用語集

KSFとは?KGIやKPIとの違いや、適切な設定方法を解説

KSFとは重要成功要因のことで、マーケティングや経営戦略において使用される用語です。事業を成功に導くために設定しておきたいものがKSFと言われているものの、言葉の意味や活用方法が具体的にイメージできていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、KSFの意味や設定のポイントについて解説していきます。事業計画の策定に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

KSFとは?

KSFとは「Key Success Factor」の略で、重要成功要因と訳されるビジネス用語です。「CSF(Critical Success Factor)」や「KFS(Key Factor for Success)」とも呼ぶことがあります。

例えば「売り上げを前年度比で30%アップする」と企業が目標を立てた場合、30%アップを達成するために目を向けるべきポイントがいくつか存在するでしょう。その中から特に重要と思われるポイントが「目標達成に重要な要因」、つまりKSFとして定められます。

KSFには、大きく分けて2種類存在します。市場や競合などの外部環境から影響を受けるのが「外部要因」、労働環境や自社の強みなどの内部環境から影響を受けるのが「内部要因」といわれています。

参考:KSFとは?KGI・KPIとの違いや分析方法、設定例を紹介 | Backlogブログ

KSFの目的

KSFを定める目的は、戦略の明確化と具体化にあります。課題達成に対する手段が曖昧な状態だと、企業は事業を効率的に営めません。「労働生産性を20%高めるためには、従業員への教育研修が必要だ」と手段を明確にすることで、何をすれば目標達成に近づけるのかが明らかとなります。

参考:KSFとは?設定の目的やメリット、注意点をわかりやすく解説 | 識学総研

KSFを設定するメリット

KSFを設定することで、以下の3点のメリットが得られます。

  • 重要な業務に集中できる
  • 企業全体の方向性が統一される
  • PDCAサイクルがスムーズに回せるようになる

それぞれ解説していきます。

参考:KSF(キーサクセスファクター)とは?設定方法や注意点|スマレビ HRコラム

メリット1:重要な業務に集中できる

やるべきことをKSFで事前に設定しておけば、業務に優先順位が付けられるようになり、より重要度の高い分野にリソースを割くことが可能です。行動に無駄がなくなるため、会社全体の業務効率も高まり、他社との競争力も強化できます。

参考:【完全版】人事のためのKSFとは。KPI・KGI・OKRとの違い | HR大学

メリット2:企業全体の方向性が統一される

適切なKSFを設定できれば、起こすべき行動が明確になっていきます。社員は何をすれば目標達成に繋がるのか理解できているため、会社全体が統一感を持って業務に取り組めるようになります。

また、一貫性のある企業活動は、顧客からの信頼を得られやすく、ブランド化の促進も期待できるでしょう。

メリット3:PDCAサイクルがスムーズに回せるようになる

PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(行動)」「Check(評価)」「Action(改善)」のプロセスを繰り返すことで業務効率化が可能となる手法です。

KSFの設定によって行動が明確になれば、行動へのフィードバックや改善への動きもスムーズに進められるようになり、その結果、PDCAサイクルの質が向上します。「PDCAサイクルが自社でうまく機能していない」とお悩みの場合は、行動を明確化できるKSFを設定してみましょう。

KSFとKGI・KPIの関係性

KSFと似た用語に、KGIとKPIがあります。この3つの用語には関連性があり、セットで考えることで目標達成へのプロセスの整理が可能です。

ここからは、KGIとKPIの意味や活用方法について解説していきます。

KGIとは?

KGIとは「Key Goal Indicator」を略した用語で、「重要目標達成指標」と訳されます。簡単にいうと、最終目標を数値化した指標のことです。

年間売上増加に対するKGI設定であれば、「売上アップ」ではなく「前年度比30%の売上アップ」や「年間売上高2億円」のように具体的な数値目標を設定することで、達成度の把握が可能になります。

KPIとは?

KPIは「Key Performance Indicator」の略で「重要業績評価指標」と訳されます。KGI(重要目標達成指標)を達成するために設定する中間目標が、KPIです。

中間目標であるKPIを設定することで、目標への進捗状況がチェックできます。また、中間目標によって評価のスパンが短くなることから、従業員のモチベーション維持にも繋がります。

KSFの設定方法

KSFは正しい方法で分析することで、適切な設定が可能です。設定にはいくつかの方法がありますが、ここではその中でも重要なものを3点ご紹介します。

  • 外部要因と内部要因の分類
  • 多角的な分析
  • フレームワークを利用した分析

それぞれ解説していきます。

設定方法1:外部要因と内部要因の分類

事業の成功要因を分類することで、整理しながらKSFを設定できます。まず、外部要因と内部要因に分け、それぞれ思いつくだけの要因をリストアップします。次に、リストアップした要因の中から目標達成に繋がりそうな要素を絞っていき、KSFを設定していきます。

このときに注意したいポイントは、外部要因と内部要因の両方を考慮することです。KSFが内部要因に偏ってしまうと、想定していなかった外部要因の影響により目標未達になる可能性があります。KSFを設定する際は、双方のバランスを考慮するよう心がけましょう。

設定方法2:多角的な分析

業務フローから多角的に分析してKSFを設定する方法も有効といわれています。業務フローを書き出し、フローに沿って目標達成に影響がありそうな要素をリストアップします。

設計部門を例に挙げると、以下がKSFになりうる要素です。

  • 品質
  • 設計工数
  • 点検工数
  • 技術力
  • ツール
  • 自動化
  • 人員
  • コミュニケーション
  • 間接工数

ヒト、モノ、カネ、技術といった視点から、目標達成に関連の強そうなKSFを考えましょう。

設定方法3:フレームワークを利用した分析

フレームワークを使うことで、効果的にKSFを設定することが可能です。自社の強みや弱みを、市場や競合といった外部環境を考慮しながら分析していきます。

KSF設定に活かしやすいフレームワークは、以下の3つです。

  • 3C分析:Cutomer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)を網羅的に分析する手法
  • 5F分析:「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「競合他社との関係」の5つの要素から分析する手法
  • SWOT分析:Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4点から自社分析を行なう手法

KSFを設定する際は、自社の分析に適したフレームワークを選ぶよう心がけましょう。

KSF設定時のポイント

KSFの設定は、フレームワークを使うことで情報を整理しながら分析できますが、フレームワークを使うだけで適切なKSFが見つかるわけではありません。

ここでは、KSFを設定する際に押さえておきたいポイントを解説していきます。

KSF設定のポイント1:限定する

KSFは多ければいいわけではありません。KSFが多くなると優先順位がわかりにくくなるため、何をすればいいのか判断に迷ったり、リソースが分散されることでKSFの結果が中途半端になったりする可能性があります。

「影響が大きい要素」や「自社にとって価値がある要素」を基準に優先順位を決め、上位3つ程度の要素をKSFに設定するのがおすすめです。

KSF設定のポイント2:定期的に見直す

KSFは1度決めたらそのままというわけではなく、定期的な見直しが必須です。ビジネス環境や自社の状況が変化することに伴い、外部要因や内部要因も変化していきます。

時代にマッチしていなかったり、効果を感じられなかったりするKSFがあれば、一度分析をやり直し、より有効だと思われるKSFを設定していきましょう。

KSF設定のポイント3:設定しただけで満足しない

KSFの設定には時間と労力が必要になるため、KSFが設定できた時点で「対策が打てた」と満足してしまう方も少なくありません。

しかし、KSFの設定は目標達成の鍵である要因を設定しただけに過ぎません。大切なのはKSFを達成するために必要なアクションを具体的に検討し、実行することです。

KSFの設定はあくまでも手段であり、途中工程であることを理解しておきましょう。

KSFを理解して目標を達成しよう

KSFとは、目標達成の鍵となる要素のことです。KSFを設定することで、取り組むべきことが明確になり、目標達成に向けてプロジェクトをスムーズに進められます。
ただし、KSFは目標であるKGIや中間目標であるKPIとセットで使用しなければ、大きな効果は得られません。KGIに沿ったKSFを設定し、KSFをもとにKPIを設定することで効率的な業務が期待できるでしょう。

KSFを正しく使いこなし、継続的な企業の成長へと繋げていきましょう。

ABOUT ME
ミキワメラボ編集部
ミキワメラボでは、適性検査、人事、採用、評価、労務などに関する情報を発信しています。

活躍する人材をひと目でミキワメ

ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。

社員分析もできる30日間無料トライアルを実施中。まずお気軽にお問い合わせください。