用語集

コンコルド効果の意味や由来とは?事例や対策方法

「コンコルド効果」は、損をしていてもお金や時間の投資をやめられない心理現象の一つとして知られています。コンコルド効果の状態に陥ると、冷静な判断ができなくなり、大きな損失を被ることに繋がります。本記事では、コンコルド効果の由来や事例、対策方法を解説します。コンコルド効果を使用したマーケティング例についてもご紹介します。

コンコルド効果とは?

「コンコルド効果」とは、損失が出ると理解していても、これまでの時間や労力を惜しんで投資をやめられず、継続してしまう心理状態を指します。

非合理的な行動を起こすことを「認知バイアス」と呼び、コンコルド効果はその一種となっています。

コンコルド効果の由来は超音波旅客機

コンコルド効果は、超音波旅客機の「コンコルド」に由来しています。コンコルドはイギリスとフランスが共同で開発・運行していましたが、収益化できず損失が大きくなったことで、その役目を終えています

コンコルドは注目を集めた旅客機だったため、収益性の低さや航空機の需要が低迷する中でも運行は続けられました。しかし最終的に成功を納めないまま商業的失敗に至りました。

元々燃費が悪く、通常の旅客機よりも長い滑走路が必要になることや、運賃の高さなどから経済的な収益が見込めない事業でした。

失敗する可能性があることを知っていながら、莫大なコストをかけていた分、運行をやめる判断にいたらず、1976年の運行開始から2003年までの長きに渡り継続したことが損失を膨らませる原因になりました。

コンコルド効果におけるサンクコスト(埋没費用)

サンクコストとは「埋没費用」の意味で、「既に投資済みの費用のうち、撤退・白紙・中止にしても、回収不可能な費用」のことです。

コンコルドはコストがかかる割に収益性が低く、サンクコストは膨らむばかりでした。サンクコストは戻ってこないため、事業として成り立たなかったのも当然といえます。

コンコルド効果の事例

コンコルド効果は経済学やファイナンスで主に使用される用語ですが、私たちの身近な出来事にも当てはまります。コンコルド効果が起こる以下の5つの事例をご紹介します。

  • パチンコなどのギャンブル
  • 課金が必要なゲーム
  • 受験や試験
  • 恋愛
  • 事業

パチンコなどのギャンブル

身近な例としてもっともコンコルド効果を理解しやすいのがパチンコなどのギャンブルです。

ギャンブルで使った分のお金が戻っていない場合、一発逆転できる可能性が低いにも関わらず、取り返そうとしてさらに資金をつぎ込んでしまいます

結果としてやめ時がわからず、ずるずると資金だけが減り、損だけがどんどん膨らんでいきます。

課金が必要なゲーム

課金が必要なゲームもパチンコなどのギャンブルと同様です。ゲームにはアイテムなどが獲得できる有料の「ガチャ」が存在します。レアなアイテムほど獲得できる確率は低く、お金をたくさん使えば得られるものでもありません。

レアなアイテムが獲得できなくても、ゲームに使用した時間や労力を考えるとやめることを選択できません。結果として課金による損失だけが増え続けていきます。

受験や試験

受験や試験もコンコルド効果の影響を受けることがあります。難しい問題に直面すると解くのに時間がかかるケースがあります。

多くの時間を使って解けない場合でも、諦めて次の問題に向かうのではなく、これまで使った時間がもったいないからと延々と同じ問題で悩み続けてしまいます

恋愛

恋愛をしているとデートの際にお金や時間がかかります。嫌いになって別れようと思っても、これまでに使ったお金や時間のことを考えると、もったいなく思えてしまいます。それによりずるずると関係を継続させてしまう人もいます。

また振り向いてもらえない相手に対してアタックし続けるケースも該当します。成就する可能性は低いと知っていながら、これまでの時間や労力をもったいないと感じて好意を抱き続け、再びアタックします。

事業

超音波旅客機のコンコルドが該当したように、コストが回収できる見込みがないにも関わらず、事業を継続してしまうケースです。

これまでにかけたコストだけでも回収したいと考えると冷静な判断ができなくなります。事業を無理に継続することで、よりサンクコストが増えてしまい、首が回らない状態になってしまいます。

コンコルド効果に陥らない3つの対策

コンコルド効果に該当するケースに直面しているときは、冷静な判断ができないことも多いです。冷静になれないことでさらにサンクコストが増えていくことも考えられます。

損失が増えていくコンコルド効果に陥らない、対策する方法として以下の3つをご紹介します。

  • 損切りする
  • ゼロベース思考
  • 損益を把握する

それぞれの対策を確認しておけば、いざというときに役立ちます。

損切りする

「損切り」とは、利益がでると思い購入した株などの価格が下がり、回収も見込めないことから売却して損を確定させることを指します。

コンコルド効果は、これまでにかけた労力などがもったいないと感じ、ずるずると先延ばししている状態です。サンクコストの増加を抑えるには、コストが回収できなくてもなるべく早めに損切りしたほうが浅い傷で済みます

損切りがなかなかできない場合もあるため、事業を開始する前にお金や時間に関する限度を設定しておくといいでしょう。収益化が見込めなければ、限度に達した段階でスパっと損切りしてやめれば、コンコルド効果の負の連鎖に巻き込まれることもなくなります。

ゼロベース思考

「ゼロベース思考」とは、これまでに起きたことはこれまでと考え、一旦ゼロにした状態で物事を捉える思考法です。

損失が大きくなった事業の場合、コストを少しでも取り返そうとして新たな手を打つことでサンクコストが増え、さらに業績が悪化する場合があります。

ゼロベース思考の場合、これまでに起きたことは含めず考えるため、コストを無理に取り返そうとするのではなく、採算が合わない事業に対して撤退や縮小など、正常な判断を下すことが可能です。

損益を把握する

事業を進めていくなかで収益化できそうにない場合、今後の損益について計算しましょう。

コンコルド効果はコストをかけている分、後に引けない心理状態に陥ります。損益を把握することで、これまでにかけていたコストにプラスして今後どれくらいのサンクコストが加わるのか理解できます。

損益を把握することで、このままの状態でいいのか、撤退や縮小を考えなくていいのか冷静な判断が可能になります

コンコルド効果はマーケティング手法としても活用されている

これまでの労力や時間、コストがムダになってしまうのを避けるために、資金や労力を注入してしまうコンコルド効果は、被害を被る当事者にとってみれば厄介な心理状態です。しかし、コンコルド効果を上手に利用してマーケティングに活用すれば売上アップに貢献してくれます

コンコルド効果を使ったマーケティング例

コンコルド効果を使ったわかりやすいマーケティング例として以下の4つが挙げられます。

  • 付録付きマガジン
  • 会員ランク
  • ○○円以上購入で送料無料
  • ○点購入で割引

付録付きマガジン

「付録付きマガジン」とは、毎号のマガジンに部品やDVDなどの付録が付き、集めることで商品を組み立てられるようになったり、DVDのシリーズをコンプリートできたりする商品を指します。

付録付きマガジンの多くは創刊号を半額にするなどして安い価格で購入させ、付録を1つ保有させることで、その後に発売されるマガジンも買わなければこれまでに購入したものが損になると消費者に思わせるコンコルド効果を活用したマーケティング手法です。

会員ランク

店舗やECサイトで目にする機会の多い「会員ランク」もコンコルド効果を活用したマーケティング手法です。累計の購入額が一定の金額を超えると会員ランクがアップして、受け取れるサービスの質も高まります。1度でも購入すると会員ランクがアップした際のサービスを受けたいと思うようになり、購入回数や購入額が増えていく傾向にあります。

○円以上購入で送料無料

ECサイトで購入する際に気になるのが、送料ではないでしょうか。商品の代金以外は支払いたくない人は多いと思います。「○○円以上購入で送料無料」は、その心理をついたマーケティング手法です。

例えば、「1万円以上購入で送料無料」になる場合、商品が9,000円、4,500円、3,000円のラインナップであれば、1点購入しただけでは1万円を超えません。そのため、送料は無料のほうがいいと感じる人は、購入額が1万円以上になるように複数の商品を選択します。消費者は当初購入しようとしていたもの以外の商品を買うことで、もったいないと感じる送料を無料にしようとします。

○点購入で割引

いくつか購入することで割引になるパターンもあります。消費者は割引になるならと本当に購入したい商品に加えてほかの商品も購入をする可能性があります。そのほかにも、「○○円以上購入で割引」を行う手法もみられます。「割引」がお得に感じるため、支払いが増えているにも関わらず、割引の条件を満たそうとします。

コンコルド効果の影響を受けない選択を

コンコルド効果の状態に陥ると正常な判断ができず、損失が大きくなってしまいます。

これまで労力や時間、コストをかけた分、投資をやめられなかったり、事業の撤退や縮小の判断が下せない気持ちもよくわかりますが、サンクコストは増加の一途をたどるため、より苦しくなっていきます。

コンコルド効果の対策は損益を把握して将来性がないとわかった段階で早めに損切りすることです。

先行きが見えない事業や物事にムダなコストをかけ続けないよう、常に冷静に対処しましょう。

ABOUT ME
ミキワメラボ編集部
ミキワメラボでは、適性検査、人事、採用、評価、労務などに関する情報を発信しています。

活躍する人材をひと目でミキワメ

ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。

社員分析もできる30日間無料トライアルを実施中。まずお気軽にお問い合わせください。