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求人倍率の推移から探る新卒の就活事情
求人倍率の推移から探る新卒の就活事情

「内定率が年々改善されている」、「有効求人倍率の増加」などから売り手市場と評されることの多い今の日本。しかし、新卒しかも大手に限ると求人倍率はとても低いという事実をご存知でしょうか?売り手市場と呼ばれて安心していると、痛い目に合うかもしれません。今回は有効求人倍率の見方とその推移を紹介していきますので、就活市場がいまどんな状況にあるのか確認してみてください。

有効求人倍率とは?

「有効求人倍率」について、聞いたことはあるけど、意味はよく分かっていないという人多いのではないでしょうか。ここでは、有効求人倍率とはなにかについて解説していきます。

有効求人倍率

有効求人倍率とは、企業からの求人数(有効求人数)を、公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者(有効求職者数)で割った値のことです。厚生労働省が全国のハローワークの求職者数、求人数をもとに算出し、「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」で毎月発表しています。有効求人数を有効求職者数で割って算出し、倍率が1を上回れば人を探している企業が多く、下回れば仕事を探している人が多いことを示します。

上の図は厚労省の「一般職業紹介状況」より筆者が作成したものです。このように、リーマンショックで有効求人倍率は激減しましたが、その後右肩上がりに回復し、2018年には1.61まで伸びました。この状況から、売り手市場であると報道されているのです。しかし、実際に就活をしていて、就活生が有利だと思った場面って意外とないですよね?その理由について解説していきます。

厚労省の有効求人倍率、実は当てにならない

結論から言うと、厚労省の有効求人倍率は新卒には関係があまりないのです。先ほどの定義で述べたように、厚労省の有効求人倍率は「ハローワーク」に登録されている求人数、求職者数によって計算されているので、新卒が対象にされていません!
有効求人倍率は景気の状況を表すので全く関係がないわけではありませんが、「倍率が良くなっているから就活も楽勝!」とは言えないことが分かります。

大卒の求人倍率を確認すべし

それでは、どの統計情報をもとに就活市場を考えたらいいのでしょうか。厚労省の有効求人倍率があてにならないのは、「ハローワークに登録されている情報」をもとに計算されているからです。つまり、求人数をハローワークに登録されている数に限定せず、求職者数が新卒者に限られた統計調査を確認すれば、より確実に就活市場を探ることができます。
筆者のおすすめは、リクルート子会社の「リクルートワークス研究所」が毎年出している「大卒求人倍率調査」です。この統計情報は、全国の民間企業の大学生・大学院生に対する採用予定数の調査、および学生の民間企業への就職意向の調査から、大卒者の求人倍率を算出しています。そのため、厚労省の有効求人倍率よりも参考になる情報だと言えるでしょう。
「大卒求人倍率調査」のリンク↓
https://www.works-i.com/surveys/adoption/graduate.html

大卒求人倍率の動向

意外と高い水準を保っているが…


上のグラフは「大卒求人倍率」の推移を表しています。2020年春卒業予定の大学生の求人倍率は1.83倍と前年より0.05ポイント下落し、8年ぶりの低下となりましたが、以前として高水準を保っています。リーマン・ショックの影響を受けた10年春卒以降では2番目に高い数字です。これを見ると、学生優位の売り手市場が続いているという印象を受けます。しかし、この数字、実は大手志望者にはあまり参考にはならないのです。

大手に限ると有効求人倍率は低い


上のグラフは従業員規模別の求人倍率の推移です。これを見ると、従業員が1000人未満の企業の求人倍率は3倍を超えていて、高水準なのに対し、1000人以上の企業の求人倍率は2020卒で0.76と低いことが分かります。大企業と中小企業での倍率差が非常に大きいということがお分かりいただけたでしょうか。大企業志望者にとって、厳しい状況が依然として続いているのです。

業種別求人倍率



最後に業種別の求人倍率を確認しておきましょう。統計での業種の括り方が大雑把であるため、分かりにくくなっていますが、業種別でも求人倍率の差が激しいことが見て取れるでしょう。
建設業はオリンピックがあるために、求人倍率がいいことが分かります。就活生から人気を集める不動産や鉄道、インフラ等が入っているサービス・情報業も求人倍率が高いですが、飲食業、福祉業が人手不足であることが反映されているだけであって、インフラ業などの人気業種の求人倍率はおそらく低いです。
就活生が関心のあるメーカーを含む製造業、そして金融業は他の業種と比べて求人倍率が低いことがよく分かります。特にメガバンクの人員削減などで話題の金融業は、求人倍率が0.28となっており、厳しい競争があると言えるでしょう。

厳しい現実を受け止め、対策を!


大卒求人倍率の推移を見ると、大手志望者にとっては競争の激しい状況が伺えると思います。経団連の指針が廃止され、企業が前倒しで内定を出す状況がこれから加速することを踏まえると、就活生側も早めの準備・対策をしないとその環境についていけなくなる可能性が高いです。レクミーメディアを見ることで情報収集に励み、ぜひインターン、本選考にどんどん応募していきましょう!