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就活偏差値
就活偏差値

就職偏差値というものがあります。就活生もしくは企業の入社難易度マニアが作成したもので、ネット上にさまざまなバージョンが落ちています。この記事に辿り着いたあなたは多少興味をひかれているのではないでしょうか?高校や大学の受験から目にしてきた偏差値。就活ではこの指標とどう付き合えばいいのでしょう。就活生にとって就活偏差値をどのように役立てるかは自分次第。使い方も含めて考えていきます。

就職偏差値は大学偏差値ほど信頼できない

就職偏差値を作成することは困難

当たり前のことですが、就職活動の選考難易度を定量化するのは極めて困難です。入学試験の偏差値は母集団の得点分布と個人の得点の関係性で算出されます。予備校が膨大な母集団を集め、同じ問題を解かせてきっちり点数を計算して出しているのです。就職活動では、そもそも選考過程が企業ごとに不透明であり、内部で用いられている評価指標も多様です。加えて大学数は国内でおおよそ770校のに対し、企業は東証一部上場企業だけでも2100社を超えます。一部企業に限っても、指標の作成は難しいと考えられます。

業界・人によって難易度が異なる

前段では就職偏差値を作成できないとお話しました。偏差値表を見る就活生側からもその有効性には疑問符がつきます。就活を続けていると、対策がしやすく、手ごたえを得やすい業界と、いくら対策を続けても成果が得られない業界が出てくるものです。なぜなら、その業界・企業の求める人材にもともと近い就活生と、志望していても業界に合わない就活生がいるためです。業界の求める人物像からかけ離れた人からすれば万全の対策が必要な業界でも、人によってはほとんど適応することなく入社のハードルを越えられるわけですね。
筆者の場合、夏に受けた日系金融機関の面接は全滅しましたが、外資系コンサルティング会社のインターンはすんなり通過し、年内に内定にいたりました。この点からも難易度を一般化することは難しそうです。

業界内の大まかなレベル感の参考に

ここまで就職偏差値は物理的に作れないだの、難易度は人によるだのと、ネガティブな意見を述べてきました。しかし一方で、同業界のレベル感をつかむには使えるのではないかとも思います。就職偏差値は選考だけでなく、知名度や業界序列も考慮していると考えられますから、全く知らない業界の就職における概況を把握する程度には参考にできるでしょう。

偏差値より重要な判断材料

ここまでは就職偏差値そのものや、選考に絡めたお話しをしてきました。次はもう少し広げて、会社選び全般についてお話ししたいと思います。

学校は偏差値の高い方にいけばよかった

みなさんは大学選び、苦労されましたか。入学先はすぐに決まったという方、最後まで悩みに悩んだという方、いらっしゃるかと思います。しかし基本的には、偏差値の高い方を選ぶという原則があったのではないでしょうか。私立ではとりあえず早慶、国立なら東大と、明確な順番があります。どうか、この考えを就職活動に持ち込まないでください。「偏差値やランキングを気にするような性格じゃないし、大丈夫だよ」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。たしかに日常の会話でも偏差値は出てきません。しかし近い雰囲気、「空気感」があるのです。

就活に存在する「空気感」

就活が始まり、友人や親と会話する中で、「その会社はすごいな」「聞いたこともないし、大丈夫か」「あの業界はダメだ」などと、さまざまな「価値判断」が出てきます。会社を上下で評価するような「空気感」が存在するのです。「空気感」という言葉通り、この価値判断のほとんどに明確な根拠はありません。「就活コラムで見たことがある」「テレビのニュースに出てくる」「製品やサービスを使ったことがある」といった印象から発言しているにすぎないからです。しかし、この「空気感」は就職活動で極めて強力です。なぜなら、就職活動で流通している情報が定性的・主観的なフワフワしたものだからです。選考口コミサイトも、内定者体験記も、このレクミーメディアも例外ではないでしょう。日本の就職活動の構造を鑑みれば、これは仕方のないことです。受験者の倍率も、偏差値も、複数合格者の入学先もわかる大学受験の方が特殊だったのです。フワフワした情報の中で会社の価値判断を行うことは難しいですから、就活生は「空気感」に流されてるのです。実際にマイナビの毎年発表している「就職企業人気ランキング」の2019卒版を参照してみましょう。トップ10社のうち、伊藤忠商事を除く9社がBtoCの企業で、日常生活でも見聞きする企業がランキング上位に位置する傾向がみてとれます。いかにイメージや「空気感」で動かされる学生が多いかわかります。

曖昧な評判よりも、自分の心の形を根拠にしよう

ここまで就活に明確な判断材料が乏しいこと、その結果、「空気感」に影響される就活生が多いことをお話ししてきました。では、最良の選択を行うにはどうすれば良いのでしょう。私が最も確実だと考えているのは、心の形を根拠にすることです。心の形という言葉はフワフワしていますが、具体的には自己分析を通じて「自分はどのような環境でストレスを感じるのか」「もっとも高いパフォーマンスを発揮できる人間関係はウェットか、ドライか」など自分の心の輪郭を明らかにしていくことで、職場に必要な条件が絞れてくるのです。ちなみに私は小さいころや中学生など自分の「歴史」まで振り返る必要はないと考えます。一年前の自分と今の自分ですら変化があるのに、数年前の行動や経験はエビデンスに使うには古すぎるケースが想定されるためです。(志望動機のストーリーとして活用するのは別ですが)最近の自分が何に喜びを、ストレスを感じるのかじっくり思い出すだけでも良い材料になるはずです。あとはその条件に合う企業を探すべく情報収集を徹底してください。一般的に各企業の人事部が発信する情報はあくまで宣伝ですから、実態のわかる情報を集めるよう意識してください。筆者の場合は、人事部を通さずにつながった社員の方や転職者用口コミサイトを参考にしていました。

難しいが、大切なプロセス

今回の記事では、就職偏差値はあくまで参考にしかならないこと、フワフワした「空気感」よりも自分の心の形が判断材料として重要であることをお話ししました。今まで要求されてこなかったことですから、苦しむことも多いと思います。就活を終えた私も、正直に申し上げて内定先でいいんだろうかと不安を覚えることもあります。しかし他人の風評に判断を預けることは危険です。その多くはエビデンスの乏しいものですから。この記事があなたの決断の力になることを祈っています。