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ピラミッドストラクチャーとは?メリットや活用事例、作成方法を解説

「ピラミッドストラクチャー」は、物事を論理的に説明できるフレームワークとして知られています。伝えたいキーメッセージとその根拠を考えることで、わかりやすく説得力のある説明が可能となる点が特徴です。本記事では、ピラミッドストラクチャーのメリットや作成方法を解説します。

ピラミッドストラクチャーとは?

「ピラミッドストラクチャー」とは、伝えたいキーメッセージ(主張や結論など)に対する根拠を図式化するフレームワークのことです。コンサルティング企業として有名なマッキンゼー・アンド・カンパニーによって、コンサルタントの報告能力や文章能力の向上・育成を目的に生み出されました。

ピラミッドストラクチャーは、主に設定したキーメッセージの正しさを説明する際に用いられます。主張や結論などの項目を頂点として、その下に「根拠」、もう一段下には根拠に対するデータを分割してピラミッド型に配置することから、「ピラミッド構造」や「ピラミッド原則」とも呼ばれます。

現在ではコンサルティングファームのほか、企業や大学などで、プレゼンテーションや営業活動の交渉、自らの考えを整理する際に活用されています。

ピラミッドストラクチャーとロジックツリーの違い

ピラミッドストラクチャーと混同しがちなフレームワークとして「ロジックツリー」があります。ピラミッドストラクチャーは頂点から下に広がるピラミッド型ですが、ロジックツリーは頂点を左に置き、右に向かって展開される三角形のため、形式が異なります

ピラミッドストラクチャーは、説明や説得をする際、伝えたいキーメッセージ(主張や結論など)の正しさを証明するために用いられることが多いです。
一方でロジックツリーは、解決したい問題や課題の要素を分解して解決策を導き出すためのフレームワークであり、検討や思考を行う際に使われます。

このように、ピラミッドストラクチャーとロジックツリーは役割や内容が異なるため、それぞれの特徴を知ったうえで活用しましょう。

ピラミッドストラクチャーのメリット

伝えたいキーメッセージとその根拠を図式化するピラミッドストラクチャーですが、活用することで以下のメリットが得られます。

  • 自分の考えが相手に伝わりやすくなる
  • コミュニケーション手段として活用できる
  • ミーティングを円滑に進められる
  • 主張に対する説得力が増す
  • 物事を本質的に考える力が身につく

それぞれ詳しく解説します。

自分の考えが相手に伝わりやすくなる

自分の主張や伝えたい結論を先に述べ、その根拠を述べることで、相手に伝わりやすいシンプルな説明が可能となります。

自分の考えがロジカルに説明できるようになれば、聞く側にとっても主張や結論を受け入れやすくなるでしょう。

コミュニケーション手段として活用できる

ピラミッドストラクチャーは、主張したいことや根拠がすでに盛り込まれた状態で図式化されます。そのため、相手が理解しやすく、コミュニケーションの手段として有効です。説明やプレゼンテーションが苦手な人も、ピラミッドストラクチャーを用いれば、議論がよりはかどります。

ミーティングを円滑に進められる

ピラミッドストラクチャーを活用すれば、キーメッセージに対する根拠は正しいのか、データは十分なのかなど、議論すべき点が明確になります。その結果、余計な話し合いをして時間を消費してしまうリスクが減り、ミーティングを円滑に進められるでしょう。

また主張や結論に対する根拠を明確にしていくため、個人的な「思い」や「感情」を排除した本質的な議論が可能となる点もメリットです。

主張に対する説得力が増す

ピラミッドストラクチャーは、伝えたいキーメッセージに対する根拠をしっかりと考えるフレームワークのため、説得力のある説明が可能です。説得力が増すことで、プレゼンテーションや交渉などの場において相手の理解を得られる確率が高くなり、物事を有利に進められます。

物事を本質的に考える力が身につく

結論や主張とその根拠を整理し、論理的に説明できるようになるため、提案や報告・資料作成・プレゼンテーションなどをスムーズに行えます

取引先や上司に対して、伝えたいことを明確にでき、ポイントを絞った提案が可能になるほか、なぜその結論に至ったのかも根拠とともにしっかり説明できるようになります。

ピラミッドストラクチャーのデメリット

ピラミッドストラクチャーには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。

ピラミッドストラクチャーは、伝えたい主張や結論とその根拠を考える自由度が比較的高いフレームワークです。自由度が高い点はメリットである一方でデメリットにもなります。

分類がはじめから決まっている「アドバンテージ・マトリックス」のように、当てはめるだけの作業ではないため、伝えたいキーメッセージ(主張や結論など)に対する根拠が誤っていると失敗してしまうリスクがあります。そのため、事前にしっかりと準備し、注意して取り組まなければなりません。

ピラミッドストラクチャーの活用事例

ピラミッドストラクチャーは、プレゼンテーションや交渉などに活用できます。ビジネスシーンにおける活用事例をご紹介します。

活用事例1:プレゼンテーション

プレゼンテーションでは、主張や提案をわかりやすく聞き手に届けることが大切です。

ピラミッドストラクチャーは、根拠を示すことに加えて、ピラミッド型の図式で論理的な説明が可能なため、聞き手にわかりやすく伝えられます。キーメッセージとして発する主張の説得力が増す点もプレゼンテーションに効果的といえます。

活用事例2:問題や課題の解決

ビジネスシーンで起こる問題や課題を解決する際にも活用できます。ピラミッドの頂点に取り組むべき問題や課題を配置し、その根拠を考えることで、最適な解決策を見つけ出せます。

また、ビラミッド型の図式によって根拠を整理することで、不足しているデータや考えに気づきやすくなり、より説得力のある解決策が提示できます。

活用事例3:交渉

ビジネスシーンでは、顧客や上司など、社内外において多くの交渉の機会が発生します。ビジネスで避けては通れない交渉をスムーズに進めるためには、ピラミッドストラクチャーの活用が効果的です。

たとえば、顧客へ営業する際、自社の商品が他社より優れている点や、価格・数量などに関する主張や根拠を、ピラミッドストラクチャーを活用して事前にまとめておけば、より説得力のある説明が可能となります。

また上司に新規企画の提案を行う際、仮説に対する根拠をピラミッドストラクチャーのフレームワークで示すことで、自らの主張を論理的かつわかりやすく伝えられるでしょう。

ピラミッドストラクチャー作成の流れ

実際にピラミッドストラクチャーを作成する流れを確認しましょう。作成の基本的な流れを覚えてしまえば、プレゼンテーションや報告・資料作成など、さまざまなシーンで活用できます。

キーメッセージ(主張や結論など)を決める

ピラミッドストラクチャーを作成するには、まずピラミッドの頂点に位置するキーメッセージ(主張や結論など)を決める必要があります。

たとえば、これまで従業員一人ひとりにデスクを与えていた企業が、業務の効率化やコミュニケーションの活性化を目指して「オフィス内に設置された席を自由に選んで働けるフリーアドレス制を導入すべきか」との議論を行いたいとします。この場合、ピラミッドの頂点になるキーメッセージは「フリーアドレスを導入すべき」または「フリーアドレスを導入すべきではない」のどちらかになります。

論点に誤りがあると根拠が的外れとなり、議論がムダなものになってしまいます。そのため、ピラミッドの頂点に置くキーメッセージを決めるプロセスはとても重要です。

決定したキーメッセージに関連するデータを収集する

キーメッセージを決めた後は、関連するデータの収集作業を行います。データを収集する際のポイントは、ジャンルを問わず広く集めることです。より信頼性の高いデータを集められれば、主張する内容の説得力も増します。

収集したデータをグルーピングする

データの収集が終わったあとは、同じジャンルごとにグルーピングする作業を行います。主張や結論に対する理由ごとにデータを分けましょう。グルーピングしたデータの数があまりにも膨大になると聞き手が理解しづらいため、数種類に絞るのが理想です。

データをジャンルごとにグルーピングすることで、キーメッセージに対する根拠が出来上がります。

下位に位置する「関連するデータ」と、中間に位置する「根拠」、その上に位置するのは主張や結論となる「キーメッセージ」です。それらをつなげると三角形になり、ピラミッドストラクチャーが完成します。

最終確認

データと根拠、キーメッセージ(主張や結論など)が正しいつながりになっているか、矛盾している箇所はないかをチェックしましょう。

「根拠」と主張や結論部分にあたる「キーメッセージ」のつながりに違和感がないのかを確認するには、「Why so?」と「So what?」の2つの問いかけの実施や、整合性を確認するために使える「MECE(ミーシー)」の視点を取り入れるとよいでしょう。

「Why so?」と「So what?」になっているのかを確認する

ピラミッドストラクチャーが違和感のないつながりで作られているのかは「Why so?」と「So what?」で確認できます。「Why so?」とは、「なんでそうなの?」との意味で、「So what?」は「だからなんなの?」です。

ピラミッドの頂点に位置するキーメッセージに対し「Why so?(なんでそうなの?)」の問いかけを行い、回答が根拠につながっているかを確認します。また根拠から集めたデータに対しても同じ問いかけを行い、違和感なくつながっているのかを確認しましょう。

「So what?(だからなんなの?)」は、「Why so?」とは逆で、まず集めたデータに対して問いかけを行い、根拠に対するつながりを確認します。その後、根拠に対して「So what?」と問いかけ、その回答がピラミッドの頂点に位置するキーメッセージに対するつながりとして違和感がないのかを確認します。

「Why so?」と「So what?」による確認によって主張や結論にあたるキーメッセージと根拠の関係が成立していれば、より説得力をもつ意見になるというわけです。

「MECE」が成立しているかを確認する

矛盾がなく整合性がとれている状態かを確認するには「MECE」の利用が効果的です。MECEとは、「Mutually Exclusive,Collectively Exhaustive」の頭文字からなる用語で、「漏れがなくダブりのない」様子をあらわします。

ピラミッドストラクチャーでは、キーメッセージに対する根拠やデータに漏れやダブりがなく、必要な情報が網羅されている状態が好ましいです。

漏れがあれば説得力が低下しますし、ダブりがあれば同じことを繰り返し述べるため、聞き手にとってわかりづらいものになってしまいます。

まとめ

ピラミッドストラクチャーは、伝えたいキーメッセージに対する根拠を図式化するフレームワークです。作り方をマスターすれば、伝えたいキーメッセージ(主張や結論)に対する根拠を明確にでき、矛盾のない論理的で説得力のある構成を作り出せます

ただし、ピラミッドストラクチャーはあくまでフレームワークのため、上手なプレゼンテーションや報告・交渉を行う際にはコミュニケーションスキルも必要です。シンプルかつ説得力のある説明を行いたい人にとって、ピラミッドストラクチャーは習得すべきスキルの一つといえるでしょう。

参考:
ピラミッドストラクチャーとは|ピラミッド構造の作り方を図解解説
ピラミッドストラクチャーとは?具体例や作り方などを紹介
ピラミッドストラクチャーとは?論理展開ツールの活用メリットや作成方法もご紹介 | BizHint(ビズヒント)
【事例付き】ピラミッドストラクチャーとは?メリットや具体的な作り方を徹底解説
ピラミッドストラクチャーとは?作り方やメリット・具体例を解説
ピラミッドストラクチャーとは?作成方法・考え方・具体例 – フレームワークを考える | Beyond(ビヨンド)
結論の主張に役立つ!ピラミッドストラクチャーについて

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