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近年活況に沸くコンサルティング業界。就活生の認知度も急速に向上し、消費者に全く馴染みのない業界にも関わらず、就職人気ランキングでも上位に食い込む健闘を見せています。破竹の勢いを見せるコンサルティング業界ですが、一方で新卒入社に不安に感じる就活生も多いのではないでしょうか。今回はコンサルティング業界の動向を見ていきましょう。

市場の急成長と大量採用

ここ数年採用枠を急速に拡大しているコンサルティングファームですが、大量採用と聞くと、ネガティブな印象を受ける就活生も多いのではないでしょうか。大量採用が私たち就活生、新入社員にとってどのような意味を持つのか、検討していきましょう!

コンサルティング業界の市場規模が急速に拡大

IDC Japan「「国内コンサルティングサービス市場」予測」より筆者作成
(https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ44958119)

上図はIDC Japanの国内コンサルティングサービス市場予測の数値をグラフにしたものです。日本国内コンサルティングサービス市場は成長を続けており、2018年の7659億円から2023年には9969億円に達すると試算されています。特にデジタル領域のコンサルティングサービスでは高い成長率が見込まれており、こうした企業にとって案件を遂行する人材の増強は喫緊の課題です。なお、図の「潜在能力」と記している項目は「米国の水準まで国内コンサル市場が成熟した際の市場規模」を推計したもので、その大きさは1兆8657億円に上ります。あくまでこの値は参考値ですが、コンサルティング業界が成長の大きなポテンシャルを残していることがわかります。

案件増加を受け、ファーム各社の採用枠は拡大

先述のコンサルティング市場拡大を受け、戦略系・総合系に関わらず、コンサル業界全体で採用が積極化しています。デロイトトーマツコンサルティングやPwCコンサルティングなど大手総合ファームが100人以上の大規模採用に乗り出し、新卒採用を行っていなかったKPMGコンサルティングやマーサージャパンも募集をスタートしました。上図は主要な総合コンサルティング会社の2020年卒採用予定人数を図にしたものですが、ファームによっては300名以上もの採用を行うなど、採用枠の大きさが際立っています。こうした「大量採用」は就活生にとって歓迎すべき状況なのでしょうか。

「人材の質」が低下しているという指摘

一部からは、大量採用が「人材の質」の低下を招いているという指摘があります。採用人数を増やすことで選考のハードルが下がれば、たしかに「人材の質」は低下せざるを得ません。しかし、筆者は深刻な影響はないと考えています。なぜなら、採用人数が拡大するのと同時にコンサル志望の就活生が増えており、内定の競争率は依然として高いままだと考えられるからです。レクミー情報局を運営しているリーディングマークが行った就職人気に関する調査でも、上位校生の人気企業ランキングでは、アクセンチュア(30位)やアビーム(35位)などコンサルティングファームが上位に位置しており、志望者の母集団が拡大していることがわかります。かつての少数採用ほど「人材の質」を安定させることは難しいかもしれませんが、それでも優秀な学生を選別できるほどの人気は保てているのではないでしょうか。
しかし一方で、コンサルティング業界の中途採用の求人倍率は6倍以上と極めて高い水準になっており、選考のハードルを下げてでも採用を行っている可能性があるため、注意が必要です。

コンサルタントの市場価値は下がる?

大量採用によりコンサルタントの人数が増加すると、コンサルタントの市場価値が低下するのではないかと不安に感じている就活生の方もいらっしゃるのではないでしょうか。筆者も同じ疑問を感じ、ある総合ファームの幹部に尋ねました。すると、

「今は圧倒的に人材が足りないので、しばらくは市場価値が高いはず。しかし、人材不足がひと段落したら淘汰が始まるのでは」

とおっしゃっていました。先述の通りコンサルティング市場はしばらく拡大を続けるため、大量のコンサルタントを採用しても不足する状態にあるようです。しかし、市場の成長に限界がきたり、景気後退によって縮小する可能性があることも念頭におきながらキャリアを形成していきましょう。

ファーム内格差の拡大

大量採用によって規模が拡大すると、同質性を維持するのは至難の業です。どうしてもコンサルタントの熟練度にばらつきが出てくることになり、結果として「どのファーム出身」という情報だけでは人材を判断しかねる状況になっているようです。実際に現役のコンサルタントに話を伺ったところ、

「人数が多すぎて総合ファームの人材のレベルは一概には語れない」
「ファームの社歴だけでは通用しない」

と指摘されていました。転職を意識している就活生の方は「ファーム内でどのようなキャリアを築いていくか」をしっかりと検討してみてはいかがでしょうか。

【案件の視点】「コンサルのIT企業化」

コンサルティング会社では、近年「テクノロジーコンサルタント」「デジタルコンサルタント」の新卒採用枠を新設する動きが目立ちました。これまでITといえば、アクセンチュア、日本IBM、アビームなどのITコンサルティングファームが主に扱ってきた領域でした。しかし近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)のトレンドで需要が高まり、案件が増加しています。これを受け、ビジネスコンサルの志向が強かったデロイトトーマツコンサルティングをはじめとした総合コンサルファームも、ITコンサルの採用をスタートしたのです。BCGをはじめとした戦略コンサルティングファームでもIT人材の採用は加速しており、コンサルティングファームがある種のIT企業に変質しつつあると言えるかもしれません。

「コンサルティング」のミスマッチ

先述の通り、コンサルティングファームはIT案件の受注を積極化しています。そんな中懸念されるのが、就活生とのミスマッチです。「コンサルティング」と聞くと、学生は企業のCXOを相手にリサーチ結果をプレゼンする姿を想像しがちです。しかし、IT案件でコンサルタントが行うのは、ITシステム全体の構想から、機能と現場のすり合わせ、システムのテストなど、想像とはかけはなれたものです。コンサルティングファームのIT化と人気向上に伴い、こうしたミスマッチが増えてしまわないか、懸念されます。

変化するコンサルティング業界

コンサルティング業界は変化に富んだ業界で、2000年代前半に業界全体が再編され、2010年代には総合ファームによる戦略ファームの買収が積極化、そして現在はデジタル領域の急拡大を迎えています。これからどんな変化が起こるのか、自分はどのような道を歩むべきなのか。そんな思索を好まれる方はコンサルティング業界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。