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大企業・中小企業の定義とは?メリット・デメリットを解説

「就職するなら大企業で働きたい」「自分の個性が活かせる中小企業のほうがよいのでは?」など、自分の適性に合った企業規模について悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

本記事では大企業とはどのような企業なのか、定義や中小企業との比較を踏まえながら解説していきます。
大企業・中小企業のメリットとデメリットも併せて紹介するので、それぞれの企業規模の特徴を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

大企業とは?

大企業とは、簡単にいえば「中小企業以外の企業」のことです。
大企業について明確に定義している法律はなく、中小企業の定義を上回る企業であれば大企業とみなされます。

法律上の大企業の定義はない

中小企業に関しては、「中小企業基本法」の第2条第1項で明確に定義されているものの、大企業は法律上の定義がありません。そのため、基本的には「中小企業に分類されないのであれば大企業である」と理解しておけばよいでしょう。

また、大企業と似た言葉として、大きな企業を以下のような名称で呼ぶことがあります。

  • 大手企業:業界の中で上位のシェアを持つ企業
  • 有名企業:知名度が高く、多くの人に認識されている企業
  • 上場企業:証券取引所に上場している企業

ただし、大手企業や有名企業であっても中小企業の規模であるケースも多いため、これらの企業が必ずしも大企業であるとは限りません。
大企業とは「中小企業に該当しない企業」という点をしっかりと押さえておきましょう。

中小企業の定義を上回れば大企業になる

大企業は中小企業に分類されず、中小企業を上回る規模を持つ企業を意味します。「中小企業基本法」の第2条第1項では、業種ごとの中小企業の定義を次のように定めています。

業種中小企業の条件
製造業・建設業・運輸業・その他の業種資本金3億円以下、社員数300人以下
卸売業資本金1億円以下、社員数100人以下
サービス業資本金5,000万円以下、社員数100人以下
小売業5,000万円以下、社員数50人以下

上記の中小企業の条件を超える規模の会社は、大企業といえるでしょう。
例えば資本金1億円、従業員100人の小売店は大企業に分類できます。

参考:FAQ「中小企業の定義について」|中小企業庁

中小企業とは?

中小企業とみなされている会社は、日本企業全体の99.7%にものぼります。つまり、国内企業のほとんどが中小企業ということです。

ここからは、法律上の中小企業と「みなし大企業」と呼ばれる中小企業の違いについて、詳しく解説します。

大企業の傘下にある中小企業はどのような扱いか?

中小企業の条件を満たしている会社であっても、大企業が株式を保有する「大企業傘下の中小企業」のケースもあります。
資本金の半分以上を大企業が所有していたり、役員の半分以上を大企業が占めていたりするなど、実質的に大企業の支配下にある中小企業を「みなし大企業」と呼びます。

中小企業基本法では、このような「みなし大企業」も中小企業として分類されています。ただし、補助金を受ける場面などでは、みなし大企業は一定の制限を受け、中小企業と同列に扱われないことも多いため注意が必要です。

大企業で働く6つのメリット

大企業で働く際のメリットは、主に次の6点です。

  • 福利厚生
  • 社会的な信用度
  • 会社の安定度
  • 給料やボーナス
  • 残業や休暇制度
  • スキルアップ

それぞれ詳しく解説していきます。

メリット1:福利厚生が充実している

大企業の福利厚生は、中小企業と比べ充実している傾向があります。
企業によってさまざまですが、独自の健康保険組合や企業年金制度、育児支援などを設けている大企業も少なくありません。

大企業では通勤手当や住宅手当、さらには資格手当なども充実している傾向にあるため、快適に働きやすい職場環境といえるでしょう。

メリット2:社会的な信用度が高い

社会的な信用度が高いことも、大企業で働く際のメリットのひとつです。
ネームバリューのある企業の場合、他社からの信頼も得られやすく、取引もスムーズに進められるでしょう。

社員個人にとっても、仕事上だけでなくプライベートでも外部から信頼されやすい点がメリットです。企業の信頼度が高いと、住宅ローンの審査にも通りやすい傾向にあります。

メリット3:会社の安定度が高い

資本金が大きく、すでにビジネスモデルが確立している点も、大企業の魅力のひとつです。
資本力と収益力があるため、不景気にさらされても会社の倒産リスクは中小企業よりも低い傾向にあります。

「安定した職場で長く働きたい」という方にとって、大企業の安定度の高さは重要な魅力といえるでしょう。

メリット4:給料やボーナスが高い

一般的に、大企業のほうが中小企業より給与が高い傾向にあります。
令和3年に実施した厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、平均給与は大企業で33.9万円、中企業で29.9万円でした。

給料だけでなく、大企業は退職金規定などもしっかり整備されています。充実した給与水準や退職金規定は、社員のモチベーションアップやエンゲージメントの向上につながるでしょう。

メリット5:残業規定や休暇制度が充実している

労働環境が整っている点も、大企業の魅力のひとつです。
残業規定や休暇規定が整備されているため、サービス残業のない企業も少なくありません。

また、従業員の長期休暇取得を義務付けている大企業も多数存在します。

メリット6:スキルアップしやすい

大企業は、教育制度も充実しています。会社のお金で資格の取得や通信教育の受講ができるケースも珍しくありません。会社によっては、大学院や留学まで可能なケースもあります。

働きながらスキルアップを図りやすい点は、大企業で働く際に実感できる特長のひとつといえるでしょう。

大企業で働く3つのデメリット

メリットの多い大企業ですが、デメリットとして次の3点が存在します。

  • 転勤が多い
  • 出世競争が激しい
  • 意思決定に時間がかかる

ここからは、大企業で働く際に感じる3つのデメリットについて解説していきます。

デメリット1:転勤が多い

グローバルに事業を展開しているケースが多いことから、日本国内だけでなく海外に事業所を構える大企業も珍しくありません。日本各地や海外への転勤の可能性がある点は、人によってデメリットに感じてしまうことでしょう。

転勤によって家族と離れて単身赴任することになったり、新しい職場環境へのストレスを感じたりすることもあるため、注意が必要です。

デメリット2:出世競争が激しい

大企業には優秀な人材が揃っているケースも多いため、社内競争が激しく、中小企業よりも出世が難しい場合があります。

会社によっては学閥や派閥がある点にも注意が必要です。仕事で結果を出しても評価されにくい会社で働く場合、モチベーションの維持が困難となる社員も出てくるでしょう。

デメリット3:意思決定に時間がかかる

大企業は意思決定に時間を要する傾向にあります。
最終決定権を持つ人に稟議が回るまで、中間管理職や複数の部署をいくつも経由するため、最終判断まで時間のかかる点が大企業の抱えるデメリットです。

中小企業で働く3つのメリット

中小企業で働く場合、主に次の3つのメリットを実感できるでしょう。

  • 経営に携われる
  • 多様なスキルを身につけられる
  • アットホームな雰囲気

それぞれ詳しくみていきましょう。

メリット1:経営に携われる

中小企業で働くメリットのひとつは、経営層と近い距離感で働ける点です。
自分の意見を経営者へ直接伝えられる場面も多いため、会社経営に関与する機会に恵まれやすい職場環境といえます。

経営側から大きな裁量を与えられることで、モチベーションの高い状態で働ける社員も少なくありません。

メリット2:多様なスキルを身につけられる

中小企業では、大企業と比べて少数体制で事業を回しています。そのため、社員ひとりが部署をまたいだ仕事を引き受ける場面も少なくありません。
幅広い業務を担当する場合、業務負担は増えていきますが、同時に多様なスキルを身につけるチャンスでもあります。

マルチなスキルを身につけたい人にとって、幅広い業務に携われる中小企業は魅力的といえるでしょう。

デメリット3:アットホームな雰囲気

従業員が少ないことから、中小企業では社員同士や経営者との距離が近く、アットホームな職場環境になりやすいメリットがあります。
従業員同士の競争が少なく、家族のような連帯力を持って働ける会社も多いため、統一感を感じながら業務に取り組める職場環境といえるでしょう。

中小企業で働く4つのデメリット

メリットも多い一方で、中小企業には以下のデメリットを感じる人も多いようです。

  • 給料やボーナスが少ない
  • 福利厚生や休暇制度が充実していない
  • 安定性や将来性が不透明
  • 労働環境が悪いことも

それぞれ詳しく解説していきます。

デメリット1:給料やボーナスが少ない

中小企業は大企業と比べると、給料やボーナスが低い傾向にあります。
令和3年実施の「賃金構造基本統計調査(厚労省)」によると、平均給与は大企業と中企業で約4万円の差がありました。大企業に匹敵する給与体系を設定している中小企業も存在するものの、「高収入を目指したいから大企業で働きたい」と思う人がいても不思議ではありません。

また、退職金規定が十分に整備されていないケースも多く、大企業のような多額の退職金を受け取れない可能性もあります。

デメリット2:福利厚生や休暇制度が充実していない

中小企業では、大企業と比べると福利厚生制度や休暇制度が整っていないケースがあります。
通勤手当や住宅補助などが最低限のものしか整備されていない中小企業もあり、福利厚生への不満を抱える声も少なからず存在します。

デメリット3:安定性や将来性が不透明

中小企業で働く人のなかには、会社の安定性や将来性に不安を感じてしまう人も存在します。
営業基盤や資本が大企業と比べて脆弱であるため、不景気や取引先の業績悪化といった外的要因によって、経営状況が急変する可能性もあるでしょう。

デメリット4:労働環境が悪いことも

中小企業は大企業と比べると、労働環境が整っていないケースがあります。
特にワンマン企業の場合、社長が独自の社内ルールを定めることも少なくありません。社長の判断ひとつで残業や休日出勤を課される職場は、社員にとって心身共に負担の多い労働環境といえます。

ほかにも、アットホームな雰囲気であるがゆえに「周りの仕事が終わるまで帰れない」など、不要な拘束時間が生じるケースもあります。労働環境が未整備の状態だと、社員の労働意欲も高まらず、生産性の低下を招いてしまうでしょう。

まとめ

大企業とは法律上の定義ではなく、中小企業の規模以上の企業を総じて「大企業」と呼びんでいます。

大企業と中小企業には、それぞれメリット・デメリットがあります。大企業には会社の安定度や福利厚生の充実度があり、中小企業には経営層との距離感の近さやアットホームな職場環境といったメリットを感じられるでしょう。

大企業と中小企業の違いを理解したうえで、快適な社会人生活を送っていきましょう。

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