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大学の友人などと就活話をしていると、「あの人は親のコネで縁故採用が決まっているらしい」なんてうわさを聞くことがあるのではないでしょうか。自分は必死に就活をしていることを思うと、羨ましさや妬ましさすら感じたり、コネが無い自分に焦りを感じるかもしれません。今回は縁故採用は本当にあるのか?そして、それって実際どうなのか?といったことをご紹介していきます。

縁故採用って実際あるの?

このご時世、企業は縁故採用などしているのか?いないのか?都市伝説のようにも思えますが、その答えは「している」です。3、40年前は職業選択が現在ほどオープンでなかったこともあり、ほぼ全員縁故採用といっても過言ではない時代もありました。もちろん現在はかつてと比べてその数は激減していますが、現在でも縁故採用は一般的に行われていいます。「コネが無い学生は必死に就活しているのにズルい!」と感じる方がいても自然ですが、縁故採用は“悪しき風習“なのかといえばそうではないとも考えられます。
 
すべての人にとって喜ばしいことではありませんが、世の中は“平等”であるべきであっても“公平”ではありません。当然、違法性があったり、規則として公平性が担保されている分野(福祉や教育など)に関してそれを崩すような行為は認められませんが、ビジネスに関しては競争です。仕事に対し、各々が持っている知力・体力・気力などのリソースを全身全霊で注ぐことで成果を出しています。逆説的には、結果を出すためであればすべてのリソースを駆使するべきでもあるのです。その中には先ほど述べた体力などの分かりやすいものもあれば、「縁故」という“関係値”もリソースとして活用するのは自然な流れといえます。

企業が縁故採用をする理由

通常、大企業での生涯年収は2~5億円です。企業が人材を採用するということは、賃金を払う対価としてそれ以上の利益や価値を企業に生み出すという契約でもあります。分かりやすく極端な例でご説明しますが、仮にとある企業が石油王の子息であるAさんを採用することで石油の採掘権を獲得できるのであれば、むしろ数億円の賃金を払うだけで数百億円の利益を得られることになります。もちろんこれはかなり単純化させた例ですが、Aさんは自分の“関係値”を企業に売り込み、企業はそれを賃金で買い取ったと考えれば、非常に戦略的かつ合理的だと分かるはずです。
 
教育の現場などではなるべく“公平性”を担保できるような仕組みを作っています。勉強のデキるデキないはあっても、障がいや出生によってそれを妨げることはあってはならないという考え方です。しかし社会に目を向けると世の中が想像以上に“関係値”によって成り立っていることが分かります。企業関係、政治関係、ひいては国際関係ですら”関係値”によって均衡が守られています。アメリア大統領と北朝鮮指導者の関係が国際貿易に及ぼしている影響を思い浮かべていただければ想像しやすいかもしれません。
  
また関係値という観点以外にも企業が縁故採用をするメリットはあります。例えば経営者の子息を採用する場合、多くの場合幼いころから経営者の考え方やビジネス感覚に触れながら育っています。そのようなバックグラウンドは、ビジネスにおいてもプラスに働くことは容易に想像できるでしょう。当然入社後の配属や昇進が忖度されることはほどんどありませんが、そのバックグラウンド自体はその人が親から受け継いだ能力ともいえますから、それを活用することは否定するに値しません。

採用の機会は平等にある

とはいえ冒頭でも述べた通り、現在では縁故採用は激減しています。そもそも大多数の人は大企業との縁故採用を得るだけのコネなど持ち合わせていないでしょう。ですからコネが無いからいけないだとか、有るからいいなどと考える必要はまったくありません。現在は基本的にすべての企業がオープンにエントリーを受け付けていますし、採用の機会は99.9%平等に与えられています。むしろ、コネを持っている人と出会ったときは社会勉強だと思ってその付き合いを大切にするべきでしょう。
 
必死に就活をしている時、コネで難関企業の内定をもらったといううわさを耳にすると複雑な気持ちになるかもしれませんが、一番避けるべきはそのようなうわさで右往左往して感情を乱されることです。くり返し述べますが、採用の機会は99.9%平等に与えられています。平等に与えられた土俵であなたらしい職業選択をするとともに、胸を張って就活を楽しんで頂ければと思います。

YouTubeで動画も公開中

企業の縁故採用について、元P&Gジャパン採用/研修統括マネージャーのレクミーおじさんが詳しく解説している動画はYouTubeでも視聴できます。記事には載せきれなかった貴重な話も聞けるので、ぜひレクミーチャンネルもチェックしてみてください。
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