用語集

タスクフォースとは?概要や導入のメリット

企業を取り巻く環境は、年々急激に変化しています。企業が直面する課題も増えており、既存組織の枠組みでは対応しきれないケースも少なくありません。そこで注目を集めているのが「タスクフォース」と呼ばれるチームです。大手企業もタスクフォースを社内に設置し、課題解決に取り組む例が多くなっています。

本記事では、このタスクフォースについて概要や導入するメリットなどを解説していきます。タスクフォースについて知りたい方、企業内の課題を解決したい方は、ぜひ一読してみてください。

タスクフォースとは

タスクフォース(task force)とは、組織内の課題解決や新製品の企画など、緊急性の高い目的を果たすためにつくられる専門チームのことです。

もともと、タスクフォースは軍隊で使われていた言葉で、「特殊部隊」「対策本部」などと訳されます。特殊部隊が迅速に行動してミッションを遂行していくように、企業内でもスピード感を持って困難な課題に対処する組織をタスクフォースと呼ぶようになりました。

タスクフォースのメンバーは、企業の各部門から選ばれる形式です。各部門の精鋭が集まる点も、タスクフォースの特徴になります。

参考:タスクフォースとは-コトバンク

タスクフォースと似ている用語

タスクフォースと似ているビジネス用語として、下記の3つが挙げられます。

  • ワーキングチーム
  • プロジェクトチーム
  • クロスファンクショナルチーム

ワーキングチーム

ワーキングチームとは、課題解決のために設けられたチームのことです。タスクフォースとほぼ同じ意味で使われます。強いて違いを挙げるならば、タスクフォースの方がより緊急性の高い課題に対処するイメージがあります。ただ、特定の課題解決のために設けられるという点に違いはありません。

プロジェクトチーム

プロジェクトチームとは、中長期的に目標達成・課題の解決を進めていくチームです。緊急性の高い課題に関しては、プロジェクトチームは関与しないことが多いです。

クロスファンクショナルチーム

クロスファンクショナルチームとは、企業全体の課題など規模の大きい課題解決のために設けられるチームになります。複数の部署から人材を集めて、横断的に組織されることが多いです。また、社外から専門家を呼んでクロスファンクショナルチームに組み入れることもあります。

タスクフォースを活用するメリット

タスクフォースを活用するメリットとして、下記の4点が挙げられます。

  • 問題解決に特化したメンバーを集結できる
  • 既存の枠組みに左右されない
  • 短期間で成果を出しやすい
  • マネジメントスキルの向上に繋げられる

問題解決に特化したメンバーを集結できる

タスクフォースを組織することで、問題解決に特化したメンバーを集めることができます。マーケティングや企画立案など、特定の分野に特化したメンバーが集まることで、効率よく問題・課題を解決可能です。

既存の枠組みに左右されない

既存の枠組みに左右されない点も、タスクフォースの強みです。様々な部署から横断的に人材が集まるため、部署ごとの枠組みに左右されず、自由に活動することができます。タスクフォースが機動的である所以ともいえるでしょう。

短期間で成果を出しやすい

タスクフォースは、短期間で成果を出しやすいです。緊急性の高い問題・課題に対してリソースを集中するため、既存の部署よりもスピード感のある対応を行えます。人材が厳選されている点も、短期間での成果獲得に繋がっています。

マネジメントスキルの向上に繋げられる

タスクフォースには、リーダーとして経営幹部や執行役員、管理職社員が選出されることもあります。リーダーとして選ばれた社員は、精鋭メンバーを統率していくため、マネジメントスキルを向上しやすいです。将来の幹部候補をタスクフォースのリーダーに選んで、リーダーシップの強化を図ることも可能です。

タスクフォースを活用するデメリット

タスクフォースを活用する際は、メリットのみならずデメリットも生じてきます。

タスクフォースのデメリットは下記の4点です。

  • ノウハウの蓄積が難しい
  • メンバー集めに時間がかかる
  • サポートが不足する
  • 意見の対立が生じる可能性がある

ノウハウの蓄積が難しい

タスクフォースは、問題解決のノウハウを蓄積することが難しいです。短期的に結成された組織であるため、ミッションを終えた後にタスクフォースは解散となります。このため、問題解決の課程で生まれたノウハウが、組織単位で蓄積されづらくなります。メンバー個人にはノウハウが蓄積されますが、そのノウハウが元の部署に浸透するかは不透明です。

メンバー集めに時間がかかる

メンバー候補の選定に時間を要してしまう点もタスクフォースのデメリットです。タスクフォースに動員するメンバーは、特定の課題解決に適した人材である必要があります。そのため、様々な部署で人材を探さなければなりません。メンバーのスケジュール調整など、稼働面での調整も行わねばならず、タスクフォースが活動開始するまでに時間がかかることが多いです。

サポートが不足する

タスクフォースは常設の組織でない分、企業側から十分なサポートを得られない可能性があります。サポートが不足してしまうと、タスクフォースのメンバー選定や活動予算面で問題が生じてしまい、活動が滞ってしまうことも。

意見の対立が生じる可能性がある

タスクフォースには、これまで一緒に仕事をしてこなかったメンバーが集まります。そのため、メンバー間で意見が対立してしまう可能性もあります。中には、個人プレーに走ってしまう社員も出てくるかもしれません。メンバー間に対立が生じないよう、リーダーが調整していく必要があります。

タスクフォース設置・運営のポイント

タスクフォースを設置・運営する際は、下記のポイントを押さえるようにしましょう。

  • 解決する課題を明確にする
  • 課題解決に適したリーダー・メンバーを選ぶ
  • タスクフォースに活動の裁量権を与える
  • スピード・柔軟性を重視する
  • タスクフォース内で活発にコミュニケーションをとる
  • 綿密なスケジュールを立てる

解決する課題を明確にする

解決する課題を明確にすることが、タスクフォースの設置・運営で最も重要になります。課題が明確にならないと、適切な解決策を提言できません。「なぜタスクフォースを設置するのか」「どのような課題を解決したいのか」など、詳細を決めておきましょう。

課題解決に適したリーダー・メンバーを選ぶ

課題解決に適したリーダー・メンバーを選定することも、タスクフォース運営の重要ポイントです。タスクフォースは、企業が直面する課題を解決することが最大のミッションになります。そのためにも、スキルや行動力のあるリーダー・メンバーを選ばなければいけません。特に、リーダーに関しては高度なスキルメンバーを統率するマネジメント力・リーダーシップも求められます。

タスクフォースに活動の裁量権を与える

タスクフォースが課題を解決していくためには、企業内で自由に活動できることが肝要です。外部からタスクフォースの活動が制限・干渉されてしまうと、課題解決を達成できない可能性があります。

タスクフォースに活動の裁量権を与えて、独立して活動できる環境を整えましょう。

スピード・柔軟性を重視する

タスクフォースは、緊急性の高い課題に取り組むケースが多いです。そのため、スピード・柔軟性が重視されます。近年は業界変化のスピードが速まっており、タスクフォースに求められる活動スピードはより速まっているといって良いでしょう。

スピーディーに業務を行う際に便利なのが「PDCAサイクル」です。PDCAサイクルは、下記の4つの業務を指します。

Plan(計画):業務計画を立てる

Do(実行):計画に沿って実行する

Check(評価):実行内容・結果を評価する

Act(改善):評価に基づいて、改善案を出す

PDCAサイクルを利用することで、段階ごとにどの作業を行えばよいか明確になります。

メンバー数にゆとりがある場合は、上記業務ごとにメンバーを割り振っても良いでしょう。

タスクフォース内で活発にコミュニケーションをとる

タスクフォースには高度なスキルを持ったメンバーが多く集まります。ただ、個々の能力が高い分、コミュニケーションが不足してしまうケースも少なくありません。コミュニケーションが不足すると、情報伝達のミスなどが生じてしまい、課題解決の足かせとなってしまいます。タスクフォースという短期的な組織であるからこそ、活発にコミュニケーションをとって意思疎通を図ることが重要です。

綿密なスケジュールを立てる

タスクフォースを効率よく稼働させるためには、綿密なスケジュールが必須です。スケジュールが決まっていないと、議論に時間を費やしてしまう可能性が高いです。いつまでに案を出すか、報告書を仕上げるか等、全体的なスケジュールを決めておきましょう。

タスクフォースの具体例

次に、実際にタスクフォースを設置して課題解決を行った企業事例を見ていきましょう。

マクドナルド

マクドナルドは、2015年に発生した商品の異物混入をきっかけに、社内の危機管理対応や顧客対応、品質保証の見直しを行うためのタスクフォース「お客様対応プロセス・タスクフォース」を設置しました。

お客様対応プロセス・タスクフォースには、外部からの有識者や危機管理専門家が参加しています。公正な立場から課題対応を進められた結果、情報伝達基準の見直し・お問い合わせ情報の管理徹底など、顧客対応の一元化を実現できました。

参考:品質改善の道のり

トヨタ自動車

日本の自動車業界を牽引するトヨタ自動車も、タスクフォースを設置して課題解決に取り組んでいます。たとえば、2013年に紛争鉱物(アフリカなど紛争が多発している地域で採掘される鉱物資源)の供給網の問題を解決するために、タスクフォースを設置しています。

タスクフォースは「紛争鉱物対応方針」を定めて、企業側に責任ある資源・原材料の調達を要請しました。トヨタでは、タスクフォースが業界内での連携や官公庁との協力も積極的に打ち出して、企業内の枠を超えた活動を進めています。

総務省

企業のみならず、官公庁でもタスクフォースが導入されています。たとえば、総務省は国内の携帯電話料金の寡占状態を解消するために、タスクフォースを設置しています。タスクフォースは携帯電話事業者のサービス内容・価格、利用者のニーズなどを精査して、携帯電話事業者の「適正な料金体系の導入」を提言しました。

この結果、国内の携帯電話事業者で適切な価格競争が起こり、寡占状態は解消されつつあります。

味の素

味の素は、自社のスローガンである「ASV(Ajinomoto Group Shared Value)」を従業員に浸透させるために、「全社オペレーション変革タスクフォース」を設置しました。全社オペレーション変革タスクフォースは、社員が「食と健康の課題解決」に取り組めるマネジメントサイクルを設定して、味の素グループ全体でASVの浸透を行える仕組み作りを行っています。

参考:味の素グループ 統合報告書 2020

まとめ

タスクフォースは、企業が直面する緊急性の高い課題を解決するために設置される専門チームです。タスクフォースを活用することで、既存組織の枠組みを超えて課題解決に取り組めます。

タスクフォースを運営する際は、メンバー選定や課題の明確化など、押さえるべきポイントがいくつかあります。本記事で解説した内容を参考に、タスクフォースを導入してみてください。

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