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コンサルティング会社とは
コンサルティング会社とは

最近「コンサルティング会社」「コンサルティングファーム」といった言葉を耳にする機会も増えてきました。「戦略コンサル」「会計コンサル」から「婚活コンサル」「教育コンサル」まで登場する昨今、「結局何の仕事なの!?」と混乱する人も多いはず。そこで今回はコンサル業界の入門向け説明をしていきたいと思います。

よくわからないコンサルティング会社

コンサルティング会社(コンサルティングファーム)は「企業の課題解決を支援する」仕事だとされています。しかし就活生の私は「正直ちょっと何を言ってるのかわからない」状態でした。主な疑問は
①種類がいろいろありすぎてわけがわからない
②そもそも何をやる仕事なのかわからない
ということでした。今回の記事ではこれらの疑問を解消していきます。

コンサルティングファームの種類

まずは「種類がいろいろありすぎてよくわからない!」という疑問を解消していきます。コンサルティング会社はプロジェクト(案件のこと)を遂行することで売り上げを稼ぎます。この案件には「人事系」「会計系」「物流系」など専門的な領域でさまざまな種類があります。例えば「工場の在庫が余ったり、足りなくて困っている」という問題は物流の領域のため、物流に精通するコンサルティング会社に依頼することになります。
こうしたさまざまな領域に対して、「全部できるぞ!」と網羅的なサービスラインを用意しているのが、【戦略コンサルティングファーム】や【総合コンサルティングファーム】です。
一方で「この領域なら任せろ!」と一部領域に特化しているのが【専門(ブティック系)コンサルティングファーム】です。
「人事系コンサル」「会計系コンサル」という企業はこのサービスラインの一部のみを専門としているコンサルティングファームということです。専門(ブティック系)で有名な会社には、人事コンサルファームの【マーサー(Mercer)】などがあります。

戦略コンサルティングファームと総合コンサルティングファームの違い

続いて戦略コンサルティングファームと総合コンサルティングファームの違いをご説明します。大手であれば戦略・総合ともにあらゆるサービスを提供できます。しかし、プロジェクトの規模感・レベル感に違いがあります。大まかには
【戦略系】経営層や事業部など、企業の大きな方針などの検討、策定を行う
【総合系】事業部や現場業務など、実行に近いところまで策定、支援を行う
という傾向があります。しかし上図の矢印の薄い部分のように、各ファームはサービスの領域を広げており、戦略ファームと総合ファームが競合する領域も増加しているようです。なお総合コンサルティングファームは実行段階まで担っているので、コンサルタントの人数が大規模化しています。近年は100名以上の新卒を採用するファームもあらわれるなど、就活生からの人気が高まっています。

「経営相談」を核とする戦略コンサルファーム

1971年にマッキンゼーという戦略コンサルティング会社が日本支社を立ち上げました。ここから、最新のアメリカ流経営理論を携えたコンサルタントが経営相談を行うというコンサルティングビジネスが日本でも始まっていきます。イメージとしては、企業の幹部と報告会や議論をしながら企業の方向性を考えるといった業務です。自社のビルで資料作成や分析を行うなどの業務が多い印象があります。主要な戦略コンサルティングファームは以下のファームがあります。
【アーサー・D・リトル】
【ATカーニー】
【マッキンゼー・アンド・カンパニー】
【ベイン・アンド・カンパニー】
【ボストンコンサルティンググループ】(BCG)
【ローランド・ベルガー】

会計からITまで担う総合コンサルファーム

1980年以降IT化の時代に存在感を高めたのが会計事務所発のコンサルティングファームです。会計やITだけでなく、やがて物流や人事、M&Aなどさまざまな領域のコンサルティングを充実させていき、現在では【総合コンサルティングファーム】として確固たる地位を築いています。主要なファームは以下の通りです。
【EYコンサルティングアンドアドバイザリー】(会計事務所EYのメンバー企業)
【アクセンチュア】(会計事務所アーサーアンダーセンから出発)
【アビームコンサルティング】(会計事務所デロイトから出発)
【KPMGコンサルティング】(会計事務所KPMGのメンバー企業)
【デロイトトーマツコンサルティング】(会計事務所デロイトのメンバー企業)
【PwCコンサルティング】(会計事務所PwCのメンバー企業)
これらのコンサルティングファームは業務や現場レベルの改革などを主な領域としています。業界全体のリサーチを行い今後の買収方針を事業部長と話したり、物流の効率化を行うべく流通拠点を細かく分析したり、会計の最適化のため顧客先に常駐してシステムを改善するなど、多様な業務内容があります。システムの導入プロジェクトが大きな売り上げを稼いでいますが、システムの機能を業務フローと組合わせていくITチックな仕事は「経営相談」のイメージからはほど遠いかもしれません。

コンサルタントという仕事の特徴

転職者が多い

コンサルティングファームは業界の専門的な知見を必要とするため、他社からの転職者を重宝しています。金融系であれば銀行、物流であれば商社など、事業会社の出身者がそれぞれの経験・知識を活かしてサービスラインを形成しているわけですね。筆者も複数のコンサルティングファームのインターンシップに参加しましたが、ファームによっては半数近くの社員が中途の体感でした。
各ファームとも新卒社員はしっかり教育して戦力化を図っているため、新卒でコンサルタントという選択肢も魅力的です。新卒入社後の進路としては
①事業会社(コンサル以外)に転職する

②他のコンサルファームに転職する
③起業する
というルートがあります。コンサルティングファームは業務内容が互いに似ている、転職が盛んです。筆者が見た例ですと、3社の総合ファームを渡り歩いた猛者もいらっしゃいました。

給与は若手が比較的充実・あとは実力次第

コンサルティングファームは実力主義の報酬制度を設けています。主要コンサルティングファームの初年度年収は【500万円~700万円】程度で、一般的な事業会社の水準を大幅に上回っています。若手から高い報酬を受け取れる代わり、成果を示さなくては役職につくことはできず、昇給もさほどありません。ファームによっては、実力がないとみなされるとプロジェクトに配属されなくなります。その間は研修プログラムに従事するか社内作業をこなすしかないため、自主的に退職する方も多いようです。

残業時間は振れ幅が大きい

「コンサルって激務なのでは?」と気になっている方も多いはず。コンサルタントの方によると「繁忙期は激務だけど、それ以外はプロジェクト次第」とのこと。順調なプロジェクトであれば繁忙期以外は早めに帰れるようです。一方で難航しているプロジェクト(炎上プロジェクト)に配属されている場合、終電帰り、土日出勤も避けられないという話も伺いました。
加えて、傾向として総合コンサルファームよりも戦略コンサルファームの方が労働時間が長くなる印象です。実際にこの傾向はopenworkの平均残業時間にも現れています。(下図)
総合ファームでも特にITに強みを持つアクセンチュアとアビームの残業時間が相対的に少ないのも特徴的ですね。

今後注目の業界

実力主義で中途でも入りやすいコンサルティングファームは、学生のみならずあらゆる方の選択肢になりうる存在です。日本のコンサルティング市場は今後も大幅に拡大する見通しですから、機会があれば説明会やイベントに参加してみてはいかがでしょうか。