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新聞記者のキャリア
新聞記者のキャリア

新聞には政治や経済、事件事故など多岐にわたるテーマの記事が掲載されています。新聞記者は、政治部や経済部、社会部などに所属し、自分の専門分野を持つことになります。しかし、そのような専門分野を持つまでには実は長い道のりがあります。この記事では、新聞記者の一般的なキャリアパスと、大手新聞社である朝日新聞社、読売新聞社と大手通信社である共同通信社の具体的なキャリアパスを紹介していきます。

新聞記者の一般的なキャリアパス

社によってどのようなキャリアを歩むかについては多少異なりますが、全国紙の一般的なキャリアパスを紹介します。

入社後数週間~3か月程度は集合研修

どの新聞社も、入社後は本社で集合研修を行います。研修では記事の基本的な書き方やカメラの使い方を学んだり、模擬取材を行ったりします。現場での取材で最低限必要なスキルを身につけることが目的です。新聞記者は基本的に全国各地に配属されるため、同期入社の人と交流することができる貴重な場でもあります。

数年間は各都道府県にある総支局に配属

本社での集合研修を終えた後、全国各地にある総支局に配属されます。基本的に、2,3カ所の総支局での勤務を経験することになります。年数的には5~10年です。
入社1年目の新人記者は、「サツ担」と呼ばれる警察・検察を担当することになります。2年目以降は行政を担当するなど、より幅広い分野を取材対象にしていきます。ただ、地方の総支局は人数も限られているため、自分の担当でなくとも取材すること、記事を書くのは日常茶飯事です。
この総支局での勤務はいわば「訓練」です。特に警察取材はかなり難しい取材です。総支局勤務で取材のいろはを身につけ、自分が希望する本社の部で活躍できるような人材へと成長することが目的です。

5~10年で本社の専門部署に配属

地方総支局での勤務を5~10年経験すると、希望に応じた本社の専門部署に配属されます。もちろん希望が叶わない場合もあります。そこで、初めて本社配属となり、自分が入社前からやりたかった取材ができると言えます。ここが「専門記者としてのキャリアスタート」です。
部署の種類は、社によって多少の違いはありますが、基本的に政治部・経済部・社会部・外信部・科学部・運動部などです。

デスクや編集委員、論説委員、総支局長などに

専門部署でキャリアを積むと、実績・スキルに応じてさまざまな役職に就くことになります。具体的には、以下の通りです。
・デスク:紙面の責任者
・総支局長:総支局を統括する責任者
・編集委員:専門分野に特化した記者
・論説委員:社説や1面コラムを担当する記者
・役員:取締役や執行役員など経営に携わる人
以上のような役職に就くためには、ある程度の実績を積むことが求められます。特に、その社の論調をリードする論説委員や、経営に携わる役員になるのは非常に難しいと言われています。

大手新聞社・通信社のキャリアパス

ここでは、大手全国紙の朝日新聞社と読売新聞社、大手通信社の共同通信社のキャリアパスを紹介します。

朝日新聞社のキャリアパス

本社:東京本社(中央区築地)、大阪本社、西部本社、名古屋本社
・入社時研修(約1カ月)
・各都道府県にある総局に配属
・約4年間で2カ所の総局を経験
・各本社の各部へ

読売新聞社のキャリアパス

本社:東京本社(千代田区大手町)、大阪本社、西部本社
・新人社員研修(約3週間)
・記者塾研修(約2カ月)
・各都道府県の県庁所在地にある総支局に配属
・約5年間総支局で経験を積む
・本社に異動し、専門部署で活躍

共同通信社のキャリアパス

本社:東京本社(港区東新橋)
・新入社員研修(約2週間)
・各都道府県にある支社局に配属
・配属先の管轄支局での支局研修(約2週間)
・2、3カ所の総支局で5~7年経験を積む
・希望や適性に応じた本社の出稿部に配属
※入社1,2年で一度本社の出稿部に配属される場合や、全国の共同通信加盟社(ブロック紙や県紙など)に出向する場合もあります。

新聞記者のキャリアまとめ

どの新聞社も入社後数年は、地方で取材の基礎を身につけることになります。地方での経験はつらいことも数多くあると言われており、専門記者としてキャリアを積むためのいわば「訓練」です。 入社後すぐには、自分の取材したいテーマを担当することはできないという点は心得ておくべきでしょう。また、本記事では扱いませんでしたが、日本経済新聞社のように入社1年目から本社に配属される場合もあります。自分が受験する社では、どのようなキャリアを積んでいくことになるか、OB・OG訪問や説明会などで聞いて、具体的なイメージをつかんでおきましょう。