就活生の間で、年収の高低や激務で必ず話題に上がるのは「シンクタンク」です。学生にはあまり馴染みが無い言葉ですが、野村総研(NRI)・三菱総研(MRI)などの企業名なら知っているよという方も多いかもしれません。今回は単語の意味といった初歩的な情報から実際の業務内容、さらにはコンサルティングとの違いを丁寧に解説します!
Summary
シンクタンクの基本知識
Think Tank = 頭脳集団
シンクタンク(Think Tank)を日本語で言うならば「頭脳集団」。その名の通り、高い思考力を活かして経済、社会問題を日々調査する研究機関なのです。もともとは政策立案などをメインに行う研究所を指していました。しかし現在の日本では母体(親)となる団体や企業が存在し、それの経営戦略を考えるブレインであったり、統計データを作成するチームであったりするのです。
「民間」と「政府系」がある
そして、その母体が民間企業かそれとも国や省庁かによって、「民間シンクタンク」「政府系シンクタンク」と区別されるようになるのです。前者だと、野村グループの「野村総合研究所(野村総研・NRI)」やみずほフィナンシャルグループの「みずほ情報総研」など、多種多様なシンクタンクが挙げられ、後者では内閣府の「経済総合研究所」、日本銀行による「日本銀行金融研究所」などが代表例です。
コンサルとの違い
コンサルティングファームとの最大の違いは、「クライアントの利益(または課題の解決)を最優先に考えているか否か」に尽きます。コンサルティングファームは、依頼を受けた顧客や省庁の課題を解決し、その利益が最大限になるように経営戦略を考えます。一方でシンクタンクは上述の通りあくまでも研究機関なのです。母体となるグループのためにデータを分析して政策や戦略を提言する場合ももちろんありますが、それがクライアントの問題解決に直結するとも限りませんし、利益最優先!というわけではないのです。
このように当初の理念こそは違ったものの、シンクタンクとして発足した研究機関が自らの分野で培ったリサーチ力を用いて他企業のコンサルティングを請け負うことも多いのです。それゆえに「コンサルとシンクタンクの違いが分からない」という問題が生じるのです。
更に現代ではIT分野でのソリューションなどにも着手しだした結果、コンサルティングでありシンクタンクでありSIer(システムインテグレーター)でもある企業だらけになってしまい、この3業界の垣根は取り払われたと言っても過言ではないでしょう。
年収と勤務時間
年収が多いということは…
また、シンクタンク企業が上位校生からの人気を集める理由は何と言ってもその年収の高さでしょう。野村総合研究所の2019年3月期有価証券報告書によれば、平均年齢は40.3歳で平均年間給与は1,221.7万円。ほかの業界に比べても圧倒的な報酬でしょう。その反面、報酬に見合った激務が予想されます。一時期は残業月100時間は当たり前と言われていたほどでしたが、現在は働き方改革が進んでいることもあり勤務状況は改善しつつあるそうです。
みなし残業だけど基本給が高いのか、それとも基本給は平均的だが残業量が多いのか、いずれのケースもありますがシンクタンク系は高収入かつ激務であることには変わりないようです。
国内シンクタンクの紹介
○○総合研究所だらけ
研究機関としてスタートしたため、国内のシンクタンクは○○総合研究所という社名がほとんどです。僅かではありますが代表的な機関をリストアップしました。
- 経済社会総合研究所(政府系:内閣府)
- 経済産業研究所(政府系:経済産業省)
- 防衛研究所(政府系:防衛省)
- 大和総研(民間:大和証券グループ)
- ニッセイ基礎研究所(民間:日本生命)
- NTTデータ経営研究所(民間:NTTグループ)
- 三菱総合研究所(民間:三菱グループ)
- 日本総合研究所(民間:三井住友フィナンシャルグループ・住友グループ)
などが挙げられます。
新卒採用の有無に要注意
各機関にもよりますが、年度によっては新卒学生の採用を行っていないというシンクタンクも少なくありませんし、もし採用を行っていても数名のみという採用の場合もあります。実力主義の業界ならではの特徴といえるでしょう。それぞれの企業研究に移る前に必ず確認しておきたい事項です。
ミッションの違いは志望動機に表す
今やシンクタンクとコンサルタントの境が無くなりつつありますが、両者がもともと目指していた理念やミッション、成り立ちには大きな違いがありました。これらの業界を併願して受検する就活生は、志望動機を書き分けることで「分かってる就活生」を目指しましょう。