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退職金について知りたい方必見!退職金の種類や支給額、税金など徹底解説!

企業勤めの方や公務員の方は「退職金」という言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。退職金と聞くと定年退職するときにもらえるイメージが強いかもしれませんが、実は退職金には様々な種類があります。本記事では退職金の種類や支給額、条件、税金制度などを徹底解説していきます。退職金について知りたい方はぜひ一読してみてください。

退職金とは

退職金とは企業や公共団体など雇用関係を結んでいる所属先から退職するときに受け取る金銭です。一般的によくイメージされている退職金は「定年退職」する際に受け取る退職金ですが、自己都合退職や解雇に伴う退職など定年退職以外でも退職金は発生します。企業が人員調整で「早期退職」を促す際、従業員側に「退職金の増加」を提示することもよく見られます。

退職金はすべての従業員に支給されるとは限らない

退職金の支給要件は会社の規定によって定められます。要件を満たしてしない従業員に対して退職金は支給されないので注意が必要です。退職金支給の要件として設定されやすいのは「勤続年数」と「退職理由」です。勤続年数が浅い従業員に対して退職金を支給してしまうと、退職金目当てで早期退職をする社員が増加する可能性があります。社員定着を図るために、勤続年数の要件を長く設定している企業も多く見られます。

退職理由には関して、「自己都合退職」の場合は退職金を支給しない、もしくは減額する企業が多いです。転職などの自己都合で退職する前に、退職金の規定内容を事前に確認しておきましょう。

退職金の種類

退職金の種類は下記の4つに分かれています。

  • 退職一時金制度
  • 退職金共済制度
  • 確定給付企業年金制度
  • 確定拠出年金制度

それぞれ詳細を確認していきましょう。

退職一時金制度

退職一時金制度とは従業員が退職する際に「一時金」という形で退職金を支給する制度です。一時金とはその名の通り、一括で支払う金銭となります。

退職一時金制度は就業規則・労働協約の中で規定された内容に沿って運営されます。具体的な支給額、支給対象となる従業員の範囲、計算方法、支払い時期などに関しても規則・協約の中に記載しなければなりません。多くの企業は退職一時金制度を採用して退職金の支払いを行っています。

中小企業退職金共済制度

退職金共済制度とは、事業主と共済機構が契約を結んで従業員に支給する退職金を準備する制度になります。事業主が金融機関に掛金を積み上げて、共済機構が従業員に退職金を支給します。

退職金の管理は共済機構が行うため、万が一所属先の企業が倒産しても退職金を受け取ることが可能です。退職金共済制度は中小企業を対象にした「中小企業退職金共済(中退共)」や社会福祉法人を対象にした「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」、商工会議所などが運営している「特定退職金共済制度」などが有名です。

確定給付企業年金制度

確定給付企業年金制度とは、企業が外部の金融機関などで掛金を積み立てて、従業員が退職した後に「一定額」を年金として支給する制度になります。いわゆる「企業年金」の一つです。掛金は企業側が負担しますので、従業員の給料から天引きされることは基本的にありません。

また、従業員に給付される金額は事前に決められている点も確定給付企業年金制度の特徴になります。

確定拠出年金制度

確定拠出年金制度とは、企業が外部の金融機関などに掛金を積み立てて、従業員が退職した後に掛金の「運用実績」に応じて年金が支給される制度です。確定拠出年金制度と同様に企業年金の一種ですが、年金額が一定でない点が異なります。掛金の運用方法は従業員側で選択可能です。運用成績によって金額が変動する分、受け取れる年金が少なくなってしまう可能性もあります。

退職金の相場

退職金の相場は、「企業規模」と「学歴(大卒or高卒)」で大きく変わってきます。厚生労働省が公表している「賃金事情等創業調査【令和元年】」によると、大企業の平均退職金額は下記の通りです。

大学卒:2,289万5,000円

高校卒:1,858万9,000円

※大学卒は22歳、高校卒は18歳で入社後、同じ企業に定年退職するまで勤め上げた場合の平均退職金額

大学卒になると、退職金額が2,000万円を超えてきます。退職金額の高さは大企業人気を支えている要因ともいえるでしょう。

一方、東京都産業労働局が公表している「中小企業の賃金・退職金事情【令和2年】」によると、中小企業の平均退職金額は下記の通りです。

大学卒:1,118万9,000円

高校卒:1,031万4,000円

※大学卒は22歳、高校卒は18歳で入社後、同じ企業に定年退職するまで勤め上げた場合の平均退職金額

中小企業になると、大卒と高卒でそこまで退職金額に差がつかないことが分かります。ただ、大企業と比べると退職金額は1,000万円ほど変わってきます。退職金を多く受け取りたい場合は、中小企業よりも大企業に就職した方がよいでしょう。

勤続年数ごとの退職金の相場

支給される退職金は勤続年数によって変わってきますが、金額の決まり方は企業によって様々です。大企業における勤続年数ごとの退職金相場一覧は下記です。

大学卒(22歳で就職した場合)

勤続年数退職金相場
3年68万7,000円
5年123万8,000円
10年312万8,000円
15年588万4,000円
20年965万9,000円
25年1426万9,000円
30年2012万9,000円
35年2455万2,000円

高校卒(18歳で就職した場合)

勤続年数退職金相場
3年52万2,000円
5年98万4,000円
10年231万3,000円
15年431万3,000円
20年671万6,000円
25年1051万5,000円
30年1401万8,000円
35年1783万5,000円

1,000万円以上の退職金を受け取るには、少なくとも25年以上の勤続年数は必要になるケースが多いです。大卒の場合、勤続年数が30年を超えてくると退職金が2,000万円に達します。上記金額相場は大企業のケースですので、中小企業の場合は金額が半分ほどになると考えてください。

退職理由によっても金額は変わる

退職金額は「退職理由」によっても変わってきます。下記、退職理由別の平均退職金額です。

定年退職:1,213万8,000円

会社都合:1,300万2,000円

自己都合:414万4,000円

参考:https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/19/dl/07.pdf

※大学卒・高校卒を合わせた平均値です。

会社都合による退職時に支払われる退職金額が最も高いことが分かります。

一方、自己都合による退職金額は定年退職・会社都合による退職の金額の半分未満です。自己都合による退職に関しては、就業規則などで退職金が低くなるよう設定されているケースが多いと考えられます。自己都合の退職は勤続年数が浅いうちの退職であることも、金額が低い要因といえるでしょう。

退職金にかかる税金

退職金は「一時金」で受け取るか、または「年金」で受け取るかで課税される税金が異なります。

退職金を「一時金」で受け取った場合

「一時金」で受け取った場合、退職金は「退職所得」という扱いになります。このため、課税される税金は通常の給与と同様に「所得税」と「住民税」です。

ただ、通常の給与所得とは異なり、退職所得には「退職所得控除」が適用されます。給与所得と同じ控除だと、長年の勤労が報われないという配慮がなされている形です。退職所得控除の適用により、税負担の割合は給与所得よりも低くなっています。退職所得控除は勤続年数によって異なります。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数(80万円未満の場合、80万円)
20年超800万円+70万円(勤続年数-20年)

たとえば、勤続年数が25年の場合だと退職所得控除額は下記の通り算出できます。

「退職所得控除=40万円×25年=1,000万円」

課税対象となる退職金の計算は、下記の式を使って算出します。

「課税対象となる退職金の金額=(退職金の金額-退職所得控除額)×1/2」

退職所得控除額を引くだけでも課税対象金額は少なくなりますが、さらに1/2をかけて半分にすることで、より税負担が軽くなる仕組みになっています。勤続年数が長い場合だと、退職金で課税される税金は非常に少額なるといってよいでしょう。

たとえば、勤続年数が25年で退職金が「1,500万円」とすると、課税対象になる退職金の金額は下記の通り算出できます。

「課税対象となる退職金の金額=(1,500万円-1,000万円)×1/2=250万円」

1,500万円の退職所得に適用される所得税・住民税は「250万円」分の課税所得で算出されます。給与所与で1,500万円を得た場合は、課税所得が250万円になることはまずありません。それだけ、退職金が税制面で優遇されているといえます。

退職金を「年金」で受け取った場合

退職金を年金で受け取った場合、退職金は「雑所得」の扱いになります。雑所得には「総合課税」と呼ばれる課税方式が適用されます。総合課税は各所得を合算して課税所得を算出する方式です。このため、年金以外の所得がある場合はそれらの所得と退職金が合算されて税金額が決定されます。

雑所得扱いになると、一時金のような退職所得控除は適用されません。通常の雑所得と同じ扱いになるので、税制面では一時金で受け取るよりも不利になります。節税したい場合は、可能な限り一時金で退職金を受け取った方がよいでしょう。

退職金は種類・勤続年数などの要件により金額・税金が変わるので要注意!

退職金は受け取り方によって4種類に分かれています。勤続年数、退職理由などによって受け取れる金額や適用される税金も異なるので要注意です。退職金に関するルールは会社ごとに異なります。自分の会社ではどのような退職金ルールが規定されているか、今一度確認してみましょう。

参考:退職金の相場はどれくらい?大企業・中小企業、業種、勤続年数による違いも解説|りそなグループ

参考:退職金の相場や平均額はいくら?大企業、中小企業、勤続年数ごとに解説 | 保険のぜんぶマガジン|保険相談・見直しのきっかけに。

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