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フィードフォワードとは?|フィードバックとの違いやメリットを解説

人材育成の手法のひとつとして、「フィードフォワード」が注目されています。実際に導入する企業も増えており、フィードフォワードという言葉を耳にする機会も増えました。

しかし一方で、「フィードフォワードとは結局何なのか?」「フィードバックとは何が違うのか?」と疑問に思っている方も少なくありません。
そこで本記事では、フィードフォワードに関して、フィードバックとの違いやメリットを踏まえながら解説します。

「フィードフォワード」は「未来を見据えたアドバイス」

「フィードフォワード」は、未来を見据えたアドバイスをすることです。

目標を達成するため、あるいは何らかの課題を解決するために「このようにしたらどうか」といったアイデアを提供します。
ポイントは、フィードフォワードを受ける側の意識を未来へとフォーカスさせることです。未来へ意識を向けられるようになった対象者は、前向きな行動が可能になります。

フィードフォワードを導入し定着できれば、自発的な行動が可能な社員を増やせるでしょう。
現在は変化の大きな時代であるため、自発性を持った社員が増えることは企業にとって大きな力になります。そうした背景からフィードフォワードが注目されるようになり、導入する企業が増えているのです。

「フィードバック」と「フィードフォワード」の違い

「フィードフォワード」と似た言葉に、「フィードバック」があります。フィードバックもフィードフォワードと同様に、アドバイスをするものです。

それでは、フィードバックとフィードフォワードにはどのような違いがあるのでしょうか。以下の4つの視点に沿って、両者の違いを確認してみましょう。

  • 注目するポイントが「過去」「未来」のどちらにあるか
  • 着眼点と内容
  • 主観的か客観的か
  • 上下関係に縛られるか否か

異なるポイント1:注目するポイントが「過去」「未来」のどちらにあるか

フィードバックとフィードフォワードの最大の違いは、注目するのが「過去」であるか「未来」であるかという点です。

フィードバックの場合、注目するのは「過去に起きたこと」です。過去に起きたことを振り返り、誤りや改善点を見つけ出して指摘し、改善を促します。

それに対してフィードフォワードの場合、注目するのは「未来」です。「次回、同様なケースが起きた際には、このようにしたら改善が図れるのではないか」といった建設的なアイデアを出す点が、フィードフォワードの特長といえます。

異なるポイント2:着眼点と内容

フィードバックとフィードフォワードでは、着眼点やコメントの内容も異なります。

フィードバックの場合は、問題点やミスなどが話の中心です。一方、フィードフォワードの場合は、未来へ向けた解決策にフォーカスして話を進めていきます。

コメントの内容も、それぞれ異なります。フィードバックの場合、コメント内容は過去の誤りや改善点の指摘になりがちです。
一方、フィードフォワードの場合は、「未来に対してどのようなアクションが望ましいか」というアイデアの提供が主な内容になります。

異なるポイント3:主観的か客観的か

フィードバックもフィードフォワード同様に、本来は客観性を保つ必要があります。しかしフィードバックの場合、ミスや指摘事項に意識が向けられるため、コミュニケーションのやり取りが主観的になりがちです。
リーダーや上司が主観的な感想でフィードバックを提供した場合、部下によっては労働意欲を損ねることもあるでしょう。

それに対し、未来にフォーカスするフィードフォワードでは、主観的になりにくく、より客観的なアドバイスがしやすい点が特長です。

異なるポイント4:上下関係に縛られるか否か

フィードバックは、上下関係に縛られやすいものです。ミスや改善点を指摘する性質上、通常は上司やリーダーが部下へフィードバックを行います。

一方、フィードフォワードは上限関係に縛られません。相手が上司であっても部下であっても、未来に向けた建設的なアイデアを出し合って助け合うというスタイルが、フィードフォワードの原則です。

フィードバックのデメリット

従来はフィードバックが人材育成の主要メソッドでしたが、最近ではフィードフォワードを取り入れる企業も増えています。

フィードフォワードが浸透している要因は、フィードバックのデメリットが関係しています。フィードバックの主なデメリットは、次の3点です。

  • 強い信頼関係がないと人間関係が悪化する
  • 社員のモチベーションが低下する
  • 不公平になりやすい

それぞれ詳しくみていきましょう。

フィードバックのデメリット1:強い信頼がないと人間関係が悪化する

フィードバックが上手く機能するためには、フィードバックする側と受ける側との間に、強い信頼関係が必要です。

信頼関係の薄い相手からミスや問題点を指摘され、いい気分になる人は少ないでしょう。信頼関係が構築されていない状態でのフィードバックは、社内の人間関係を悪化させる恐れがあることを覚えておきましょう。

フィードバックのデメリット2:社員のモチベーションが低下する

フィードバックは誤りや改善点を指摘するものであるため、社員によっては「批判されている」と感じてしまうこともあるでしょう。

批判的に感じるフィードバックを繰り返し受けていると、社員の自信喪失につながる可能性があるため、注意が必要です。

また、フィードバックは主観的になりやすい性質を持っています。

「彼は自分の言うことをよく聞くから、親切にアドバイスしてあげよう」「彼女は付き合いが悪いから、フィードバックは最小限でいいだろう」など、相手によって質と内容が変わるケースも、フィードバックでは珍しくありません。

客観性に欠けるフィードバックは社員の不満を生み、モチベーションや生産性の低下を引き起こしてしまいます。

フィードバックのデメリット3:不公平になりやすい

フィードバックは上下関係に縛られます。上司・リーダーが一方的に行う形になるため、そこに不公平が発生しやすいのです。

不公平を解消し、より客観的にフィードバック可能な「360度評価」を導入する企業も増えています。しかし、360度評価にも「主観的なものになりやすい」「結託してお互いに良い評価をつけあう」といった問題点があるため、公平性の高いフィードバックの実現は容易ではありません。

フィードフォワードのメリット

続いて、フォードバックにはないフィードフォワードのメリットについて解説します。
フィードフォワードの代表的なメリットは以下の5点です。

  • アドバイスが批判的になりにくい
  • 幅広いアイデアが集まる
  • 前向き・自主的に動く人材が育つ
  • 若い人材が育つ
  • 事業が加速する

それぞれ詳しくみていきましょう。

メリット1:アドバイスが批判的になりにくい

フィードフォワードの主な内容は、未来のアクションを促す前向きなアイデアです。そのため、フィードフォワードを提供する側も受ける側も、前向きに話をしやすくなります。

結果として批判的な意見の発生も抑えられるため、社員のモチベーションを低下させることなく人材育成に取り組めます。

メリット2:幅広いアイデアが集まる

過去にフォーカスした場合、ミスや問題点に目が向けられてしまうため、改善案や対策案のアイデアの幅が狭まってしまう可能性があります。
一方、未来へ照準を合わせたフィードフォワードであれば、先を見据えたアイデアや改善案を幅広く検討できるため、情報の取捨選択を充実させられます。

メリット3:前向き・自主的に動く社員が育つ

フィードフォワードでは未来に向けた建設的なアイデアが寄せられるため、社員の思考が前向きになるメリットがあります。

前向きな思考が身につけば、行動も主体的になり「ツールを有効活用して業務効率化を図ってみよう」といったような能動的なアクションも増えていくでしょう。フィードフォワードによって前向き・自主的に動ける社員が増えていけば、社内に活気が生まれ、生産性の向上が期待できます。

メリット4:若い人材が育つ

現代の若手人材に対して、批判・ダメ出しを与えていく育成方法は不向きだといわれています。上司から細かいフィードバックを受けるとモチベーションが低下し、場合によっては離職してしまうケースもゼロではありません。

一方、フィードフォワードはポジティブなアイデアを出しながら人材育成を図る方法です。若手社員のモチベーションを損なう心配が少ないため、現代の人材育成に適した方法といえるでしょう。

メリット5:事業が加速する

フィードバック中心に人材育成を図る場合、社員は「指摘されたから改善しよう」という受動的な姿勢になりがちです。場合によってはモチベーションが下がったり、上司やリーダー、会社に対して反発心を持ったり萎縮してしまったりする可能性もあります。

一方、フィードフォワードでは社員の自主性を引き出す効果が期待できるため、能動的に行動を起こせる社員が増えていきます。結果、ひとりひとりの経験やノウハウが加速度的に増加し、会社全体の組織力の底上げが期待できるでしょう。

まとめ

本記事では、フィードフォワードについて、フィードバックとの違いやメリットなどを踏まえながら解説しました。

フィードフォワードは未来に向けた解決策・アイデアをアドバイスすることです。前向き・自主的に社員を育成できるメリットがあり、社員のモチベーションを維持させたまま成長機会を提供できます。
批判やダメ出しに慣れていない現代の若手社員に対して、ポジティブな言葉で働きかけるフィードフォワードはおすすめの人材育成方法といえるでしょう。

フィードフォワードの導入を通じて、自発的に動ける社員を増やし、行動力あふれる組織づくりを図りましょう。

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