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単身赴任とは?メリットや生活費の相場、単身赴任手当や補助金をまとめました

単身赴任では、配偶者や子供などの家族と離れて暮らすことになるだけでなく、「生活費はどのくらいかかるのか」「会社から手当は出るのか」「手続きは何をすればいいのか」といった不安がのしかかります。

また、結婚や妊娠、出産や子育てなどのライフイベントと重なることも多く、パートナーや子どもの生活を考えるとなかなか決断できないケースも珍しくありません。

そこで本記事では、自身やパートナーが納得した決断を出せるよう、単身赴任のメリット・デメリット、単身赴任における生活費や手当・補助金について解説していきます。

参考:政府統計の総合窓口|単身赴任か否か

単身赴任とは?

単身赴任とは「家族を持つ労働者が、企業の転勤命令などにより単身で住居を移す就労形態」です。

簡潔にいえば、転勤命令に伴い家族と離れて単身で生活をする、という意味です。単身赴任をしている社員のことを「単身赴任者」と呼びます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、単身赴任者のいる企業は年々増加傾向にあり、企業規模が大きいほど単身赴任の実施割合が高くなっています。

【単身赴任者がいる企業の割合】

・年度別

調査年1990年1994年1998年2004年
割合15.7%15.9%19.1%19.6%

・企業規模別

従業員数1,000人以上300〜999人100〜299人30〜99人
割合81.0%66.8%30.3%9.8%

引用:独立行政法人労働政策研究・研修機構|企業における転勤の実態に関するヒアリング調査
参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構|企業における転勤の実態に関するヒアリング調査(p.4)

単身赴任者の定義

政府統計サイトでは、単身赴任者を次のとおり定義しています。

「単身赴任者」とは、配偶者又は扶養親族がいる人であって、転勤に伴い住居を移しているものをいう。ここでいう「単身赴任者」には出稼ぎ者や海外出張者も含む。

引用元:政府統計の総合窓口|単身赴任か否か

したがって、以下の人たちは単身赴任者には該当しません。

  • 単身者で転勤命令を受けて、住居を移した人
  • 転勤命令に伴って、同居家族とともに住居を移した人

参考:政府統計の総合窓口|単身赴任か否か

単身赴任のメリット

単身赴任のメリットは、主に以下の3点です。

  • 通勤時間が短くなる
  • 一人の時間を満喫できる
  • 家族のありがたみを実感できる

それぞれ解説していきます。

参考:引越しまとめ.com |単身赴任の意外なメリットとよくあるデメリット

メリット1.通勤時間が短くなる

単身赴任に伴い勤務先の近くに暮らすことになるため、通勤時間が短くなります。

単身赴任前は、共働きであれば夫婦それぞれの通勤時間を考慮したり、子どもの通学距離などを加味したりしながら、勤務先から離れた場所に住むケースも珍しくありません。

一方、単身赴任後は住む場所に制限がないため、勤務先の近くで暮らせます。通勤時間が短くなることで通勤ストレスから解放され、心に余裕を持って日々を過ごせるようになります。

メリット2.一人の時間を満喫できる

単身赴任では一人暮らしになるため、帰宅後や休日の時間を自身の趣味や余暇に充てられるようになり、一人の時間を満喫できます。

家族と一緒に暮らしていると、「家族と買い物に出かける」「子供と一緒に遊ぶ」といったように、家族のために時間を割く必要があります。
フジッコ株式会社の「単身赴任に関する実態調査」によると、単身赴任が嬉しいと答えた男性のうち、4割以上が「羽を伸ばして遊べるから」を理由に挙げました。

単身赴任によって一人の時間が増えた結果、プライベートの充実に成功したケースも珍しくないということです。

参考:フジッコ株式会社|単身赴任に関する実態調査

メリット3.家族のありがたみを実感できる

単身赴任を経験すると、今まで以上に家族のありがたみを実感できる点がメリットです。

自由な時間が増える一方で、日々の料理や洗濯、アイロンがけなど多くの場面で「パートナーに支えられていた」と感じる機会が増えます。
また、単身赴任中は家族との何気ない日常コミュニケーションが減るため、これまで以上に家族で一緒に過ごすことの大切さを再認識できるでしょう。

単身赴任のデメリット

メリットの多い単身赴任ではありますが、デメリットも存在します。ここでは、以下の主なデメリットを紹介していきます。

  • 家族とのコミュニケーションが減って寂しい
  • 準備金や生活費がかかる
  • ストレスで健康問題が生じるリスクもある

直近で単身赴任を控えている方、今後単身赴任の可能性がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

参考:ALSOK|夫の単身赴任・転勤で気を付けておきたいこと

デメリット1.家族とのコミュニケーションが減って寂しい

単身赴任中は家族と離れて過ごすため、パートナーや子供とのコミュニケーションがどうしても減ってしまいます。

一人暮らしの解放感や精神的な不安から、浮気や離婚へとつながるケースもあります。また、子育てから解放される反面、子供の日々の成長を間近で見られないこともデメリットといえるでしょう。

フジッコ株式会社の「単身赴任に関する実態調査」では、単身赴任が寂しい理由として「子供に会えないから(59.9%)」と「妻に会えないから(22.4%)」が上位2つを占めました。

テレビ電話やSkypeなどを使いこまめに連絡を取り合うなど、物理的な距離によるコミュニケーション不足を補う工夫が重要です。

参考:フジッコ株式会社|単身赴任に関する実態調査

デメリット2.準備金や生活費がかかる

単身赴任先で使う家具や家電、生活用品などを揃える必要があるため、単身赴任の準備にはお金がかかります。

また、単身赴任先と自宅の2拠点生活(二重生活)となるため、水道光熱費やインターネット料金、自家用車の維持費やガソリン代などの生活費が余計にかかります。一部は会社からの補助や諸手当で補填できますが、全額補助を受けられるケースは稀です。

「気付いたら出費が増えていた」という事態を防ぐために、家計簿をつけて意識的に支出管理を図りましょう。

デメリット3.ストレスで健康問題が生じるリスクもある

単身赴任では、環境に慣れるまで仕事やプライベートでストレスを感じやすいため、心身に何かしらの健康問題が生じるリスクもあります。

中央労働災害防止協会の研究結果によると、「単身赴任中は規則正しい生活に努めるものの、タバコの本数とアルコールの摂取量が増え、熟睡できない傾向になる」とのことです。

大部分の単身赴任者は、不安定な単身赴任生活に耐えて自分を律し、健康に留意し、食
事や目常生活を規則正しくし、多くの趣味や付き合い、赴任先の地域への関心などを通じ
て、前向きに過ごそうと努力している。
(中略)
調査結果に示すように、タバコの本数やアルコールの摂取量が単身赴任で増量し、単身赴任が終れば減量する。また単身赴任では熟睡できない傾向になり、家族と同居して改善される。このことはやはり単身赴任はストレスの多い生活であることを物語っているようである。

引用元:中央労働災害防止協会|単身赴任者にかかるストレス、健康問題に関する研究

家族と離れた生活が続くと、気づかないうちにストレスが蓄積していく可能性もあるため、運動や趣味を通じて適度にストレスを解消する努力が必要です。

参考:中央労働災害防止協会|単身赴任者にかかるストレス、健康問題に関する研究

単身赴任の生活費はどれくらいかかるのか?

単身赴任の生活費はどれくらいかかるのでしょうか。総務省の家計調査から試算すると、

単身世帯(単身者)の平均支出は1ヵ月あたり87,237円です。 この金額は、企業が負担することの多い家賃を除き、それ以外に必要な「食費、交際費、水道光熱費、交通・通信費」の生活費に関して試算した数字です(下表)。

・1ヵ月の平均支出

支出項目平均支出額
食費41,373円
交際費(教養娯楽)15,867円
水道光熱費11,687円
交通・通信費18,310円
合計額87,237円

引用:総務省|家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要

単身赴任を行なう場合は、通常の生活費にプラスして10万円近くの支出負担が発生することを覚えておきましょう。

単身赴任ではお金の使い方を工夫する必要がある

単身赴任先の地域によって支出額は増減しますが、お金の使い方を工夫することで無駄な支出を抑えられます。

具体的な工夫としては、以下が挙げられます。

  • 食事は自炊を中心に、外食をなるべく控える→食費削減
  • 帰省回数を見直し、テレビ電話などでコミュニケーションを増やす→交通費削減
  • 新幹線などを使う際は、金券ショップなどで割引券を購入する→交通費削減

ただし、生活を切り詰めすぎたり、家族とのコミュニケーションを減らしすぎたりするのはストレスの原因になる可能性もあるため、あくまで心身を健康に保てる範囲内で実践しましょう。

単身赴任手当とは?

単身赴任には新生活の準備金や生活費がかかるため、単身赴任者の負担軽減を目的として、企業によっては単身赴任手当を用意しています。

別居を労う手当として「別居手当」とも呼ばれます。

単身赴任手当の相場

厚生労働省が発表した「平成27年就労条件総合調査の概況」では、民間企業の単身赴任手当・別居手当などの平均支給額は46,065円でした。

企業規模により多少の増減はあるものの、4.5万円前後が単身赴任手当・別居手当の相場だといえるでしょう。

参考:厚生労働省|平成27年就労条件総合調査の概況(p.22)

単身赴任手当以外に受け取れる補助金とは?

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、単身赴任手当以外にも、転勤に伴う手当等の支給や家族に対する支援として企業は以下の補助金を支給していることが報告されています。

  • 帰省旅費手当
  • 家賃補助(住宅手当)
  • 単身赴任準備金(転勤支度金)

それぞれ詳しくみていきましょう。

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構|企業における転勤の実態に関するヒアリング調査(p.59)

帰省旅費手当

帰省旅費手当とは、単身赴任先の住居から家族の住む自宅への帰省旅費を企業が支給する制度です。

企業ごとに「月に1回分」「年間上限◯回分」と条件を設けて支給するケースが一般的です。

また、週末に自宅近隣の事業所へ出張させて経費で帰宅させたり、帰省休暇の取得を促進したりするなど、独自の取り組みで単身赴任者や転勤者をサポートする企業も存在します。

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構|企業における転勤の実態に関するヒアリング調査(p.69-70)

家賃補助(住宅手当)

単身赴任では赴任先に住居を移す必要があるため、企業から家賃補助(住宅手当)が支給されることもあります。

社宅として住居を貸与し賃料をすべて企業が負担するケースや、給与から社宅費として控除し、一部を企業が負担するケースなどさまざまです。

単身赴任準備金(転勤支度金)

単身赴任準備金(転勤支度金)とは、転勤に伴い発生する引越代金や家財道具の購入費用を補助する手当です。

毎月一定額支給される帰省旅費手当や家賃補助とは異なり、単身赴任準備金は一時金として支給されます。

単身赴任で必要なものとは?

単身赴任では赴任先の住居で新しい生活を送るため、生活に必要なものを買い揃える必要があります。

単身赴任生活に必要なものは以下のとおりです。

種類必要なものリスト
寝具掛け布団、敷布団やベッド、枕、シーツなど
日用品石鹸、シャンプー、バスタオル、ハンドタオル、化粧品など
キッチン用品フライパン、包丁、調味料、お皿、コップなど
衣類下着、部屋着、仕事着など
常備薬や衛生用品絆創膏、包帯、消毒液、殺虫剤など
家電電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫、電気ケトル、ドライヤーなど

これらに加えて、被災時に備えて防災備蓄用品なども揃えておくとよいでしょう。

参考:ALSOK|単身赴任の必需品とは?単身赴任の準備やかかる費用について

単身赴任の時に必要な手続きとは?

単身赴任には多くの手続きが存在するため、漏れのないよう以下のチェックリストを参考ください。

  • 転出届(市町村役場や区役所、市役所へ)
  • 転入届(転出日から2週間以内に転居先の市町村役場や区役所、市役所へ)
  • 銀行やクレジットカードの住所変更手続き(各社へ)
  • 水道、電気、ガスなどのライフラインの開通手続き(各社へ)
  • NHKの受信料の手続き(NHKへ)
  • インターネット回線の転居手続き(各社へ)
  • 郵便物の転送手続き(郵便局へ)

健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの社会保険手続きは、自社の担当部署へ問い合わせ、自身が対応すべき事項をあらかじめ確認しておきましょう。

単身赴任で住民票の手続きは必要?

単身赴任に伴う転居では、住民票の住所変更手続きが必要です。

住民票の住所変更手続きは法律上の義務であり、住民基本台帳法の第52条で次のように定められています。


第22条から第24条まで、第25条又は第30条の46から第30条の48までの規定による届出に関し虚偽の届出(第28条から第30条までの規定による付記を含む。)をした者は、他の法令の規定により刑を科すべき場合を除き、5万円以下の過料に処する。

引用:e-Gov|住民基本台帳法第52条

第22条が転入、第23条が転居、第24条が転出に関する条文であり、転入と転居をした場合には14日以内に住民票の移動を忘れずに行なう必要があると記されています。単身赴任する際には、住民票の移動手続き忘れにご注意ください。

参考:e-Gov|住民基本台帳法第52条

まとめ

ネガティブなイメージが先行する単身赴任ですが、通勤時間が減ることで一人の時間を満喫できたり、家族と過ごせる喜びを再認識できたりするメリットも存在します。

また、社内のさまざまな職種や分野、事業所ごとの特性などを学ぶ貴重な機会でもあり、人材育成や経営幹部育成などの目的で実施する企業はいまだに多く、キャリアを積むうえで重要な要素といえます。

パートナーの負担や子どもの成長、自身のキャリアプランやライフプランと照らし合わせながら、家族で協力して単身赴任を乗り越えていきましょう。

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