹底的に行い、面接官を納得させていきましょう。

財務省との違い

財務省について、簡単に解説すると、財務省は日本の「金庫番」「経理担当」と呼べる存在です。具体的には国の予算編成、税制の企画管理、国庫・国際の管理などを担当しています。
財務省の業務は国税制度を構築したり、予算制度の企画を行うなどのルール作りに特化していますが、日銀は金融機関のモニタリングや金融政策の実行などを通して「経済の安定化」に取り組みます。そのため、業務内容がより具体的で専門性が高く、民間金融機関との距離感が近いという特徴があります。また、日銀は財務省所管の認可法人であるため、上下関係にあると思われがちですが、日本銀行法にて、政府の監督権限は日本銀行の独立性や透明性に配慮した必要最小限のものになっているため、財務省から強い口出しがあるわけではありません。
こういった違いから、「政府から独立して金融政策を立案・実行できる」「公的業務だけでなく、民間金融機関へのモニタリング、アドバイスなどでより具体的に経済安定に資することができる」という理由から日銀を第一志望する人も多いようです。

金融庁との違い

金融庁は、民間金融機関に対する検査や指導監督を行う機関です。この機能により日本国内の金融安定をはかり、預金者や保険契約者、投資者などの保護を行っています。
一見、日銀の考査・モニタリングと業務内容が被っているように思いますが、違いがあるので把握しましょう。
日銀の考査・モニタリングが考査契約に基づくものであるのに対し、金融庁の検査は行政権限の行使として実施しています。そのため、金融庁の検査がより強権的です。つまり、民間金融機関との距離感が違いのは依然として日銀と言えます。また、金融庁と比べると日銀の方が考査・モニタリングだけでなく、金融政策の立案実行など業務内容の幅が広いことも違いの1つでしょう。「金融機関との距離の近さ」「業務内容の幅広さ」を志望理由にするといえます。

DBJとの違い

政府系金融機関の中でもDBJ志願者と日銀志望者は重なる傾向が強いので、DBJとの違いを解説していきます。
株式会社であるDBJと比べ、日銀は財務省の認可法人という扱いになっています。そのため、日銀の方が公的な側面が強いということができます。事実、DBJは公益性と収益性の両立を目指すとし収益性も重視しているのに対して、日銀は「物価の安定」「金融システムの安定」を目的としていることからもその傾向が伺えます。
また、DBJの企業への投融資、M&Aアドバイザリー業務は他金融機関でも行えるのに対し、日銀は金融政策の政策や実施、金融機関への考査・モニタリングなどでその業務内容は唯一無二です。そのため、より公的な視点、目標をもって働けること、日銀でしかできない業務に関心があるという理由で日銀を選ぶ人が多いようです。

日銀だけの志望動機で勝負


日銀の業務内容と官庁・政府系金融機関との違いについて解説していきました。日銀の業務内容は特殊で把握するのに難しいですが、この記事を読むことですこしでも理解し、採用担当者も納得するほどの志望動機作りに是非役立ててください!