用語集

ジャストインタイムとは?3原則やメリット・デメリットを解説

ジャストインタイムとは、トヨタ自動車が発案した生産方式で、製造業をはじめ物流業や小売業にも取り入れられています。ジャストインタイムを利用することで、ムダを排除し生産効率を高めることが可能です。

本記事では、ジャストインタイムを実現するための3原則や、メリット・デメリットを解説します。物流業や小売業の導入事例についても紹介します。

ジャストインタイムとは?

ジャストインタイムとは、生産ラインの各工程において「必要なものを、必要な時に、必要な分だけ」生産する方式です。生産現場で起こる「ムダ・ムラ・ムリ」を徹底して排除する思想が根底にあります。

ジャストインタイムの起源

ジャストインタイムは、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏が、挙母工場の操業開始にあたって余分な労力や時間を費やさないよう指導したことがはじまりでした。

しかし、当時は豊田氏の発想がなかなか受け入れられず、戦時統制により自動車用資材の入手が困難となったこともあり、実現に向けた取り組みが一時中断されました。

その後しばらくして、スーパーマーケット方式やかんばん方式が発案されたことにより、ようやくジャストインタイムが実現しました。現在では、トヨタ生産方式を支える大きな柱の1つとして、製造業以外の業種でも導入されています。

参考:第5項 「ジャスト・イン・タイム」の起源|トヨタ自動車75年史

トヨタ生産方式とは?

トヨタ生産方式とは、トヨタ自動車が確立した生産方式で「自働化」と「ジャストインタイム」を2本の柱としています。

自働化

「自働化」とは、異常発生時に機械を停止させ、不良品を製造しないようにすることをいいます。一般的な「自動化」の「動」ではなく、“ニンベン”の付いた「働」が使用されています。

例えば生産ラインの一部で問題が生じた場合、機械が異常を検知して知らせます。知らせを受けた担当者は、その場で何が問題なのかを確認し製造を中止します。また、問題の原因を取り除くことでメンテナンスにかかる時間や費用を削減するとともに、よりよいクルマの製造を目指しています。

ジャストインタイム

次のように、トヨタ自動車ではジャストインタイムの実現に向けた取り組みを徹底しています。

お客様からクルマの注文を受けたら、なるべく早く自動車生産ラインの先頭に生産指示を出す。 組立ラインは、どんな注文がきても造れるように、全ての種類の部品を少しずつ取りそろえておく。 組立ラインは、使用した部品を使用した分だけ、その部品を造る工程(前工程)に引き取りに行く。 前工程では、全ての種類の部品を少しずつ取りそろえておき、後工程に引取られた分だけ生産する。

引用:トヨタ生産方式 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

かつての製造業では大量生産が主流でしたが、車種の変更が難しく、在庫を過剰に抱えるリスクがありました。一方、ジャストインタイム方式では多様な車種を同一ラインで製造できるため、顧客の需要に応じて柔軟に対応できます。

混同しやすい生産方法として、顧客から注文を受けてから製造をはじめる「BTO方式(受注生産方式)」がありますが、在庫を過剰に抱えるリスクがある点で異なります。

かんばん方式とは?

トヨタ生産方式におけるジャストインタイムを実現するためには、「かんばん方式」と呼ばれる仕組みが必要です。

トヨタ自動車では、品名・品番・個数などを記載した「かんばん」と呼ばれる指示票を使用しています。すべての部品箱に「かんばん」が設置されており、部品をひとつ使うごとに「かんばん」を外します。外した「かんばん」は、組み立て工場で回収され、部品工場へ届けられます。部品工場では、「かんばん」に書かれた数だけ部品を作るため、在庫を過剰に抱えるリスクがありません。また、在庫を置くスペースの確保も不要となります。

この「かんばん」を使った仕組みのことを、かんばん方式といいます。

参考:かんばん方式とは何ですか? | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

ジャストインタイムの3原則

ジャストインタイムは、生産する品目や量を均等に保つ「平準化生産」が前提条件です。これに加え、ジャストインタイムの実現には3つの原則が必要です。

  • 後工程の引き取り
  • 工程の流れ化
  • タクトの調整

1. 後工程の引き取り

1つ目の原則は、後工程の引き取りです。

後工程の引き取りとは、かんばん方式を利用して、後工程で必要な部品を前工程から引き取ることをいいます。前工程では、後工程から引き取られた分だけ部品を製造し補充するため、コストを削減できる上、ムダな在庫を抱えるリスクもありません。

2. 工程の流れ化

2つ目の原則は、工程の流れ化です。

工程の流れ化とは、生産工程において部品が後戻りしたり停滞したりせず、スムーズに流れることをいいます。1つの製品の生産工程につき1つの流れを作ることで、別の製品を生産する場合もすぐに切り替えができます。また、問題が生じても原因を確認しやすいため、作業の効率化が可能です。

3. タクトの調整

3つ目の原則は、タクトの調整です。

タクトの調整とは、1つの製品の生産にかかる時間を調整することをいいます。製造業では、生産スピードが速いほどよいと誤解されがちですが、短時間で大量に生産してしまうと過剰な在庫を抱えるリスクがあります。そのため、製品の生産にかかる時間を調整することでムダのない生産工程を構築しています。

ジャストインタイムのメリット

ジャストインタイムの実現により、以下のようなメリットが得られます。
それぞれ確認していきましょう。

  • 在庫を最小化できる
  • コストを削減できる
  • 販売機会の損失を防止できる

在庫を最小化できる

ジャストインタイムの実現にあたってかんばん方式を採用しており、「かんばん」に書かれた数だけ部品を作るため、在庫を過剰に抱えるリスクがありません。

在庫を多く確保しておけば欠品の心配がなく、大量発注にも対応できるというメリットがありますが、保管場所の確保や棚卸などのムダな作業が増えてしまいます。そのため、在庫を最小化できることは大きなメリットといえるでしょう。

コストを削減できる

また、コストを削減できるというメリットもあります。

かつての大量生産方式では、原材料費はもちろん、設備費や人件費などのコストも発生していました。また、製品をすべて販売できず在庫を抱えてしまった場合は、その在庫を保管するコストもかかります。必要な時に、必要な分だけ製造することで、これらのコストを削減できるのです。

販売機会の損失を防止できる

さらに、販売機会の損失を防止できるというメリットもあります。

後工程から受注するとすぐに生産をはじめるので、顧客から受注してから生産をはじめる方法と比べて納品までの時間を短縮できます。納品までに期間がかかると販売機会を損失する恐れがありますが、ジャストインタイム方式ならそのリスクを回避できます。

ジャストインタイムのデメリット

ジャストインタイムには、以下のようなデメリットも存在します。
それぞれ確認していきましょう。

  • 在庫切れのリスクがある
  • 品質管理の負担が増加する
  • 導入コストがかかる

在庫切れのリスクがある

ジャストインタイム方式を活用すると、在庫を最小化できる一方で、受注が急増して在庫切れとなるリスクがあります。災害などでサプライチェーンがストップした場合も、必要な部品が足りなくなり、生産が追いつかず在庫切れとなる恐れがあります。

品質管理の負担が増加する

また、工程を流れ化するには製品の品質を安定させる必要があります。在庫を最小限に抑えていることから、品質基準を満たさない不良品が多く発生すると、部品が足りず生産停止せざるを得ない事態に陥るためです。したがって、品質を維持したり管理したりする負担が増加する点も、ジャストインタイムのデメリットといえます。

導入コストがかかる

さらに、ジャストインタイムを導入するためには、かんばん方式の構築をはじめ、時間やコストがかかります。そのため、企業の規模や業種によっては導入が難しい場合もあるでしょう。

ジャストインタイムの導入事例

製造業以外の業種にも、ジャストインタイムが取り入れられています。
ここでは、物流業と小売業の導入事例を紹介します。

物流業における導入事例

ジャストインタイムを応用した物流は「ジャストインタイム物流」と呼ばれています。必要な物を、必要なときに、必要な量だけ配送する物流システムで、定時配送や多頻度小口配送に利用されています。

製造業と同様、物流業にもジャストインタイムを導入することで、在庫を最小化し、在庫の保管にかかるコストや人件費を削減することが可能です。

小売業における導入事例

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店にも、ジャストインタイムが導入されています。

前述のジャストインタイム物流における多頻度小口配送で、商品が数回に分けて配送されるため、小売店で廃棄する商品を減らすことが可能です。また、常に新鮮な商品を陳列できることから、顧客満足度が高くなるというメリットもあります。

まとめ

ジャストインタイムとは、トヨタ自動車が提唱した「必要なものを、必要な時に、必要な分だけ」生産する方式です。ジャストインタイム方式を取り入れることで、在庫の最小化やコスト削減ができるというメリットがあります。製造業の生産方法として誕生したジャストインタイムですが、現在では物流業や小売業にも応用され、生産効率の向上に貢献しています。

参考:
ジャストインタイムとは?【物流用語】 | 物流機器・輸送機器のレンタル
ジャストインタイムとは?メリットや3原則について解説【事例あり】 | Frontier Eyes Online by フロンティア・マネジメント
トヨタ生産方式とは | ホワイトボード型☆生産管理システムADAP
ジャスト・イン・タイム物流を教えて!|岡崎市の運送会社は合同会社エスプリ|トラックドライバー求人募集!
ジャスト・イン・タイムの基本  | 改善.net
トヨタ生産方式 | 経営理念 | 企業情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

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