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大量採用を行う企業は避けるべきか
大量採用を行う企業は避けるべきか

就職活動をしていると、採用規模が企業によって大きく異なることに気づきます。大手IT企業が500名以上の採用を行う一方、インフラ系企業は10数名の採用に留めています。新卒一括採用などとも呼ばれる大量採用ですが、今回は企業側、学生側双方の視点に立って考えていきます。

企業の都合から考える大量採用

まずは企業側の視点に立って、大量採用を行う事情を考えていきましょう。なお、採用数については東洋経済オンライン「「採用数が多い会社ランキング」トップ300社」を参考にしています。


参照:東洋経済オンライン「「採用数が多い会社ランキング」トップ300社」
(https://toyokeizai.net/articles/-/252280)

パターン1:企業規模が単純に大きい/経営上マンパワーが必要

まず第一に考えられるのが、「企業規模が巨大なため採用数も多い」というケースです。東洋経済オンラインの調査では三菱UFJ銀行や三菱電機が1000人以上という大規模な大量採用を行っているとのことです。両社の従業員数を見ると、三菱UFJ銀行が約34,000人(単体)、三菱電機が約35,000人(単体)を抱えていますから、1000人採用したとしても従業員の3%程度の規模に収まります。大量採用といっても、行っている企業からすれば適切な規模での採用ということになりますね。特に国内外に多くの拠点を構える金融機関などでは、必然的に採用枠が大きくなる傾向があるようです。加えて、採用枠が大きい企業では職種別に大規模な採用が行われており、事務系総合職だけでなく、専門職や工場など現場勤務の社員も数字に含まれる場合があることは把握しておきましょう。

パターン2:大量に辞める前提で大量に採用する

2つ目の類型は、「離職率が高いため多めに採用する」というパターンです。大量採用にまつわるネガティブなイメージはこの類型が大きな要因になっているのではないでしょうか。こうした「大量採用・大量離職」の企業を避けたいと考える就活生は多いですが、把握するのは簡単ではありません。こうした企業では三年以内離職率を公開していないことが多いからです。たとえ公表していたとしても、スポンサーへの配慮からメディアとしては取り上げにくいのが現実です。こうした企業を回避するには、やはり転職口コミサイトや過去の大量解雇のリサーチを行うなど、個別にチェックしていくしかありません。
注意していただきたいのは、イメージや偏見で判断しないことです。ネガティブな情報に対して就活生は敏感ですから、なんとなく嫌な印象のある企業は避けようとするものです。しかしそれが実態に則していない場合、せっかくの機会を逃すことにもつながりかねない問題です。自分自身の手でリサーチし、判断してみてはいかがでしょうか。

パターン3:ビジネスが拡大局面にある

3つ目の類型は、「ビジネスが絶好調で、圧倒的な人手不足に陥っている」というパターンです。典型的なのは近年採用枠を大幅に拡大しているコンサルティング業界です。上のランキングでも
21位アクセンチュア:500名採用予定
50位アビームコンサルティング:342名採用
65位野村総合研究所:300名採用
177位PwC Japan:140名採用
と各社が大量に採用活動を行っています。各社の人事担当者は「案件依頼が多すぎて断っている状況」と話しており、業界が急速な成長局面に入っていることがわかります。このように企業が成長する段階に入ると、拡大する事業に人材を補充するため、採用も積極化します。

【大量採用】学生にとってのメリット

選考を比較的通過しやすい

あくまで傾向の話になりますが、大量採用の選考は少数採用に比して通過しやすいです。人事部としては、学生を選り好みし過ぎると大量の採用予定枠を充足することができなくなる可能性があるためです。とはいえ、大量採用だから倍率が低いと断定することはできないため、気を引き締めて受験する必要があります。

同期が多い

入社してから共に働く同期は大切ですよね。採用枠が多いと、同期も数百人単位になります。その場合、必然的にいろんな人がいますから、気の合う友人を見つけるのも難しくないでしょう。また、同期が多いことは社会人生活を進める上で人脈を広げるチャンスにもなります。同期間でしっかりネットワークを広げておけば、たとえ退職してもさまざまな情報や機会を得ることができるからです。近年は会社の「卒業生」を大切にする取り組みが広がっているのも、人脈の大切さを物語っていますね。

【大量採用】学生にとってのデメリット

希少性が下がる

キャリアを形成していく中で、コモディティ化を避けたい!という就活生は多いでしょう。ありきたりな人材は市場価値が下がってしまうので、基本的なスキルに専門性を組み合わせて自分のキャリアを形成する人が多い印象です。大量採用で入社すると、自分と同じキャリアパスで成長していく社会人が多くなりますから、必然的に希少性が下がり、コモディティ化する可能性は増します。もちろん企業内で自分なりの価値を身につけることができますので、これも傾向の話であることは留意しておきましょう。

人材の質がばらつく可能性

大量採用になると、厳選採用に比べて人材の質はどうしてもばらつきます。10人を優秀な人で固めるのはそうそう難しい話ではありませんが、100人集めるのは難しそうですよね。優秀な人だけに囲まれて活躍したい!もしくは企業のブランドを大切にしたい!という方は大量採用には注意する必要がありそうです。

言葉だけに惑わされない

就職活動では、さまざまな事柄について良い風評・悪い風評が流れます。しかし、それが実際にどのような背景でそうなっているのか、実態はどうなのかは不明瞭なことが少なくありません。自分で整理して、価値判断を行っていくように心がけましょう。この大量採用の記事がその一助になれば幸いです。