用語集

ローパフォーマーとは何か?特徴や対処法を解説

「ローパフォーマー」という言葉をご存知でしょうか。「ロー(low)」は低い、「パフォーマー(performer)」は、成果を生み出す人という意味です。
つまりローパフォーマーは、仕事で高い成果を出せない人のことを指します。

本記事では、ローパフォーマーの特徴や、会社へ与える負の影響について解説します。ローパフォーマーが発生する原因や対処法についても触れていくので、職場環境づくりを考えている方はぜひ参考にしてみてください。

「ローパフォーマー」とは何か

「ローパフォーマー」とは、仕事において能力や能率が低く、生産性が低い傾向の人を指します。
本人の生産性が低いだけにとどまらず、周囲の社員の士気や生産性を落としてしまったり、ミスを繰り返したりすることで会社の業績に悪影響を与える可能性がある存在です。

ローパフォーマーの社員を放置することは会社にとってリスクがあるため、何らかの対策が求められます。
企業によっては、改善が望めないと判断した場合、退職推奨するケースもあります。

ローパフォーマーの特徴

ローパフォーマーには、共通して以下の特徴があるといわれています。

  • 主体的に仕事をしない
  • 同じミスを繰り返す
  • 勤務態度に問題がある

それぞれみていきましょう。

特徴1:主体的に仕事をしない

ローパフォーマーは、ほかの社員に比べて自分から動くことが少なく、上司から指示された最低限のことしか取り組まない点が特徴です。

自分から積極的に仕事に取り組む人は、より良い仕事をするために工夫をしたり、知識を増やしたりします。一方、ローパフォーマーは主体性がないため、自らの能力開発やスキルアップに意欲的ではありません。結果、ほかの社員に比べて低い成果しか出せず、その状況が改善されないままになってしまいがちです。

特徴2:同じミスを繰り返す

ローパフォーマーは積極的な姿勢で仕事をしていないため、何か問題があっても見過ごしてしまう可能性が高い傾向にあります。また、ミスに対して「やってしまった…」という反省の気持ちが希薄である点も、特徴のひとつです。

ミス自体は誰にでも起こりうるものですが、多くの人は原因となった問題を特定し、対策をとることで再発防止に努めます。その結果、同じミスを繰り返すことはありません。

一方、ローパフォーマーの場合、ミスが起きてもその場を凌ぐことにしか意識が向かず、周囲や会社への影響に気が付いていないことがあります。
このような業務態度ではミスを防止しようという意識が生まれにくく、結果として会社へトラブルを持ち込む存在となってしまうのです。

特徴3:勤務態度に問題がある

ローパフォーマーの多くは、勤務態度に問題が見受けられます。具体的には、以下のような勤務態度をとりがちです。

  • 無断での遅刻や欠勤が多い
  • 勤務中の私語が多い
  • 勤務中に無駄な行動が多い
  • 勤務中に、業務に無関係なWebサイトを見たりスマホをいじったりする
  • 公私混同している
  • 自分の仕事や責任をほかの社員に押しつけようとする

主体性に乏しいローパフォーマーは、上司からの指示がないと、仕事に無関係なことをして時間を潰そうとする傾向があります。
上司にしてみれば、常にローパフォーマーを監視し、指示を出したり注意したりしなくてはならないため、マネジメントの大きな負担となってしまうでしょう。

ローパフォーマーの何が問題か

ここからは、ローパフォーマーの社員がどのような問題を引き起こすのか、具体的に見ていきます。

代表的な問題点は、以下の4点です。

  • 人件費に対する費用対効果が下がる
  • 周囲の社員の負担になる
  • 職場の雰囲気が悪くなる
  • 優秀な人材の退職に繋がることがある

それぞれ詳しく解説していきます。

問題点1:人件費に対する費用対効果が下がる

ローパフォーマーの社員の生産性は低いものの、それでも雇用する以上は給与を支払わなくてはなりません。
言い換えると、ローパフォーマーの社員の給与は、ほかの社員が出した成果(売上)から支払われることになります。 期待以上の成果を出す社員がいたとしても、ローパフォーマーの社員がいることで、人件費に対する全体的な費用対効果が下がってしまうのです。

問題点2:周囲の社員の負担になる

ローパフォーマーの業務のしわ寄せは、上司や同僚に向かいます。
また、既述のとおり、同じミスを繰り返すのもローパフォーマーの特徴のひとつです。

ミスが起こる度に周囲の社員がフォローする必要があるため、時間や労力が奪われ、ほかの社員の生産性も下がってしまいます。

問題点3:職場の雰囲気・人間関係が悪くなる

ローパフォーマーの社員に時間や労力を奪われた結果、ほかの社員が本来の生産性を発揮できないケースもあるでしょう。その場合、当然ながら社員の不満が溜まります。

また、既述のとおり、ローパフォーマーの社員は勤務態度に問題があることも珍しくありません。
彼らの勤務態度の悪さが職場の雰囲気を悪くしたり、周囲の社員にストレスを与えたりする可能性があります。

問題点4:優秀な人材の退職に繋がることもある

ローパフォーマーの社員によって負担をかけられている社員のなかには、退職を考える人もゼロではありません。

ローパフォーマーによる負担が慢性化すると、上司や人事部に対して相談を持ちかける社員が増えていくでしょう。
状況が改善されない場合、なかには会社に見切りをつけ、転職してしまうケースも見受けられます。

生産性の高い優秀な人材が退職してしまうと、職場全体の負担はこれまで以上に高まるでしょう。結果、優秀な人材が次々と流出し、生産性の低い社員だけが社内に残るリスクがあります。

ローパフォーマーが生まれる原因

職場で多くの問題を引き起こすローパフォーマーですが、そもそもなぜローパフォーマーが生まれてしまうのでしょうか。
ローパフォーマーに対処するには、ローパフォーマーが生まれた原因・背景を知っておくことも大切です。

ここからは、ローパフォーマーが発生してしまう原因を、会社の問題・上司の問題・本人の問題という3つの視点で見ていきます。

会社の問題

ローパフォーマーは、社員の人格的な問題のように思われがちですが、実は会社が原因となっているケースもあります。 会社がローパフォーマーを生み出す代表的な原因は、以下のとおりです。

  • 採用時のミスマッチ
  • 人事配置のミスマッチ
  • 仕事の社会的意義を伝えられていない
  • 評価基準や報酬が適切でない

まずは、採用時や人事配置におけるミスマッチです。職務に必要な能力を備えていない人材を採用してしまったり、社員の能力を活かせない部署に配属してしまったりするケースが該当します。

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社員にとって、自分の能力を発揮できない職場・部署で働き続けるのは苦痛です。モチベーションの低下を引き起こし、ローパフォーマーになってしまう可能性があります。

また、自分の仕事の社会的意義がわからないまま働いている社員も、仕事にやりがいを感じられず、自主性の乏しいローパフォーマーになってしまうことがあるでしょう。仕事にどのような社会的意義があるのか伝えるのも、会社の大切な役目です。

最後は、評価基準や報酬の問題です。たとえ努力をしたとしても、評価基準が曖昧で正当な評価を受けられない職場環境だと、社員はやる気を失ってしまうでしょう。

上司の問題

上司が原因でローパフォーマーが生まれるケースは、主に以下のとおりです。

  • 部下とのコミュニケーションが少なく、放置状態になってしまっている
  • 部下を褒める機会がほとんどない
  • 部下との信頼関係が築けていない

上司は部下をサポート・育成しなくてはなりませんが、コミュニケーションが少なければ必要なアドバイスや指導を与えるのは難しいでしょう。
部下とのやり取りが不足してしまうと、部下が問題を抱えていたり、誤った方法で仕事を進めたりしていても、気づけない可能性があります。

部下は上司から褒められることで自信がつき、より成果を出そうという意欲が生まれるものです。上司が部下の頑張りを見過ごしてしまい、褒める機会がほとんどなければ、部下のモチベーションは低下してしまうでしょう。

また、部下をサポート・育成するにも、褒めて自信をつけさせるにも、信頼関係がまず必要です。
上司が威圧的であったり、理不尽に部下を責めることが多かったりする場合、部下との信頼関係を築くことは難しいでしょう。 上司が部下との間に信頼関係を築けないことが原因で、ローパフォーマーが生まれてしまう可能性もあるのです。

本人の問題

本人の問題でローパフォーマーが生まれる理由は、以下の3つに大別されます。

  • 目標を持っていない
  • 知識やスキルが追いついていない
  • プライベートの問題に影響を受けている

ローパフォーマーの社員が主体的に仕事をしない原因として、目標を持っていないことが考えられます。
「仕事を通じて将来こうなろう」という目標がないとモチベーションが生まれず、言われた仕事を漠然とこなすだけになってしまうでしょう。

また、知識やスキルが追いついていないことも、ローパフォーマーになる原因のひとつです。現在はビジネス環境や市場の変化、技術革新のペースがとても速くなっています。
かつては役立った知識・スキルが通用しなくなり、成果を出せないこともあるでしょう。そうした場合には、知識やスキルをアップデートしなくてはなりません。

知識やスキルを自分でうまくアップデートできず、成果を出せないままモチベーションまで下げてしまい、ローパフォーマーになってしまう社員も存在します。 ほかにも、プライベートに何らかの問題を抱えており、それが原因で仕事に身が入っていないケースも考えられるでしょう。

ローパフォーマーへの対処法

ローパフォーマーはさまざまな悪影響をもたらしてしまうため、会社として放置するのは危険です。

ここからは、ローパフォーマーが生まれる原因を踏まえ、ローパフォーマーへの対処法について解説していきます。

対処法1:目標設定してもらう

ローパフォーマーは仕事に対して目標を持っていないことが多いため、まずは目標設定してもらうのが有効です。
目標自体は持っていても、本心からのものでなかったり、大きすぎたり小さすぎたりしたことから、モチベーションが上がらなくなっているケースもあります。

生産性の低い社員には客観的に現状を伝え、本人が本心から実現したいと思える適切な目標を設定する機会を作りましょう。
もちろん、目標設定してもらうだけでなく、実現に向けて周囲がサポートしていく姿勢も重要です。

対処法2:仕事の社会的意義を伝える

自分たちの仕事が社会的に役立った事例があれば、積極的に社内へ共有しましょう。顧客からの喜びの声や感謝の声なども同様です。
映像やプレゼンテーションを通して、自社事業の価値を社員に伝える場を設けるのも有効です。

「自分の仕事が誰かの役に立つ」という意識が芽生えれば、誇りと責任感を持って仕事に取り組めるようになるでしょう。

対処法3:評価・報酬を見直す

評価基準や報酬が曖昧であったり、不適切であったりした場合は、思い切って見直しを図るのも有効です。
「どうすれば評価されるのか、報酬が上がるのか」が明確になれば、努力の方向性がイメージできるようになるので、ローパフォーマーもやる気を持って業務に取り組めるようになるでしょう。

対処法4:コミュニケーションを見直す

信頼関係が築けていなかったり、コミュニケーションが十分に取れていなかったりすることが、ローパフォーマーを生み出す原因かも知れません。

上司は面談の機会を定期的に設けるなど、コミュニケーションの頻度を増やしてみましょう。
面談の際には、該当社員の生産性の低さを責めてはいけません。仕事の進み具合は順調か、問題や悩みを抱えていないかなど、相手に寄り添う姿勢を見せながら、サポートしていきましょう。

対処法5:スキルアップの機会を増やす

知識・スキルが不足しているために生産性が下がり、ローパフォーマーになっている場合もあります。

現在は変化の速い時代であるため、知識やスキルは常にアップデートしていく必要があります。とはいえ、自力で追いつくのが難しい社員もいるでしょう。そのため、会社側のサポートが求められます。

社内外の研修や資格取得のサポートなど、社員がスキルアップできる機会を増やし、ローパフォーマーの生まれにくい職場環境を目指しましょう。

対処法6:採用・人事配置の仕方を見直す

現在は「売り手市場」といわれ、優秀な人材の獲得競争は激化しています。このような状況では、優秀な人材が一部の人気企業に集中してしまいがちです。

そのため、人材獲得のために採用基準を下げてしまう企業もあるでしょう。結果、能力不足のローパフォーマーが入社し、不適切な人事配置をせざるを得ない状況も起こりえます。
このような採用・人事配置をしてしまうと、ほかの優秀な社員たちに負担を与え、退職者が出るリスクも考えられるでしょう。

ローパフォーマーを社内に増やさないためにも、採用・人事配置のやり方に問題がないか一度チェックしてみてください。

対処法7:退職推奨する

手を尽くしたにもかかわらず、ローパフォーマーの社員に改善が見られない場合もあるでしょう。
その場合、放置しておくことは企業にとって大きなマイナスになります。

改善の見込みがなく、悪影響が発生し続けると判断した場合には、退職推奨するのもひとつの方法です。

ただし、これは最終手段といえます。退職推奨する前に、以下の点を明確にしておきましょう。

  • 社員にどのような問題があったのか
  • 適切かつ十分な指導が行われたか
  • 指導に対して社員はどのように応じたか
  • 指導の結果、改善された点・改善されなかった点は何か

これらを明確にしたうえでもなお、今後の改善が期待できないと判断した場合は、退職推奨を検討するのも一案です。

まとめ

本記事ではローパフォーマーとは何か、ローパフォーマーの特徴やローパフォーマーが生まれてしまう原因、対処法などを紹介しました。

変化の大きな時代を生き残っていくため、企業は必死になって生産性を上げようとしています。
企業の生産性の要は人材であり、社員一人ひとりの生産性をいかに上げていくのかが企業成長のカギです。

社内にローパフォーマーの社員がいれば放置せず、本記事で紹介した対策を試していきましょう。

参考:
「ローパー社員(ローパーしゃいん)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
ローパフォーマーとは?仕事ができない社員の対応方法を解説 – 咲くやこの花法律事務所

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