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多国籍企業と海外チャンス
多国籍企業と海外チャンス

就活をしていく中で企業説明や紹介の中でしばしば使われる「グローバル企業」「グローバル志向」というワードですが、就活生自身が入社してからの働き方が「グローバル」であるとは限りません。外資系企業も企業体制としてはグローバルですが社員の働き方がそうであるとも限らないようです。その理由について多国籍企業の分類を紹介しながら考察します。

外資系企業の定義と就活生の人気

外資系企業を志望する就活生

就活をしていく中での「外資系企業」への印象はどのようなものがあるでしょうか。「高収入」「実力主義」「海外志向」などのキーワードが上がるのではないでしょうか。そのほか早期選考が多いことや、華やかで頭脳明晰な人々が集まるイメージを持つ人もいるかもしれません。こうしたことから、「とにかく外資系企業」に志望を絞りこむ就活生も少なくないようです。

外資系企業の定義

外資系企業という言葉は就活生になると当たり前のように使われますが、そもそもどのような企業のことを指すのでしょうか。経済産業省の外資系企業動向調査によると、調査対象となっている外資系企業は以下の条件を満たす企業であるとしています。
「1.外国投資家が、株式又は持ち分の3分の1超を所有している企業であって、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業
2.外国投資家が、株式又は持ち分の3分の1超を所有している国内法人はが出資する企業であって、外国投資家の直接出資率及び間接出資比率の合計が、当該企業の株式又は持ち分の3分の1超となり、かつ、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業」
(出典:経済産業省 外資系企業動向調査https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/gaisikei/result/result_52/pdf/2018tyousanogaiyou-k.pdf)
上記の説明は少し複雑ですが、要旨としては企業への出資者、出資の比率が海外で一定割合以上の場合、外資系企業とみなされるということです。この定義から、先述した外資志望就活生のイメージにピッタリと合致していると判断できず企業の風土や制度などから吟味する必要がありそうです。

多国籍企業の組織体制

企業ごとの特性も勿論チェックするべきですが、企業全体の経営体制について理解しておくことは役に立つかもしれません。企業の本社と支社の関係性についても知っておくことで入社後の働き方を想像できます。メーカ―を例に挙げて考察したので参考にしてみてください。

グローバル企業

本社に資本や技術を集中する世界標準経営型のことを指します。Apple社はMacBookやiPhoneなどを全世界向けに製造販売しています。このことから、日本法人ではアメリカ本社がメイン企画した商品を販売、日本で需要を集められるように促進、利用サポートをすることが主要な業務になるのではないかと仮説を立てることができます。
したがって、世界的ブランドに関わる機会を持てる一方で商品企画などの業務に携わるには長い道のりが待っているかもしれません。

マルチナショナル企業

各国の支社に対して本社から独立して創業している地域適応経営型を指します。企業内でも国や地域によって展開している商品が異なり、地域のニーズに合わせた戦略が各支社ごとに求めらています。世界的な消費財メーカーNestleの商品として有名な「キットカット」の抹茶味は日本限定での販売になっていたり同じ通常タイプの「キットカット」でも地域ごとに好まれる味にあわせて調整しています。
このような企業では、日本国内での勤務が重視される一方で、日本支社内で一貫して商品の企画や販促を行うチャンスが多いと考えることができます。

トランスナショナル企業

比較的最近、世界的企業に求められる経営戦略の一つであるトランスナショナル企業は、経営に関わる主要な部門がそれぞれの地域・国である程度の権限を持って意思決定が行える、複合的な柔軟経営型のことを指します。例えば、トヨタ自動車では内部に使われる部品は殆ど同じものですが、各地域や国の規格などに合わせた調整を行います。この方法は支社間でのネットワークを十分に活用することで実現可能であり、今後の世界的企業でも本社ー支社間だけでなく支社同士のネットワークも重視されています。
こうした企業では、外資と聞いてイメージしやすい世界中との交流を通した働き方が求められるかもしれません。

海外進出のチャンスについて

外資系企業はほとんどの場合、本拠点を海外に置いた多国籍企業の日本支社のことを指します。しかし日系の大手企業も近年では海外展開が推し進められ、多国籍企業として活躍している場合も多くあります。この点を考慮して外資系企業について理解を深めましょう。

日系大手の立場

日系の大手企業は日本に本社を据えながら、海外に支社を展開しています。グローバル経営を行っている日系大手であれば、商品やサービスの企画を行うチャンスと同時に海外で働くチャンスを得やすい環境かもしれません。ただし、伝統的な社風や文化を大切にしている企業も多い可能性があります。

外資系企業の立場

実は外資系企業の多くは、日本国内の支社とし働く人材であることから、海外で働くチャンスはそれほど多くない可能性があります。海外に本社を置く企業の日本への適応化を担う存在として、日本特有の文化や消費者への理解が活きるチャンスが多いでしょう。一時的な出張や昇進、昇給に伴う本社への研修という形で海外にある本社で働く機会や同僚が日本人以外の人が多いという点では日系の大手企業より確率は高いかもしれません。

外資イメージと海外チャンス

「外資系」というワードに惹かれて企業選びの軸の一つにしている就活生も少なくないですが、グローバル経営をしていても経営体制の種類によっては海外で働くチャンスを得ることは難しいかもしれません。多国籍企業として範囲を広げて取り扱い、本社ー支社間の関係について考察することで自分の中にあった「外資」のイメージや海外チャンスを得られる環境についてを今一度事実ベースで検証して、本当に自分にあった企業探しをしてみてください。