新聞を読む習慣がある人はいるかもしれませんが、新聞記者という仕事を身近に感じる人はそこまで多くはないと思います。普段の生活では直接接することが少ないからです。しかし、多くの人は新聞記者という仕事に対して、「激務」というイメージを抱いているのではないでしょうか。この記事では、新聞記者のメリットとデメリットを示しながら、新聞記者という仕事の全貌に迫っていきます。
Summary
新聞記者として働くメリット
自分の記事が新聞に掲載される
新聞記者の仕事は、取材をしてそれに基づいて記事を書くことです。そして、書いた記事は自社の媒体である「新聞」に掲載されます。自分が書いた記事が、紙面に直接載ることの喜びは計り知れないものでしょう。特に、記事の最後に名前が載る「署名記事」は、友人や家族から「読んだよ」という連絡が来るなどし、自分がした仕事を肌で実感することができます。
スクープを出したときのやりがいは非常に大きい
スクープとは、他社のどの記者も掴んでいない、もしくは報じていない大きなニュースを掴み、報道することです。「特ダネ(特種)」とも言われます。
スクープは、世の中の多くの人が知らない情報のことで、世の中に非常に大きなインパクトを与えます。自分が報じたスクープによって、世の中が動きあちこちで話題となることは、非常に大きなやりがいとなるでしょう。また、スクープは社内でも大きく評価され、上司からも一目置かれます。
「2018年度新聞協会賞」を受賞した、朝日新聞社による「財務省による公文書の改ざんをめぐる一連のスクープ」は、財務省に公文書を改ざんした事実を認めさせ、関係者の大量処分につながるなど、世の中を大きく驚かせました。
1枚の名刺で誰にでも会える
記者は普通では会えないような人にも、名刺1枚で会うことができる仕事です。政治部に配属されれば、国会議員はもちろん、総理大臣に取材することも可能です。経済部であれば、大企業の社長に会って取材することも可能です。
一つ、「総理番」という仕事を紹介しましょう。「総理番記者」のことで、いわゆる総理担当の記者です。総理番は、1日中総理を追っかけ、総理の発言一語一語、どこに行ったか、誰と会ったかなどについてすべてを記録する仕事です。総理番の1日は、総理の自宅前から始まり、自宅前で終わります。日本のリーダーとともに同じスケジュールで動く仕事は滅多に無いでしょう。
使命をもって働ける
新聞記者は何かしらの使命を持って働く人がほとんどです。もちろん、その使命は社や人によってそれぞれでしょう。人それぞれに、「権力を監視する」「民主主義の基盤を支える」「国を良い方向に導く」などといった強い使命を持って働いています。
基本的に高給
新聞記者は、世間一般からすると高い給与をもらうことができます。もちろん残業代が多いということもありますが、基本給も高い傾向にあります。初任給を例に挙げると、読売新聞社は260,000円(2017年4月)、朝日新聞社は246,730円、共同通信社は255,700円です。メガバンクや大手自動車メーカーでも20万円程度です。さらにここに、残業代や住宅手当も支給されるので、高給であると言えます。
新聞記者として働くデメリット

仕事とプライベートの境目が無い
新聞記者という仕事は、取材先があって成り立つものです。自分の論理では動くことができません。例えば、地方支局や社会部であれば、事件や事故が起きればすぐに駆け付けなければなりませんし、政治部でも極秘情報を取るために、政治家に対して夜討ち朝駆け取材をかけます。夜中や休みの日に上司や取材相手から電話がかかり、駆け付けなければいけないことも日常茶飯事です。新聞記者が「激務」と言われる所以はここにあると言えます。プライベートを充実させたい人には厳しい職業です。
誤報は許されない
新聞社にとって一番避けたいのは「誤報」です。新聞は一番信頼できるメディアとして、部数は年々減らしながらも、依然大きな影響力を持っています。誤報は新聞が持つ「信頼性」を大きく傷つけるものなのです。
誤報があると、訂正記事と謝罪記事を掲載し、その誤報により迷惑を被った相手に対しては謝罪をしなければなりません。もちろんその分、信頼は失い、部数にも影響します。2014年に朝日新聞社が訂正した一連の誤報は、他の報道メディアや国民から大きなバッシングを受け、部数も大きく減らしました。
特種を出せという上司からの圧力と、絶対に誤報は避けなければならないというプレッシャーに挟まれる記者は、精神的にも非常に厳しいものがあります。
一層強まるメディアに対する風当たり
マスメディアに対する風当たりは年々強まっています。朝日新聞に限らず相次ぐ誤報の数々、「メディアスクラム」と呼ばれる集団的過熱取材など原因は様々です。ネットの台頭も要因の一つでしょう。新聞社、新聞記者はどう信頼を取り戻していくか、今後の大きな課題です。
辛い事件と直接向き合わなければならない
配属される部署にもよりますが、記者は事件や事故、災害に直接向き合わなければなりません。殺人事件や震災などで犠牲になった遺族を取材するのも仕事です。家族を亡くし、悲痛な気持ちに駆られる遺族から話を聞きだすという仕事は、どんなにキャリアを積んだ記者にとっても辛い仕事です。
どの職業にもメリットとデメリットは必ずある
新聞記者の仕事は激務で、肉体的にだけでなく精神的に辛いことも多く、新聞記者として働くことにはデメリットも多くあるのは事実です。しかし、それ以上に世の中への影響力の大きさ、名刺1枚で誰にでも会える特権、使命も大きさなど大きいやりがいのある仕事です。新聞記者に限らず、どの職業にもメリットとデメリットがあります。メリットデメリット両方を把握して、今後のキャリアについて考えてみてください。