用語集

サーバントリーダーシップとは?企業成長に必要な理由や導入時の注意点を解説

サーバントリーダーシップとは?企業成長に必要な理由や導入時の注意点を解説

リーダーシップ哲学のひとつであるサーバントリーダーシップは、組織のボトムアップ効果が期待できることから近年注目されています。この哲学ではチームでの助け合いが重要視されており、他者の要望を最優先に考え、組織全体が成長することを目標にしています。

本記事では、サーバントリーダーシップの基本を押さえたうえで、企業の成長に必要な理由や導入時の注意点を解説します。

サーバントリーダーシップとは

サーバントリーダーシップは、ロバート・K・グリーンリーフが提唱した新しいリーダー像です。リーダーは組織のトップに君臨し、人々を権力によって指揮するイメージが従来では一般的でした。しかし、グリーンリーフが提唱したリーダー像は「人に奉仕すること」を最大の目標としています。

彼が執筆した『The Servant as Leader』によると、真のリーダーとは人を導いたり、高位な職権を伴ったりするものではありません。周囲から信頼され、人々に奉仕する者がリーダーにふさわしく、そうした人たちを「サーバントリーダー」と名付けました。

サーバントリーダーシップが求められる2つの理由

サーバントリーダーシップが近年になって注目されている背景には、次の2つの理由が挙げられます。

  • 働き方の多様化
  • イノベーションを求める企業の増加

それぞれ解説していきます。

理由1:働き方の多様化

現代社会では、リモートワークや同一労働同一賃金制度、フレックス制など多様な働き方が許容されています。こうした働き方の多様化によって人材の流動性が激しくなり、多くの企業が人材の確保に注力している状況です。

企業が必要な社員数を保つためには、社員の満足度を高め、離職を回避する必要があります。社員の満足度アップの一環としてマネジメント手法の見直しが進み、その結果サーバントリーダーシップに目が向けられるようになりました。

理由2:イノベーションを求める企業の増加

グローバル化は国内企業にも大きく影響を与えています。多くの企業が、長引く不況のなかで安定的な経営を望む一方、グローバル化によって競争はますます激化しています。

企業間の競争に打ち勝つためには、顧客から選ばれる商品・サービスの提供が重要です。画期的なサービスを生み出すための組織変革の一環として、サーバントリーダーシップの導入を進めているケースも存在します。

サーバントリーダーシップにおける10の特徴

サーバントリーダーシップには、以下の10個の特徴があります。

  • 共感(Empathy)
  • 傾聴(Listening)
  • 癒し(Healing)
  • 先見性(Foresight)
  • スチュワードシップ(Stewardship)
  • 人々の成長への取り組み(Commitment to the growth of people)
  • コミュニティづくり(Building community)
  • 自己認識(Awareness)
  • 説得(Persuasion)
  • 概念化(Conceptualization)

それぞれ詳しく説明していきます。

特徴1:共感(Empathy)

サーバントリーダーシップでは、自分の考えや価値観を押しつけるのではなく、相手の視点を尊重することが重要とされています。

特徴2:傾聴(Listening)

サーバントリーダーには、他者へ一方的な指示を出すのではなく、相手の話に耳を傾ける真摯な姿勢が求められています。

特徴3:癒し(Healing)

ここでいう癒しとは、部署のメンバーやチームメンバーが安心して仕事に取り組めることや、精神的に落ち着いた状態で業務と向き合えることを意味します。業務上のミスやトラブルなどに直面して落ち込んでいる社員に対し、温かい言葉を投げかけて気持ちを整えさせるのがサーバントリーダーの役目です。

特徴4:スチュワードシップ(Stewardship)

スチュワード(Steward)とは執事を意味し、執事のように他者に貢献する気質を指します。サーバントリーダーシップでは、執事のように他者利益を重視した姿勢が重要です。

特徴5:先見性(Foresight)

サーバントリーダーには、長期的なスパンで物事を捉えたり、将来を見据えたうえでの意思決定が求められたりします。勘に頼るのではなく、これまでの経験やデータを踏まえて総合的に判断しなければなりません。

特徴6:人々の成長への取り組み(Commitment to the growth of people)

サーバントリーダーは、自己成長のみならず、チーム全体のスキルアップや能力の向上に取り組む必要があります。メンバーへ適切にアドバイスを提供し、ときには労働環境を整備することもサーバントリーダーの役割です。

特徴7:コミュニティづくり(Building community)

組織のコミュニティづくりに注力することも、サーバントリーダーの役目です。例えば、部署のメンバー間で対立が生じた場合は仲介者になったり、メンバー間の交流を促す場を設けたりします。

特徴8:自己認識(Awareness)

サーバントリーダーには、自己を客観視し、周囲に対してどのような影響を与えているのか把握することが求められています。自分がチームにプラスの影響を与えられているのか分析し、必要に応じて行動修正を図る姿勢が重要です。

特徴9:説得(Persuasion)

他者の行動を促すために、サーバントリーダーは権力ではなく、説得や対話といった方法を用います。権力による強要では、持続的な人間関係は構築できません。互いが納得できるまで対話を試み、相手の主体性を保ちながら物事を進めていくのがサーバントリーダーの役割です。

特徴10:概念化(Conceptualization)

概念化とは、物事の概念をわかりやすく表現する力です。例えば、経営ビジョンや経営理念といった抽象的になりやすいものを、理解可能な言葉に置き換えてチームメンバーに伝えていくのがサーバントリーダーの役目です。

サーバントリーダーシップが企業にもたらす効果

サーバントリーダーシップの考え方を導入すると、企業は次のようなメリットを得られます。

  • 社員の主体性が向上する
  • 社内コミュニケーションがスムーズになる
  • 従業員エンゲージメントが高まる

それぞれ詳しくみていきましょう。

効果1:社員の主体性が向上する

サーバントリーダーシップでは、自主性を尊重した考えが根底にあります。部下がリスクを恐れず行動できるよう、自発的行動を評価する組織風土づくりに取り組むのが上司の役割です。

行動を温かく見守ってくれる上司がいることで、部下は自ら考え行動する習慣が得られます。結果として自主性の高い社員が増えていき、会社全体の活性化につながります。

効果2:社内コミュニケーションがスムーズになる

部下やチームメンバーを信頼し、社員の業務遂行を強力にバックアップしてくれるサーバントリーダーが存在することで、風通しの良い組織づくりが図れます。

リーダーが部下に寄り添う姿勢を示せれば、コミュニケーションのハードルは大きく下がります。「ちょっとした悩みや業務上の相談を気軽に話せる存在」としてサーバントリーダーが機能することで、社内コミュニケーションの円滑化が期待できるでしょう。

効果3:従業員エンゲージメントが高まる

「従業員エンゲージメント」とは、社員の愛社精神や貢献意欲を示す言葉です。従業員エンゲージメントが高まると、社員のモチベーションアップや離職率の低下が期待できるといわれています。

サーバントリーダーには、会社の経営方針やビジョンをわかりやすく伝える役割があります。

「何を実現するために組織が存在するのか」「自社が目指す社会はどのようなものなのか」といった点が明確になれば、社員は自らの存在価値を認識できるようになるでしょう。

また、会社への理解や共感が促されることで、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。従業員エンゲージメントは、以下の記事でより詳しく解説しているので、より詳しく知りたい方はご覧ください。

サーバントリーダーシップにおける2つの注意点

サーバントリーダーシップの導入は、組織への利益が期待できる一方で、注意しなければならない点もあります。

以下、サーバントリーダーシップ導入時に押さえておきたい2つの注意点を紹介していきます。

注意点1:企業によっては合わないケースもある

自発的な思考や行動に慣れていない社員にとって、サーバントリーダーシップの考え方は受け入れがたく、導入しても期待した効果を得られない可能性があります。

突然「自分で考えて動くように」「積極的に意見を出してほしい」と上司から言われると、困ってしまう社員も存在するでしょう。そのような場合は、サーバントリーダーシップをいきなり導入するのではなく、主体的に働くことの重要性を社員に伝えるところからスタートするとよいでしょう。

注意点2:意思決定が遅くなる場合がある

管理職と部下のコミュニケーション量が増える点は、サーバントリーダーシップ導入のメリットのひとつです。ただし、幅広い意見が集まりやすい環境となるため、情報整理や分析が不十分であると、意思決定に時間がかかるケースも出てくるでしょう。

「傾聴」や「共感」を駆使して部下からの意見を拾い上げ、対話や説得によってチームの意思決定を促す、そのような試みがサーバントリーダーには求められています。

まとめ

サーバントリーダーシップとは、「奉仕の精神を持って部下に接し、主体的行動を促す」リーダー思考です。上から目線で指示を出したり叱責したりするのではなく、部下を献身的に支え、育てていくのがサーバントリーダーシップの特長といえます。

サーバントリーダーシップの考えが企業に浸透していけば、社員の主体性アップが期待できるだけでなく、社内にオープンな雰囲気を作り出すことが可能です。ただし、企業によってはサーバントリーダーシップの考え方がマッチしないこともあるため、導入の際は自社に適した考え方かどうかを検討する必要があります。

サーバントリーダーシップを適切な方法で自社に導入し、企業のさらなる成長を図っていきましょう。

ABOUT ME
ミキワメラボ編集部
ミキワメラボでは、適性検査、人事、採用、評価、労務などに関する情報を発信しています。

活躍する人材をひと目でミキワメ

ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。

社員分析もできる30日間無料トライアルを実施中。まずお気軽にお問い合わせください。