禁煙の波と就活市場
禁煙の波と就活市場

就活生の中には喫煙するという学生も少なくありません。しかし、禁煙推進の流れは就活市場にも影響を与えており、喫煙しているだけで不利益を被ってしまうことも。今回は喫煙と就活・労働の関係性および、禁煙に取り組んでいる大手企業3社をご紹介します。

喫煙と就活市場

就活市場において「喫煙が関わってくる」ケースは3パターンありました。

大丸有エリアに喫煙所が少ない

就活でメインフィールドともなる東京駅周辺の「大丸有エリア」(大手町・丸の内・有楽町周辺)は喫煙所が少ないです。東京駅構内だと「丸の内地下北口」と「八重洲地下中央口」付近の東京ラーメンストリートの2カ所のみです。また、企業ビル内に喫煙所が設置されている場合もありますが、使わない方が無難です。面接官に会ってしまっても気まずいですし、そもそも社員ではない人間が使うものとして想定されていません。

面接の場で問われる

喫煙した後に選考に向かうと、面接官の方から「タバコのにおいがしますが吸われましたか?」という風に聞かれることも考えられます。たじろいでしまうかもしれませんが、「吸います」と正直に答える方が賢明です。選考とは直接関係ない場面で嘘をつき見破られてしまう可能性を考えると、素直に認めてしまうべきです。

エントリー時に問われる

ある企業の本選考のエントリーした際、「あなたは喫煙者ですか。」という設問があり戸惑った経験があります。選択肢はなんと「禁煙する予定だ」「喫煙者ではない」の2択のみでした。これらの企業は喫煙者を採用するつもりは無いという意思が明確に表れています。

企業側から見た禁煙推進

では、企業側はどうして禁煙を推進したいと考えているのでしょうか。2つの側面から考えます。

社員の健康を守るために

上位校生が受検するような大手企業は福利厚生を手厚く整備している場合がほとんどです。そのため、企業に従事する社員の病気がどんな理由であれ補償してくれるでしょう。言うまでもなく喫煙者の方が病気に掛かるリスクは高く、本人が直接吸わなくても受動喫煙者はなおさら高いリスクに晒されます。企業にとってデメリットになり得る喫煙者を好んで雇用したいとは思わないでしょう。
また、長期雇用という面も喫煙者が就活市場で好まれない理由のひとつです。企業としては一人でも多くの人材に継続的に企業に勤めてほしいと願う中で病気のリスクが高い人材をわざわざ雇用するメリットはありません。

作業効率を向上するために

考えられるもう一つの理由は、社員の作業効率を高めてもらうためです。ニコチンの作用で、ある程度時間が経つと身体がまたニコチンを欲して集中力が低下し注意が散漫してしまいます。そして、通常の昼休憩とは別に5分~15分程度の喫煙で幾度と離席するのです。喫煙者の作業効率が上がらないのはもちろんのこと、非喫煙者からしたら自分の都合で何度も小休憩を挟めるのは不公平に感じます。

禁煙推進している企業3社

喫煙所内でのコミュニケーションなど、喫煙者にしか分からないメリットもあるかもしれませんが、上述のように企業側からすると喫煙者雇用のメリットが少ないこともあり、多くの企業が禁煙に取り組んでいます。
この章では、就活生に禁煙を要請している代表的な企業の事例をご紹介します。

【製薬】ファイザー

製薬・ヘルスケア事業に取り組む外資系企業の「ファイザー」は2019年の3月に「喫煙者ゼロ最終宣言」という公約を掲げ、禁煙推進に積極的に取り組んでいます。その中には、新規/中途採用・契約社員からの社員登用の「採用プロセスにおいて喫煙の有無を確認・原則、喫煙者は入社をお断りする」と明言しています。

【旅行】星野リゾート

星野リゾートは2010年、いち早く禁煙推進を全面的にプッシュしたことで大きく話題になりました。その内容は、たばこを吸わないと回答した方にのみ募集要項を表示するという挑戦的な採用プロモーションが行われました。現在も採用活動において喫煙者を採用しない流れは継続しており、「旅行・ホテル」というおもてなしを重視する接客業らしい心掛けと言えます。

【スポーツ・エンタメ】コナミ

上述の、本選考を受検した際に喫煙の有無を聞かれた経験を筆者が実際にしたのは、コナミデジタルエンタテインメントでした。ゲーム事業の印象が未だに根強いコナミですが、スポーツやジムの事業なども同様に主力事業となっているため企業イメージの向上に繋げるためにも禁煙を進めているのでしょう。

喫煙者への差別?

一方で、喫煙者だからといって不採用にするのは差別ではないかという声もあります。
確かに、厚生労働省が定めている「公正な採用選考」を行う基本は、
①応募者に広く門戸を開くこと
②本人の持つ適性・能力以外のことを採用基準にしないこと
にあるとされています。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/dl/saiyo-01.pdf)
人種や性別、家柄などの情報で採用の可否を決めないのはもちろんですが、「喫煙の有無」は「適性・能力」に含まれるのか。そもそも、「喫煙者」全員がヘビースモーカーなわけではなく、勤務時間中は我慢できるようなライトな喫煙者にも門戸を閉ざすことが正しいのか。「喫煙者」というワードにまつわる定義が未だに曖昧だという課題も残っています。
ただし非喫煙者だと嘘をついて内定を頂いても、発言内容に虚偽が発覚した場合は差別などの問題とは関係なく企業側が雇用を解消する権利があります。

早めの禁煙を

とはいえ、企業に入社してからのこと、そして企業を受検することを考えると早めに禁煙するに越したことはないでしょう。就活にストレスは付き物ではありますが、上手に付き合っていきましょう。