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合弁会社とは何か?メリットとデメリットを踏まえてわかりやすく解説

経営者や人事担当者のなかには、合弁会社という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。しかし、合弁会社と株式会社との違いや、合弁会社という形態を選ぶメリットについて知りたくても、わかりやすく解説された記事が見つからず困っている方も少なくありません。

そこで本記事では、合弁会社の基本をわかりやすく解説したうえで、合弁会社のメリットやデメリット、設立方法などについて解説していきます。

合弁会社とは?

合弁会社とは、特定の事業を行うために複数の会社が出資し、設立された会社を指します。近年よく耳にするジョイントベンチャーと、同義語です。
合弁会社には、日本企業間で出資し設立した会社のほか、海外企業と日本企業の間で設立したケースも存在します。

合弁会社が得た利益は、合弁契約や出資比率に応じて配分されます。

ほかの法人形態と合弁会社との違い

会社法では、合同会社、株式会社、合資会社といったように会社の種類が規定されています。合弁会社は会社の種類のひとつではなく、会社の設立や運営方法の呼称です。

合弁会社の「合弁」と似た言葉として、「合併」が思い浮かぶ人もいるのではないでしょうか。ビジネスシーンで使われる「合併」とは、複数の法人そのものを統合してひとつにすることを意味します。親会社を残した状態で新会社を作る合弁会社とは、意味が大きく異なるため混同しないよう気をつけてください。

合弁会社設立のメリット

合弁会社を設立するメリットは、主に以下の4点です。

  • 新規事業を立ち上げやすい
  • 海外進出のハードルが下がる
  • 損失リスクを軽減できる
  • 出資企業同士で強みを共有できる

それぞれ詳しく説明していきます。

メリット1:新規事業を立ち上げやすい

合弁会社であれば、自社に足りない経営リソースを他社が補完してくれます。新たなビジネスの立ち上げや、新規分野を開拓しやすくなるのが合弁会社のメリットといえるでしょう。

自社のみで新しい事業を始める場合、資金、ノウハウ、技術、人材などをすべて用意しなければなりません。資金繰りや事業に精通した人材の調達には、手間も時間もかかります。
共通の目的を持つ他社とパートナー関係になれば、単独よりも少ないコストと手間で新しい事業を始められます。

メリット2:海外進出のハードルが下がる

グローバル化が進む現在、海外進出を目指す企業は増加傾向です。国外に会社を設立する場合、現地の法律を把握することから始め、人脈作りや販売ルートの開拓などさまざまな取り組みが求められます。

会社設立の手間を省く意味でも、現地の企業と合弁会社を立ち上げることは、海外進出の際の有効な手段といえるでしょう。
また、外資規制がある国では、そもそも海外企業が100%の資本で会社を設立できません。その場合は必然的に現地企業との合弁会社を設立する必要があることを、覚えておきましょう。

メリット3:損失リスクを軽減できる

新規事業を立ち上げる場合は、最悪のケースも視野に入れて動く必要があります。成功を確信しているようなビジネスであっても、社会情勢やビジネス環境の変化などによって失敗するケースがあるためです。

1社で新規ビジネスを始めた場合、事業損失をすべて自社が被らなければなりません。対して、合弁会社を通じて事業を実施すれば、出資した企業間で損失を分散できます。

メリット4:出資企業同士で強みを共有できる

複数の企業で合弁会社を設立することで、ブランドや技術力、ノウハウを共有し合うことが可能です。
合弁する企業間で保有しているリソースやノウハウ、技術や特許などを組み合わせることで、単独で実行することが難しいビジネスへの挑戦も視野に入れられます。

また、すでにブランド力のある企業とパートナーシップを結べれば、マーケットへの参入もスムーズに進められるでしょう。

合弁会社設立のデメリット

合弁会社を設立するデメリットは、以下の4点です。

  • 自社の技術やノウハウが流出するリスク
  • 意思決定が遅れる
  • 企業間の足並みが揃わない
  • パートナー企業の不祥事が自社にも影響する

それぞれ詳しく説明していきます。

デメリット1:自社の技術やノウハウが流出するリスク

合弁会社の利点は、パートナー企業とノウハウや技術を共有できる点にあります。ただし、自社が独自に培ってきたノウハウや技術を共有するケースにおいては、情報の流出に注意が必要です。

情報の流出による不利益を被らないためにも、合弁会社を設立する際は相手企業の事前調査が欠かせません。信頼できるパートナー企業を見つけたうえで、秘密保持契約を結び法的なリスク管理を徹底することで、情報流出リスクを最小化していきましょう。

デメリット2:意思決定が遅れる

自社単体で意思決定する場合と比較して、合弁会社では意思決定スピードが遅くなる傾向にあります。意思決定者が増えるため、経営戦略や事業計画に関する意思決定に時間がかかるようになり、競合他社におくれをとるリスクもあるでしょう。

意思決定者が複数いることは、意思決定の判断材料が増えるメリットにもなりますが、同時に物事の判断スピードが鈍くなってしまう可能性を念頭に置きましょう。

デメリット3:企業間の足並みが揃わない

合弁会社では、共通の目的や方向性を掲げている企業とパートナーシップを結ぶことが一般的です。しかし、異なる母体が出資し合っている以上、意見の相違や経営方針の不一致が生じるケースも珍しくありません。

合弁会社においては、企業間の連携が成功の鍵を握っています。そのため、「自社だけが利益を得られればいい」と他社を出し抜く考えでは合弁会社の強みは活かせず、事業の発展が困難となってしまうでしょう。

デメリット4:パートナー企業の不祥事が自社にも影響する

合弁会社の設立では、パートナー企業が信頼できる企業なのか見極めることが重要です。パートナー企業が社会的信用を失ったり、経営層の軽率な発言によってネットなどで炎上したりした場合は、協力関係にある自社にも影響が及ぶこともあるでしょう。

特に自社と異なる業界の企業や海外企業と合弁会社を立ち上げる際は、信用調査やブランドリスクを念入りにチェックすることが大切です。

合弁会社の設立方法

ここからは、合弁会社の設立方法を4ステップに分けて説明していきます。

設立ステップ1:パートナー企業の選定

最初に、合弁会社を共に立ち上げるパートナー企業を選定します。
企業選びを間違えると、合弁会社の強みを活かせないだけでなく、事業が停滞し、自社への損失が発生する可能性もあるため注意が必要です。

設立ステップ2:基本合意の締結

パートナー企業の選定が終わったあとは、交渉を通じて基本方針を固めていきます。基本方針は展開していくビジネスの基盤となるため、妥協せずに自社の意向を伝えるよう心がけましょう。

基本方針の段階で他社が不満を抱いた場合、離脱や事業の中断を招くリスクが高まります。合弁会社の設立を進めるためには、パートナー企業すべてが納得できるように調整を図る必要があります。

設立ステップ3:詳細な条件の打ち合わせ

基本合意が締結できれば、今度はより詳細に渡る条件をすり合わせていきます。
具体的には、出資比率や取締役の選定方法、利益配分の仕方などです。

基本方針の合意と同様に、条件に対して不満を抱く企業が出ないように、念入りな交渉が求められます。

設立ステップ4:合弁契約の締結

最後に、合弁契約を結び、合弁会社の設立を行います。
新会社の概要、目的のほか、株式の保有比率、役員、経費負担などを定め、契約書を交わします。

合弁会社の撤退条件

合弁会社の設立により、自社単体では生み出せない利益が期待できる一方で、思い描いていた結果にならないこともあるでしょう。事業がうまくいかなかったり、パートナー企業間で意見の食い違いが発生したりした場合、撤退を検討する必要があります。

撤退判断は、損失をできるだけ抑えるためにも迅速さが大切です。そのため、あらかじめ合弁契約に撤退条件を設けておき、いざという際にスムーズな提携解消を図るとよいでしょう。

撤退を検討するポイントとしては、以下が考えられます。

  • 一定期間内に業績アップが見込めない場合
  • 一定以上の損失が発生した場合
  • 経営権が移った場合
  • 合弁契約に違反が生じた場合
  • 不採算事業が生じた場合

また、提携関係解消後のライセンスの帰属や顧客対応、両社の権利義務などについて事前に取り決めておくと、トラブル予防に役立ちます。

まとめ

合弁会社とは、複数の会社が共同出資し、設立した会社のことです。
同じ方針や目的を持つ企業同士で合弁会社を設立することで、ノウハウや技術、人材などを共有できます。合弁会社のメリットとしては、海外市場や新規事業への参入をスムーズに行える点です。

仮に事業で損失が発生しても、合弁会社であれば複数の会社で損失を負担できます。リスクを抑えながら新規ビジネスへチャレンジできる点が、合弁会社の魅力のひとつといえるでしょう。
ただし、合弁会社には意思決定の遅れや企業間の意見の相違などが発生しやすいため、良好な提携関係を築けそうなパートナーの選定が、事業成功の鍵を握ります。

合弁会社への理解を深め、自社の経営戦略の幅を広げていきましょう。

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