適性検査

適性検査のGABとは?人事が知っておきたい検査内容やメリット・デメリットを解説

人材採用のミスマッチを防ぐ、あるいは効率化のために適性検査を導入する企業は増えています。

自社の目的に合った適性検査を導入できると効果的ですが、種類がさまざまあるため、選ぶのが難しいと感じる方もいるでしょう。

本記事では、GABとはどのような適性検査か、メリット・デメリットと合わせて解説します。GABについて理解を深めて、適性検査選びの参考にしてみてください。

適性検査のGABとは?総合適性診断テスト

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GABは日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する総合適性診断テストで、新卒総合職の人材採用に活用する目的で開発されました。

正式名称はGraduate Aptitude Batteryで、一般的な国語・数学の基礎的能力やパーソナリティを可視化できます。

新卒採用だけでなく、中途採用や既存社員の育成、配置決めにも活用できるとして知られています。

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日本エス・エイチ・エル株式会社は、GABの他にもCABや玉手箱といったWebテストを提供しており、基本的に同じテスト形式で実施される点も大きな特徴です。

GABは一般的な基礎的能力や性格傾向を把握できる一方、自社の社風や雰囲気にマッチした人材として測定するには不十分な可能性があります。

採用のミスマッチを防ぐ目的なら、ミキワメのように自社のデータを収集、分析して自社に合った人材像を洗い出し、採用や人事に生かせる適性検査が効果的です。

GABでわかること|受検者の9特性と7つの職務適性

GAB_わかること_9特性_7つの職務適性

GABでは下記の項目についてそれぞれ10段階で評価され、基礎的能力や職務適性、性格傾向が可視化されます。

カテゴリ項目
基礎的能力・知的能力・マネジメント資質
能力特性・ヴァイタリティ
・人あたり
・チームワーク
・創造的思考力
・課題解決力
・状況適応力
・プレッシャーへの能力
・オーガナイズ能力
・統率力
職務適性・営業Ⅰ(物販営業)
・営業Ⅱ(コンサルティング営業)
・スタッフ
・一般事務
・エンジニア
・研究開発
・接客 / 店頭販売 / コールセンター
パーソナリティ・チャート(※)・人との関係
・考え方
・感情・エネルギー

※パーソナリティ・チャートでは、3つの項目ごとにさらに小項目があり、合計で30項目の性格傾向を把握できます。

GABを採用のスクリーニングに活用する場合は、知的能力の水準や重視したい性格傾向を決めておくとスムーズです。

面接では、データを踏まえた質問によって人間性を深掘りしたり、採用後の配置決めに職務適性を生かしたりと、さまざまな場面で活用できます。

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GABと他の適性検査の違い

GAB_他の適性検査_違い

GABと他の代表的な適性検査には、それぞれ違いがあります。

それぞれの違いについて理解を深めて、自社に合った適性検査を導入しましょう。

なお、下記の記事では24種類の適性検査のメリット・デメリットを比較できますので、参考にしてみてください。

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GABとCABの違い

GABとCABは、日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する適性検査であり、対象となる職種に大きな違いがあります。

CABは、コンピュータ職に限定した適性検査で、IT系企業への導入が適しています。これに対してGABは総合職向けとなっており、一般的な企業で活用が可能です。

自社に必要な職種によって、GABとCABを選ぶ必要があります。CABの検査内容については下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

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GABとSPIの違い

SPIは株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供する適性検査であるため、GABとは提供元が異なります。

さらにGABとSPIは、基礎的能力において測定できる範囲に違いがあります。

SPIは一般的な知識を問う問題が多く出題される一方、GABは知識を活用した遂行能力を測定する問題傾向が特徴です。

このような違いから、知識だけでなく遂行能力を見たい場合は、GABの方が適しています。

SPIの検査内容については、下記の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

SPI
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GABと玉手箱の違い

GABと玉手箱は、日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する適性検査です。問題の出題形式は共通していますが、出題範囲が異なります。

GABはどの企業でも同じ出題範囲で固定されていますが、玉手箱は企業ごとに出題範囲のカスタマイズが可能です。

より自社に合った人材の採用に生かしたい場合は、カスタマイズ性の高い玉手箱が適しています。

GABを導入するメリット

GAB_導入_メリット

GABを適性検査として導入するメリットは、次の2つです。

GABのメリットを理解して、自社に合った適性検査選びの参考にしてみてください。

候補者の性格を可視化できる

GABの「結果報告書」では、次の5つの項目が可視化されます。

  • 知的能力
  • マネジメント資質
  • 能力特性
  • 職務適性
  • パーソナリティ・チャート

パーソナリティ・チャートからは候補者の性格を可視化できるので、自社の社風にマッチするか判断可能です。

また「能力特性」の項目では、受検者の9特性をもとにした「受検者の強み」と「チェックポイント」がテキストでまとめられます。

「チェックポイント」では、採用面接に生かせる質問例が掲載されているため、採用面接の準備にも活用が可能です。

このように、GABで取得したデータは、採用におけるスクリーニングや適切な人事配置の決定の判断材料として扱えます。

知識よりも遂行能力を測定できる

GABの「言語理解」や「計数理解」の検査では、基本的知識を問う問題ではなく、知識を活用する遂行能力を問う問題が出題されます。

基本的知識は、検査前に詰め込むことである程度対応できるため、短期間で対策ができてしまいます。

これに対して遂行能力を測定する問題は、知識を詰め込むだけでは対処できません。

このように付け焼刃の知識ではなく、実践的な技能を見極めることが可能なため、受検者がもつ本来の技能を測定するのに役立ちます。

GABを導入するデメリット|応募者の途中離脱のトリガーになり得る

GAB_導入_デメリット_応募者_途中離脱のトリガー

実施タイミングにもよりますが、GABをはじめとする適性検査は応募者の負担になることから、途中離脱のトリガーになる恐れがあります。

応募者にとっては、GABの対策が必要になるためです。このようなリスクを十分に理解した上で、GABの実施タイミングを検討する必要があります。

たとえば面接の材料として適性検査を用いる場合は、「適性検査の結果で合否を判断しない」というように、適性検査の活用方法を応募者に明示することが大切です。

GABの検査内容

GAB_検査内容

GABの検査内容は、以下のとおりです。

GABの検査内容について理解を深め、適性検査選びの参考にしてみてください。

言語理解

GABの言語理解分野では、国語のような問題が出題されます。

Web-GABでは、問題数52問に対して制限時間が25分となっており、1問あたり30秒前後での解答が必要です。

そのため、解答の正確さだけでなく、問題を読み取った上で解答を考えるスピードも問われる内容となっています。

このような傾向から、株式会社リクルートマネジメントソリューションズの総合適性検査であるSPIよりも難易度が高いといます。

受検者にとっては、問題に慣れるための対策が必要です。GABも含めた適性検査の対策は、以下の記事でも解説しているので、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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計数理解

GABの計数理解分野では、数学のような問題が出題されます。

簡単な計算問題ではなく、図表やグラフを読み取って解答する問題が出題されるため、読解力が求められます。出題される問題の傾向は、算数や数学の知識を使って解く応用問題に近いでしょう。

Web-GABでは、問題数40問に対して制限時間が35分で、1問あたり52秒前後で解く必要があります。

Web-GABは電卓が使用できるものの、解答時間も1分未満と短く、じっくり考えて解くほど余裕はないといえます。

パーソナリティ(OPQ)

GABのパーソナリティ(OPQ)では、受検者の特性をつかむために、大まかに下記の項目について質問されます。

  • 能力
  • 性格
  • ストレス耐性
  • コンピテンシー
  • 職業適性

パーソナリティの結果を受けて受検者の人物像を組み立てたり、人間性を深掘りする質問づくりに役立てたりすることが可能です。

英語

C-GABというテストセンター方式の検査では、英語の読解問題が出題されます。

問題の難易度はTOEIC程度、あるいはそれ以上といわれている中、24問を10分間で解く必要があり、難しい内容です。

長文の読解力を測定できるため、英語力が必要な企業での実施に適しています。

GABの3つの検査方式

GAB_検査方式

GABには、以下の3つの検査方式があります。

検査方式によって、実施時間や問題数が異なりますので、違いを理解した上で導入方式を決めましょう。

Web-GAB|自宅で受検できるWebテスト方式

Web-GABは、受検者が自宅のパソコンから受検できるWebテスト方式であり、電卓の使用が許可されている点が特徴です。

他の検査方式に比べて出題範囲が広く、実施時間も長いため、難易度も高い傾向にあります。

各検査の問題数と実施時間は以下の通りです。

検査問題数実施時間
言語理解52問25分間
計数理解40問35分間
パーソナリティ68問制限なし目安は20分間

パーソナリティは、言語理解と計数理解が終了した後に実施されるため、制限時間がありません。

選択式の問題なため、解答時間の目安は20分程度です。

C-GAB|会場で受検するテストセンター方式

C-GABは、受検者が会場に足を運んで受検するテストセンター方式です。

検査内容は以下の通りです。Web-GABに比べると問題数が少なく、実施時間が短いことがわかります。

検査問題数実施時間
言語理解32問15分間
計数理解29問15分間
英語24問10分間
パーソナリティ68問制限なし事前に実施

テストセンター方式では、受検者が予約を取る際にパーソナリティ検査が行われるため、当日は「言語理解」「計数理解」「英語」の3つのみの実施となります。

英語分野が出題される点も他の検査方式と異なっており、英語力を求める企業に適した検査方式です。

なお、C-GABでは電卓の持ち込みが認められていません。

GAB|企業が会場を用意するペーパーテスト方式

GABは、他の2つの検査方式と異なり、マークシート形式のペーパーテストで実施されます。

実施会場は企業側が用意するため、他の適性検査や試験を行うために会場を用意する予定のある企業に適しています。

検査内容は以下の通りで、実施時間はWeb-GABと同じですが、問題数は不明です。

検査問題数実施時間
言語理解不明25分間
計数理解不明35分間
パーソナリティ不明制限なし目安は30分間

Web-GABと同様に「言語理解」と「計数理解」の検査が終わった後にパーソナリティ検査が行われるため、制限時間はありません。

筆記検査の分、記入に時間が必要なため、解答時間の目安は30分程度です。

なお、GABでは電卓の持ち込みが認められていません。

GABの練習問題・例題をチェックする方法

GAB_練習問題_例題_チェック_方法

GABでどのような問題が出題されるかをチェックしたい場合は、次の方法が有効です。

例題を見て、GABについての理解を深めましょう。

玉手箱のWeb体験版を活用する

GABの問題は、玉手箱と出題形式が同じなので、例題のチェックに活用できます。

玉手箱のWeb体験版は、株式会社ノストラムが運営するサイト「WebTest for Internship」で利用できます。

玉手箱の「言語」と「計数」から問題をチェックできますので、活用してみてください。

GABの問題集・参考書を活用する

費用はかかりますが、GABの問題集や参考書、過去問を購入する方法もあります。

おすすめの問題集は、以下の2つです。

上記はCABにも対応しておりますので、CABとGABの両者で迷っている場合は購入を検討してみましょう。

GAB対策アプリを活用する

スマホアプリからも、GABの問題を確認することが可能です。

アプリGAB対策 非言語GAB対策 言語
料金700~800円700~800円
iOS対応ありあり
Android対応ありあり

700〜800円の購入費用はかかりますが、スマホから手軽に利用できます。

GAB導入前の準備

GAB_導入前_準備

GABの導入の前に、次の2つのポイントを押さえておくことで、効果的な活用が可能です。

上記は、GAB以外の他の適性検査でも同じことがいえますので、ぜひ参考にしてみてください。

適性検査を扱う際のセオリーについては、下記の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

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採用基準を明確にしておく

GABの結果を見て、何を重視するのかを明確にしておくことが大切です。

たとえば「職種にフィットする性格傾向を洗い出して採用基準に反映させる」というように、あらかじめ基準を決めておくのが望ましいといえます。

一次選考でGABを活用する場合は、採用基準と照らし合わせてスクリーニングを行う方法があります。

採用基準を明確にする方法については、下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

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GABの結果の解釈方法を明確にしておく

GABの結果をどのように解釈するかも明確にしておきましょう。

たとえば、新卒採用において「マネジメント資質」を重視する必要はないというように、獲得したい人材や職種によって重視すべきポイントは変わります。

上記の場合、マネジメント資質以外で重視すべきポイントをチェックし、人物像を想像します。

その際には、一人ではなく複数の見解から人物像を組み立てることも重要です。

まとめ:GABを理解して自社に合った適性検査を選ぼう

GAB_理解_自社に合った適性検査_選ぶ

GABは新卒採用のために開発された適性検査の一つで、日本エス・エイチ・エル株式会社によって提供されています。

GABの結果からは、受検者の基礎的能力9つの特性7つの職務適性がわかるため、採用前にある程度の人物像を組み立てることが可能です。

ただし、選考過程で導入すると応募者の負担が増えるため、途中離脱を防ぐためには適性検査の実施目的と活用方法をあらかじめ周知しておく必要があります。

GABに限らず、適性検査は応募者にとって対策が必要なため、負担が大きくなってしまいます。

たった10分の実施時間で実施できるミキワメなら、応募者の負担を軽減しながら採用のミスマッチを防ぐことが可能です。

まずは無料でミキワメを体験いただき、検査内容を確認してみてください。

活躍する人材をひと目でミキワメ

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