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新卒就活での収入
新卒就活での収入

就活をする上で収入・待遇は無視できない要素です。そんなに気にしないという方も、最低限は欲しいというのが本音ではないでしょうか。今回は初任給の水準や労働時間と年収の関係、就活生が見落としがちな待遇にまつわるポイントをご紹介します。

年収の概要

初任給は20~30万円で「ばらつき大」

レクミーの行った新卒就職人気調査で上位に入った企業の初任給を一通り調査しました。具体的には三菱商事やトヨタ自動車、サントリーや三菱UFJ銀行などの有名企業です。その結果、新卒初任給はおおむね【20~30万円】の金額に収まりました。傾向として、IT系や外資系など非年功序列企業の収入が高くなっています。
一方で、高給で有名な総合商社や金融系は20万円台前半~中盤と控え目な水準に留まっています。

初任給は重要ではない?

就活生にとって初めてもらう給料の新卒初任給は気になるものです。企業側も初任給や初年度年収は公開していますから、情報も手に入れやすくなっています。しかし、「初任給30万円」「初年度年収500万円」などに過剰に反応するのは危険です。というのも【賃金カーブ】が会社によって異なるためです。上図は老舗メーカーA自動車と新興IT企業のBテクノロジーの架空企業2社の賃金カーブです。新卒入社直後は
A自動車:350万円
Bテクノロジー:500万円
とBテクノロジーが高収入な印象ですが、入社10年目以降はA自動車が急激に伸びています。これは年功賃金の特性で、若手の給与水準が低い一方、役職につくと一挙に数百万円昇給するのです。年収を見る時は、【30代でいくらもらっているか】が一定の指標になるかもしれません。若手だけでなく、中堅や熟練社員の給与水準をしっかりクチコミなどでリサーチしましょう。

業界ごとの待遇満足度


openwork「調査レポートvol1.約3万人の現職社員クチコミから分析した`待遇面の満足度`業界ランキング」より引用

上の表はopenworkの行った業界ごとの待遇満足度の比較調査です。総合商社や金融、コンサルファームなどが上位に位置していることがわかります。下位はサービス業界が占めていますが、非総合職のクチコミが影響している可能性もあります。
ここで具体的に「年収〇〇〇万円」と数字を示さなかったのには理由があります。それは年収金額だけでは評価が難しいためです。待遇への満足度には年収だけでなく、福利厚生や労働環境、給与の安定性などが含まれていますので、比較するには適切と言えるでしょう。

労働時間と年収の関係


openworkのデータをもとに筆者作成

上の散布図は就職人気ランキングやCore30などから抽出した大手企業55社を【平均残業時間】と【平均年収】でプロットしたものです。相関係数は0.55で、やや相関しているといえます。散布図の形をみても、緩やかな相関関係がみてとれます。
年収の高い企業は、高度なスキルや大きな負荷のかかる労働が要求されるといっていいかもしれません。とはいえ、散布図左上の「ホワイト高給」な企業が存在していることもたしかです。

可処分所得はどれくらいか

年収に対して、【手取り】という金額があります。これは会社から支給される給与から社会保険料などを天引きした後の金額です。本来手取りは自分のために使えるお金ですが、会社によっては【必要経費】が加わります。会社によっては「高給なのにお金がたまらない」ということも。以下にそんな経費をご紹介していきます。

参加必須の飲み会

大手金融機関などで大きな負担になりがちなのが、飲み会代です。会社の飲み会に厳格な会社では、欠席はなかなかしにくいもの。「1回4000千円くらいでしょ?」と思われるかもしれませんが、回数を重ねると負担が重くなります。転勤に伴う歓迎会、送別会や上司への接待など会社によっては週に数回行われることもあります。

外食費

労働時間の長い激務産業に従事している方に多いのが、外食費です。業務後、時間も体力もない状態で自炊するのは至難の業。どうしても外食が増えがちになってしまいます。費用を圧縮しようにも、安く済ませるファストフードなどでは体調を崩しかねません。そのため、最低限の食の質を担保するためにも費用は避けられないようです。

さまざまな福利厚生

ここからは福利厚生について紹介していきます。学生にはわかりにくくても大切な制度は多いため、しっかり理解しておきましょう。なお福利厚生の制度は業績に影響されるため、削減される可能性もあります。

住宅費補助・社宅

福利厚生の代表といえば、住宅費補助でしょうか。会社によって【家賃の半分以上補助】から【補助なし】という会社までさまざまです。毎月5万円の補助は実質年収+60万円になるため、かなり余裕がもてますね。
社宅、独身寮は会社が提供する格安の住宅です。独身寮であれば家賃が1,2万円程度に設定されていることも多く、出費をかなり押さえられます。一方で都心までの通勤時間がかかったり、社員同士の共用設備が多いなど特有のデメリットもあるので注意してください。

退職金・確定拠出年金(401k)

確定拠出年金とは、給与の一部を将来の年金資金として運用し、老後所得を充実させる制度です。公的年金の給付水準が下がる中で、自助の助けになる退職金や企業年金は大きな助けになります。老後資金で話題になったのも記憶に新しいですね。なお、確定拠出年金の運用は自分で意思決定をしなくてはいけません。大抵は金融機関の運用商品を選ぶことになります。そのため、入社前にあらかじめ最低限の知識を補給してきましょう。
参考)りそな銀行「わかりやすく解説!はじめての確定拠出年金」

ストックオプション

ストックオプション制度とは、「将来自社株をある金額で購入する権利を得る」福利厚生の制度です。株式を購入できる金額を予め決めておくため、その後株価が上昇すれば、その上昇幅が売却益にできます。ベンチャー企業で採用されていることが多く、上場後に権利行使することでまとまった金額を獲得することもできます。

資格取得支援

会計系や不動産関連の企業では、資格勉強の支援や手当が設けられていることがあります。あるHR企業の調査では、8割超の企業が資格取得費・資格手当などで資格支援をしているとのこと。資格取得だけなら数万円程度の費用ですが、手当になると【月〇万円昇給】にもなることもあります。キャリアアップを重視される方は積極的に利用していきたいですね。

子育て支援

育児手当や割安の社内保育園など、多くの企業が社員の子育てを応援しています。例えばSONYでは育児休職期間中に月額5万円の育児支援金が支給されます。社内保育所は一般の保育園より安い水準の費用で押さえられる上に、アクセスも抜群です。会社によっては費用を全額免除してくれる制度もあるようです。

実際の待遇を理解しよう

今回は年収の概観、見えにくい費用、各種福利厚生のご紹介しました。待遇は会社選びで大切なポイントですが、平均年収など単純な指標では理解が深まりません。制度や評価制度をしっかり把握して、会社を検討していきましょう。